退勤を押す
瀝青が泡沫を吐き出す湿度をまといながら
誰もが楽園を見つけだせなかった旅人のように
骨格を曲げている
さびしい さびしい さびしい さびしい
柔軟さを失いながら猫は歩いて ....
地面に落ちたふたつの実はもうどうすることも出来ないほど腐り果てていて、ああこのまま土に還るのだと…少し悲しい気持ちになりもしたけれど、でもそれは無駄なことではないのだと気付いてはっとした、それを食 ....
四萬
それチーね。
雀卓を囲めば深夜放送から流れてくる埠頭の風
東雲の左手には北の兄貴が居座り考え込んでいる
兄貴はいつも遅くて牌をなかなか手放さない
結果的にはカモ ....
全身に陽の光を浴びて
浅黒く焼けた
おまえの肌に
舌を這わせてみる
薄く塩の味を感じると
俺のイチモツは
俄に屹立する
おまえを味わうことで
俺はおまえを
掌握した気になって ....
風吹かば 風が好きだと 君が言う
大きな楠の下で夏
あなたの上で羽ばたく
それがあなたへ与える効果は
あなたがどこかで
誰かに影響を与える
そうやって次々と伝播する
地球の裏側まで
だから今夜飛ぼうよ
遥か遠くを目指して
but ....
何だ、不満か?
君もいきがりたまえ
いきがれるように生きてこなかった
おまえのミスだな
と、ここで、この歳にもなってくると
人の不幸を笑えなくなり
身につまされるんです
明日 ....
自分自身はどんな人なの
ホモサピエンスのはしくれ
それにしては歴史が浅い
人見知りであり
優柔不断と認識している
肝心なところで
ものごとを決する ....
夏、街は
もぬけの殻になった
開け放たれた窓
ラジオから流れる雑音
駅前からも公園からも坂道からも
人はいなくなった
がらんどうの街路を歩く
私もまた空っぽになっていく
視 ....
{引用=
青い青い水面に溶けこんでゆく、
眩暈、
ふたりの抱擁、
時計の長短針が、
零からいきなり三十になったように、
逆さまにはっきりと映りこむ、
ふたりの不定形、
まるで半透明のゼ ....
墨透海の南にはもう海はない
あのつまらない大きな大陸があるだけ
だからほとんどの人が折り返す
それでも大陸に行こうかどうか迷う
やめようと決断するのが
大抵午前三時だそうだ…
昼間の墨 ....
わたしより
やわこいうえへと もどりはじめる
やさし く だけていた濃度 100%「fu、
おりしずむ。しづみながれて、いったいへ
睡に飽いた ひとつはあめ ひとつはわた
こぼした域は ....
Ⅰ.
夢はすべからくすべすべとしたまるい顔
ひとよんでのっぺらぼうという名の妖怪
さそわれて、肩たたかれて、ふりむけば
人まちがいだろうけれど「なんかようかい」
夜空は月の目玉を ....
星の間を渡る技術を
AIに教えてもらう悲しみ
文明を破壊する知識を持ったAIの
実験のためにだけ巻き戻される
人類の未来
繰り返されるダブルクロス
変えられない指先に込め ....
2025年8月15日(金)
今日は終戦の日
80年の時が過ぎた
黙祷
さぁ今日も現実社会で生き残ろう。
*
貴方に感謝も、非難する気持ちも ....
○「終戦記念日」
いまだに終戦となっている
敗戦ではなく
基本的なことを
間違ったまま
ずっと来ている
○「老いの日めくり」
1日
満たされないのは
足りないからではなく
求め ....
おい
鉛筆を
ずいぶん使ってない指を
みながら昔を知る 残酷さ
このへや
パソコンに
西陽がさしている机
君の香りがしない ときおり
じゆう ....
ほのか
目のまえに
そろそろ終わりがみえる夜
桜降る道 手を繋ぎゆく
いちめんの
向日葵が
満面笑って軽やかに
君の匂いがする 風が吹く
き ....
倒壊寸前の僕に
家屋が乗っかっている
脆弱で重たいわけだ
歩く事が出来ず独り言
気がつくとチクタクチクタク
僕はアナログな古い時計
後数分もすれば
時を知らせることになる
泣くに泣けず ....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事
思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
線香の匂い路満ちて盆の夕
世に憚るものみな
そこはかとなくうっとうしい
馬喰横丁で暴露された醜聞(スキャンダル)の王国
咥えたばこの喉元通り過ぎる通り雨
簾の隙間から透かしてみればみるほどに
美しく馥郁たる育休のから ....
○「地」
年を取れば
取るほど
地が出てくる
病気よりも
やっかいかもしれない
病気は
薬でなおせるかもしれないが
地は
今さらなおせない
○「猪被害」
一度来ると二度三度来 ....
来るもの拒まず、去るもの追わず
そんな人はつまらない人だとキミは言う
ドラマティックな人がいいなとキミは言う
来るもの拒んで、去るものも無し
そんな人は何も困らない人だとキミは言う
ノー ....
いくなんの苦難のりこえ、今いかだ
帰省
十三年
ぶりに自宅の庭でする
花火のあとの西瓜は半月
家路
ひとびとが
夕暮れ色に染まりゆく
家路の端のパチ屋の金魚
学校のことを 思い出そうとすると
ぼやけた記憶した浮かばないのは
僕にとって 青春というものは
伝統的で矛盾した 色彩の衝突であったからだ
延々と神さまが 夜空を覗き込んでいる
からか ....
――― これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか〈光太郎〉
すてられた魂のうへに やさしげな嘆息をもらすのは
野をひそひそと歩んでゆく {ルビ角=ツノ}を持たない羊の群れ
むくむく ....
もしかして
いま蘇つてくれたとて
も壱度ホンキて恋せるだらうか
いやに初歩的なことから始めて恐縮だが
原稿がなければデータは組めない、right?
二か月まるっとは制作期間ですらない
原稿が、ないのだ
彼は何を焦っているの?
ぶっ飛ばしてもいいで ....
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