顔のない人と話した
現実は残酷だと知った
大きな一つ目を騙した
僕は呪われた
傍らに咲いた花を供物にした
いつか迎えに行こうと
・・夢に見てたん ....
カランの曲線、 月光のカーブ、
約束の柔らかさ、 角質のとれた張り紙
絡み合うタッセル
....
物理的接触不可です
この音声は無機質に告げて
その人の温度がもうどこにもないことを意味していた
そんなことはないと何度アクセスしても
エラーコード 0
温め直す工程は思った以上に遠くて
....
夢のなかで喋りすぎて
目覚めた朝の喉は
砂漠の楽器
おはようの声は
なににも震わせず
深い秋の空気に溶けていくだけ
あたりまえのような朝が(声が)
あたりまえに訪れるわけではない ....
多くのミスリードがあったことは
たしかだろう
多くのミストリートがあったことも
たしかだろう
腹を切る覚悟はできたか
おまえの罪を数えろ
まぁ待てと
話せばわかると
言 ....
踏切で通過を待つ献立の色は
徐々に透明を重ねて
温かい食べ物が相応しい
そう思うと
環状線の列車が織りなす風が
調味料の先の方まで伸び
わたしもまた誰かの
呟きのようなものだった ....
何処へ、ゆくの?
首を横に振るユウ
じゃあ、おいで。
ひとりぼっちは、寂しすぎる
カオルの手を取って起き上がるユウ
ジーンズの汚れを
パンパンと叩いてはらう
....
僕が惹かれていく人を僕は分かる
この心とは長い付き合いだから
憧れを追う人に僕は憧れてしまう
間違いない、磁石くらいの正確さで
13枚のカードを差し出されて
ジョーカーを撫でる指 ....
さんざん迷って句集買わずにマフラー見て帰る
泳ぐように雑踏を歩く老婆
目新しさも三度拝むと飽きてくる
歩きながら煙草とか昭和の男だな
新調したダウンコートの出番が無さそうな ....
そのときマルティンはブルーノが言ったことを思いだした、自分はまったく正真正銘ひとりぽっちだと思い込んでいる人間を見るのはどんなときでも恐ろしいことだ、なぜなら、そんな男にはどこか悲劇的なところが、神 ....
つまんなぃ
僕の中の
いつの日かの
彼女は
いつの日か
言っていた
つまんなぃよ
僕ら
繋がっていたんだね
あ、ヒトラー
俺からしたら
チャップリンなんだが
つ ....
絵筆から真黄色の雫が滴った
やがて拡散する
時間は逆流しないゆえに
それもまた水中で濁りになった
色が解けて 色に染まる
ひとひらの仄かな慕情が
ひとときの流れる劣情が
たちまち伝播 ....
文字
何年も
あでもないこでもないと
試行錯誤 繰り返して
全裸で森羅万象について
興味を持ち続けていれば
世界が相手でも耐えられ
赤子のうんこもタラーリ
おいしいワク ....
ふるさとの秋の夕暮れは
寂しくて切ない
一人暮らしの老人が
木戸へ出て
通る人を待つ
ふるさとの秋の夕暮れは
寂しくて切ない
散歩で立ち寄った知人に
「明日もまた寄ってね」
と声 ....
温度のフチをずっとなぞっていた
ずっとなぞっていた
融解寸前の檸檬に
掌を差し出して
低音火傷の感触
楽しんだ
液晶
ずっと歌っていた
歌っていた
美しい花をくるんだ
新聞紙に ....
良い詩、隅々が瑞々しいよ。
よいしすみずみがみずみずしいよ
躱した私は蚊。
かわしたわたしわか
水もなみなみと、皆水面住み。
みずもなみなみとみなみなもずみ
澄 ....
僕は僕に解けない問題を出して、
髪の毛を掻き毟って、頭を抱えさせる。
たとえばこんな声がする。
「君は誰?」
「どこから来たの?」
「偽物って何?」
「本物はどこにある?」
「君 ....
冬の日の家のある子に布団なく服なく指の肉崩れ落ち
秋風の楽しさ終わり十一月どれだけ生きてもわからない月
夢ばかり見ていないでとの遺言を残さずに父は他界しました
右左三つ編みでゆく道に ....
ケンケンパー、ケンケンパ!
意味もわからないまま、
飛び跳ねて、着地するを繰り返した。
何が面白いのかは、わからなかったけど、
あの子の笑顔のために跳んだ。
そうして誰かを模倣して、 ....
{ルビ木犀=もくせい}の匂ひ{ルビ幽=ひそ}かや朝の窓
薬湯を{ルビ浴=あ}みて{ルビ無月=むげつ}の夜更くる
日米の笑顔の会談秋ひと日
大丈夫かじぶんに問ふや冬隣
リハビリをさぼり始めて
二十日ほど過ぎた
理由がある
誰にも言わない
誰も聞かないし
知りたくもないだろうし
私がかのよに持ってゆくダイヤモンドを鏤めたマグカップに注いで
無理だ ....
終着駅までの全ての往路が足し算の暦なのだと
信じきっていた頃も確かにあったことを思い出す
アネモネの蕾を見て安堵したように降り始める雪がある
事はまだ知らなかった
降りつつ、積もる雪で ....
嫌になって、旅に出た。
400ccの単車を積み込んで、船は海を行く。
街では見えない星が、よく見える。
暗闇に浮かぶ寄り添った人影。
僕のそばには、月影が浮かぶ。
流れ星が流れても、 ....
卵は繊細だから、
ゆっくり丁寧に扱ってやらなきゃならない。
黄身が崩れて、白身と混ざってしまっただろう。
大丈夫。目玉焼きは諦めて、スクランブルエッグを作ろう。
少し牛乳を入れるのが、曾祖 ....
心が震えたのは
勝ち越しホームランのときでも
世界一を決めた
ダブルプレーの瞬間でもない
ブルペンで
投球練習を始めた
そのときだった
まさか行くとは
思わずに見ていた
....
十一月一日
悪天だったがこの日を逸すると雪が降ってしまうかもしれないと思い、向かった。冬枯れの登山口は老いた自分の終末への入り口のように静まり返っていた。
冷たい雨が時折強く、その上風が木々を ....
大文字になって寝かされ、倒れるように横たわるも
煤けたランプが瞬いている 肉を刻む出口は遠い
開始を告げるアラームもまた鉄骨のした
あかりが 途切れない という 身を 投げて 死ぬ
ハ ....
短い秋みつけた
ふだん飲んでいるペットボトルのお茶。
冷蔵庫で冷やしたりレンジで温めたり
冷たくても熱くてもおいしいのだけど、
短くなったにせよ行楽シーズンのこの
季節は常温のままでもお ....
漏れてる
あっ、漏れてる
あっ、あっ、漏れてる漏れてる
漏れてるってば
もーれーてーるーぞー
どうして漏れてるか知らんけど
何が漏れてるか知らんけど
漏れてるという事実は如何とも ....
毛糸を無心した
小母さんに
何に使うの
あやとり
優しく笑って毛糸玉
手に取って切ってしっかりと結んで
はい、って
六歳が一番欲しかった
赤い色の毛糸でくれた
....
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