磨かれた廊下に深海魚たちがゆらり
ゆらゆらとゆっくり泳ぐ
深い眠りに就いているのか
夢をみているのかわからない
天気予報では明日は雷雨
深海魚には予報も関係なくて
廊下をゆらゆらと泳いでる ....
太陽は私の心臓、
千切れ雲は私の髪の毛、
恒星は私の思考器官、
けれどこの夜、満月くっきり浮かび輝き
この私を地球大地にしっかり住み着かせ。
黄金の意識の視界に
濃紺の夜空拡がり
黄に輝く半月 、
やはらぎかたく
かたくやはらぎ
あゝ私という彷徨い 、
一つ その道標を見出しあり
教科書だけを頼って
知らず知らず
顔を失っていく
巨塔にエスカレーターで
上っていくの
顔はわからない
でも名刺はあるの
肩書きの交差点
顔なしたちが渡り歩く
心配はないの
皆同じ ....
石が焼ける臭いがした
八月
原爆ドームや資料館
鼓動が早くなる
平和の鐘を鳴らすと
ずっと胸に響く
夕暮れドームの見える河原で
言葉にならない気持ちを
何度も何度も巡らせていた
薄暗 ....
街を行く人々は 疲れた顔もあるけれど
晴れた日の隅田川 交わる航跡が爽やかで
素晴らしい朝だから 足取りも軽やかに歩こう
自分を一つ好きになれるかな
フスマがカベがモクメが
しばし しんと
沈黙の内に佇み在り
ふっと次の瞬間 、
一斉に起立し襲い来る
狂う狂う!無機に無に、
自らが呑み込まれ
自分が意識が奪われ解消されて ....
拝啓
小さな友
君の立ち振る舞いや
雰囲気が
子供の頃の幻に重なり
胸騒ぎを覚える
過剰なところや
たやすく折れる心
ささいなことで流す涙は
もっともっと深いところ
....
樹林を縫い
薄っすら輝く
白い道 、
すっと伸びゆく
何処までも
うねりくねり
いよいよ白く
気付けば
そっと純白に 、
そして
すっと透明に
ずんずんずんずん
進み来 ....
無事かー!? と聞いて
返事が返ってくるのは
無事な者からだけなので
で、よかった
皆、無事のようだと言っている
何のコントですか
まぁ、生き残った
ピンピンした人たちだけで
....
藍に満ちた
心のグラデーション
だんだん濃くなってゆく
晩御飯の残り
冷めたまま出した
いつもと違う気配
神経張り巡らせて探す
藍色の夜更け
背中を向けながら
じっと見つめて ....
熱せられた窓をガラッと開けた
外気がもわっとなだれ込む
蝉の声が木々に繁っている
グラスに入れた氷がカランと崩れる
エアコンの呼吸音が大きくなった
渓を夢みて酒をのむ
人生は自分との戦いだ
誰のせいにもできない戦だ
と
アスリートが言うならいいだろう
政治家が言えば眉唾物だが
火の玉になってやるという
君のは火だるま
燃えろ、火の玉
橙橙
大爆 ....
釣り人の竿には{ルビ鉤=はり}は付いていない
{ルビ水面=みなも}に糸を垂らし
静かに佇んでいる
一幅の絵のように
渓に溶け込んでいた
はしゃぐ子供の
その声音の震え揺れ
優しく柔らか呪われ
仄か輝き出す私の意識
より明るみ炸裂スル瞬間、
わたしの内に
ふと現れ在る
貴女という不思議がる顔
あゝ掴ま ....
独り泣きたい夜
傍にいるのは鴉だけ
思い出すのは
存在の温もり
差し伸べてくれた手
何も返すことなく
振り切ってしまった
あれから遠くまで来た
塗り替えることのできない日々 ....
闇の中の
黒い石に
光が当たり
私は黒い石だと
初めて知った日遠く
・
生きるとは
こころ
傷つき
時に
愛を知るということ
・
青空の深さに
手を合わす私。 ....
痩せこけ骸骨になっていく
無数の子供たちの影 、
一本柱に蒼い首突き刺さり
溢れ落ちるもの 、
しと しと しと
白壁に染み渡り伝わる
音の一つひとつ
反響し自らを刻み込む、 ....
カモメが翼を一文字に広げて飛んで行く
灰青色の空
雲は途切れ途切れに流れた
生温い風と遠くざわめく静かな波
周りの声はいつの間にか波にかき消された
水平線の境はハッキリと分か ....
帯の背中に団扇を挿して
下駄を鳴らす
屋台が並ぶ道は
人が溢れて賑やか
すみません、
ぶつかった人を見上げて
耳の先まで熱くなる
先輩、
よぉ、と言って
和かな所作で ....
真夏の日中に上空を塞いでいた、ひとつの低い層がなくなって、青春の夏はより遠くまで反射して、よりいっそう真夏の夜の夢に届きやすくなる。より受信しやすいように部屋のなかの灯りをすべて消す。多分に雨の吹き荒 ....
猥雑な迄オレンジ
染まり輝く満月
熱帯夜の屋根瓦の上 、
浮かび在るをふと捉え
月の磁力、否応無く深々と
あの日、師の逝去の
報せと共
外出した夕闇に 、
....
渓流竿は刀のように美しい
日本独自のもので
種類は今まで数百はある
明日は碧羅という強竿を携え
大物を狙いに行ってみる
地平線の彼方まで丸焼けだった
瓦礫と錆びたトタンで作った
家族でさえ疑って暮らすバラックで
卓袱台に載った、芋粥と悲しみ
ヤンキーに{ルビ集=たか}ってチョコをせしめた
空地で捕まえた飛 ....
東京の空は狭いというけれど 私には丁度いい
見渡す限りの 見渡す限りの大空は
大きすぎる 私の思いが馳せるには
上下をビルに区切られた 限りある空は
ほっとして 丁度いい
買ってすぐレトロゲーム機壊れてて振り返ってはならぬのだ。
過ぎ去った思い出ばかり美しく持ち越せるのはそれだけなのだ
振り返るほども記憶のない者にそんな生き方強いてはならぬ
思い出せ当 ....
四月に種を撒いたヒマワリは
梅雨のさなかに大輪の花を咲かせ
真夏の太陽を待たずに萎れ始めた
虫食いの穴だらけの大きな葉には
小さな小さな{ルビ精霊蝗=ショウリョウバッタ}が二匹
同じ方を ....
事実は記憶は
捏造・抑圧され得る
けれど 、
魂の深奥に刻み込まれた
想いは決して変えられない
無数の影 踊って居るよ
意識の視界に深奥から
幾つも幾 ....
青銅の天空に
白雲の流れ 、
刻まれゆく時に
はしゃぐ子供、
夏の庭先に成人し
昂揚する自尊、
萎縮する帰依、
銀輪の放つ光彩眩しく
罅割れゆく青銅の天空
裏 ....
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