ガス燈の灯る、
光の街は
地図にない
ヴィヨンの橋影が
夜の流れに
揺らめいている
街行く人も
名を伏せた仮面のまま、
濡れた石畳の道を
忙しく
通り過ぎた
裏通りの女も ....
青空は深いが、
こまかいことにとらわれている私は
つまらないのであった。
とらわれないようにすることにも
とらわれないようにするには、
今ある問題と向き合うことだ
もちろん
バランスをと ....
それは本当の音にも聞こえたしこの世のどこでもない場所で鳴っている音にも聞こえた、場所が特定出来ない以上そのどちらかに決めることは出来なかった、だから俺は取り敢えずそれを「そのうちのどこか」という風 ....
誰も知らんが
ここには
どうしようもない
芸人が居て
そいつは
舞台も利益も
ぶっ飛んで
なんだかんだ
探しまくってんの
そんだからさ
もうどうでもよくて
俺は救われんし
....
どんないろがすき
あおいいろがすき
クレヨンに巻かれた包装紙が画用紙をこする音
が部屋を満たす
リリーは一日寝ている
サリーは右手にフォークを持ったまま、
左手を器用に使って手づかみで ....
何度目かの絶望なのに慣れてはくれない心
部屋は散らかり
心そのままのようだ
心が歪み
体そのままのようだ
誠実になれる曲をかけて
力をくれる香りを焚いて
立ち上がる
誰もが何か ....
森はうすい木漏れ陽
誰知らず湧き水が澄みわたる
泉の
閉塞した世界に生まれる
山女魚は けして他の暮らしを知らず
夢さえもみず
泉に生きる
存在は、認識の果て
山女魚には街 ....
やさしい心に
みっつの涙が落ちる
誠実な心に
みっつの汗が落ちる
なにかを引っ掛けようとして
鈎に身をむしられ
こゝ、といって詰まり
呂れつが
りっしん偏
わたしはいまどきの
字が ....
神影
果たせる哉、例へば闇夜が神の影とするならば、
それは成程、∞を呑み込む様相といっていいのかもしれぬ。
何故に神に∞が纏はるのかは、人間の知が∞を前にすると、
屈服するしかなく、
そ ....
目を伏せて話しても
心のまなざしを感じる
そんな関係でいたいね
見るものすべてに傷つくから
いつしか伏目がちになって
あなたの視線は地を這って
たくさんの蓑をまとっているよう
....
受信機は今日も空っぽです
天気は晴れ 時々 鉄の破片
流れ落ちる 身を梳くような
鋭い 言葉に 気をつけましょう
空は その様相を変えたとしても
美しさを 損なうことはないのですよ
あ ....
「戦後」というのは例の太平洋戦争。
日本帝国がアメリカやイギリスとドンパチやら
かしたあの戦争のことです。「ろん」というの
はまあおれの戦後80年の「お気持ちの表明」
てことかな。
おれごと ....
ストを行う、よく月に気付くような子を落とす。
すとおおこなうよくつきにきづくようなこおおとす
果てた詩の香りと一人、丘の下では。
はてたしのかおりとひとりおかのしたでは
よ ....
システマティックに確認できないこと
人間の目視の職人技的正確性と
人間の目視だからこその不正確
今日もいくつもの瞳が瞬きを忘れて
行ったり来たり
大切なことは0と1の隙間にある
....
○「私の愛する旦那様」
出世もできず財も築けず
平凡な夫だけど
一生懸命に働いてきた
その働きに免じて
「私の愛する旦那様」
一度はそう呼ばれたい呼ばせたい
たとえお世辞でも
指輪 ....
ゴミステーションで
水色の捨て金魚を拾った
可愛がってください
という手紙が添えてあった
水槽も金魚鉢もないから
洗濯槽で飼う
上から覗き込むと
金魚は驚いたように
奥深くに潜 ....
干潮のなかに私は立ち
潮のなかに流されてしまったものを
ひとつひとつ視ようと眼を凝らすが
衰えた視力で捉える事はできず
曖昧な記憶に縋って其れらを視ようとする
突然 消えて逝ってしまった ....
海の上だけが居場所
心があるのは網が続くどこか
魚たちが網目をくぐって去っても
くぐる様子を波音に伝えて
それが繰り返し鳴っている
確かなこと
いなくなった魚たち
駄目ではない
そ ....
蟻の行進またゐで歩く炎天
木に成りながら腐る実の形相
空中でキャッチ出来たかバッタを雀
今日も今日とてアラートな一日始まる
ライトスタンド裏の暗闇の中で
白い病院から出てくる二人の子供
線路脇の方から
梯子で降りてくる光の足跡
偽りから飛び出す
凶暴さを正しさで偽り続けた彼は
ここで生まれ変わること
そこにい ....
信号機の青 と、
群青色の空が重なって
眩暈に吊られてしまいそうになる
一日の仕事が終われば
世界の一日が始まる あさぎりの夏
また朝刊二軒分ほど残ってしまった
むろんわたしの ....
ただしく、生きたい
ハッ!
なにを青臭いガキの戯言みたいな言葉
吐いてるんだって?
いいや、そうじゃない。
生き、
生き生きて、
もう、
いいじゃないかってくらい
....
仕事場の
可愛いねえちゃんが
必ず
昼飯食べたあと
ハミガキをしていた
その
美しい
品のある横顔は
なんとも忘れがたくて
なんだか鮮明に覚えてる
僕は男だけど
ある日、 ....
夏空に飛行機が飛ぶと
ジブリだな~と
思い
なぜ
夏空だと感じるのか
ぐーーぐる先生に聞いてみる
雲がでかいんだって
....
真夜中、夜の公衆便所
消毒済の白磁の便器のなかで
妊婦がひとり、溺れかけていた
壁面の塗料は、鱗片状に浮き剥がれ
そのひと剥がれ、ひと剥がれのもろ ....
髑髏山の蟻塚は
罪人たちの腐りかけた屍体である。
巣穴に手を入れると
蟻どもがずわずわと這い上がってきた。
たっぷりと味わうがいい。
わたしの肉体は余すところなく美味 ....
私ハ私ノ顔ノ傷ガ嫌イ
アナタガユルシテクレテモ
何カ他ヲ褒メテクレタトシテモ
私ハキズが出来る前に
モドリタイノダ
立チ尽クス
マナジリノ裂ケタオトコ
私ハ父ガ大キライ
あなたにもある ....
やなことがいくつか続いた
なんだか逃げ出したくなる
逃げる勇気もないけど
今日が終われば違う明日が来る
それも違う気がする
今日は少しいいことがあった
なんだかやり切れた気がす ....
紙飛行機が、
上の階の窓から落ちてくるんです。
それも沢山なので、困ります。
─ある山村の小学校校長の嘆き─
最初はタイトルを「石破茂という快楽」にしようか
と思ったのです。 ....
忘れる
悪いことも
いいことも忘れる
千年前のことも
忘れた
ああ 忘れた
けれど
忘れ去らないで
思い出すこともある
いのち
今は亡き美千代さんが生前
私の笑顔を
「 ....
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