粗末な哀しみを夜に浸し、
柔らかくなった端くれを口へ運ぶ
牛脂の付着した鍋に、
豆と小麦粉、
岩塩を加えてシチューを作った
焚き火に、美しい魔女が裸で踊っていた
火のそばが母の ....
師走がすまぬという
みんな居なくなってすまぬという
やさしい言葉をかけるのを躊躇う
やさしい言葉が渦を巻いて襲ってくるのを躊躇う
助手席に乗せては苛々が募り
飽きもせず ....
失われたのか
無かったのか
どこまでもつづく橋桁
どこまでつづく鳥と波
蒲公英の種子の空
隙間から降る宇宙の午後
誰も居ない径に
部屋に積もる
何処から ....
四千年の歴史を自慢する國があったとさ
チャチャいなチャイナン
戦争にあけくれ
その度に勝利した王様が支配する
伝統もなく歴史が途切れ
血で地が赤く染まる
チャチ ....
2025年12月9日、
きちんとした生活をしているという実感が、どんどん意識から欠けていく。格好付けているみたいだけれど、最近、英語の本ばかり読んでいる。ブローティガンの『In Watermelo ....
先日、谷川俊太郎のインタビュー集を読んでいて、一番興味深かったのが、詩人の一番の特質として「ネガティブ・ケイパビリティ」という能力が何よりも大切だ、と書かれていたことだ。長く引用するのは気が引けるの ....
誰のお好みなのか甘ったるい世界
たっぷりふりかけたザラメ
お約束通りに襲いかかるサメ
海でも温泉でも宇宙でも血は赤い
まだこのからだは暖かい
落ちてくる肉と魚となまぐさい雨
乾いて血の ....
つまらない戦略
真正面から来ない
重いガラクタ着けて
惑わされるとでも思ったか
そのダサい戦略
幼稚な心理戦
本質や真心を置き去りに
利益だけを求める
つまらない戦略
....
リンネルの
浅いシャツ
荷台に腰かけて
夢見るように
夢を見ていた
わたしにはいつも
掴めるものが
用意されていた
時々それは
誰かの手や背中
時々それは
雲の切れ端 ....
脚色に至った さいのうみのはなし。
話者の現実認識は倒壊し、示唆される程度に{ルビ聳=そび}やかせて。さぁ――わたくしの意識とは却って模倣であり、遠い目をして、おおく奔られる 小首を傾げてい ....
恥ずかしいことの言語サラダ
唐突にわたしたちのヒューリスティックスが
肌の自在にさわったから
今何してる?mtg?
最大のフルーツは今日も
小さな花をひらいている
見て、嗅いで、触 ....
まだ何かを期待している
おまえ!
おまえだよ、おまえ!
自称詩人になってしまった時点で
もう何も残っちゃいないのが
まだ分かってないのか?
あ、どうしょうもねえ奴だな
秘密組織に言って
....
私が私に食べられてしまった
私は吸い込まれ、消化され
無の中へ溶け込む
時を失い、時と一体となり
夢の中を泳ぐ
詩によって孤独な戦いを強いられている
木の葉が井戸に落ちて水の輪が拡がるように
深く深く地底まで潜り込むように
言葉は解釈を違えて迷子になる
託した想いは誰かの思いにすり替わっては
....
林檎の内部には
乾いた正常な絶望があり
その鏡の
理想化された煙の海辺で
きみの通過できない空間が
雨に熱狂的な暗示を加えている
雨は吟味された言葉の正義と連続性
そして消費された壮 ....
○「お茶飲み話」
兄弟や近所の人たちが
何気なく集まって
お茶を飲みおしゃべりをする
いつまでもこの平和が続きますように
○「人類の危機」
もう国どうしで争っている戦国時代では
ない ....
君の音が途絶えてひさしく
陰か
陰に
陰だ
振り返った電信柱の裏に
光が眩しい曲がり角に
車窓の先にある河川敷を歩く人に
君がいた
幻が現実にかぶさって覆い
目は
正解を見た
....
日本人には責任という言葉の意味が
わからないのじゃないかと思う
やっぱりあれじゃないですか
腹を切る、ザシュ
切らなくていいから
今度、穴埋めしてくれよ
僕は責任の意味、わかっ ....
窓口で呼ばれるのを待っている
番号札を握りしめて
延々とオルゴールが回る
私は大層な夢を
にじむ目で見たが
光ばかり
きらきら、きらきら
夢がにじんで
許してくれるような
余地も ....
{引用=
白い吐息に、
深山は十六夜の雪明り
影を踏む音も 粉雪にすわれ、
人の気配など
ありようもない午の刻
新雪に足跡を残しては、
森をさまよい
さまよい
....
(自分は必死に必死に必要なことだからと堪える
、)衝撃を背景にして(耐えるけれども同時に
今)すこしとぎれた
ヒトが憂げにあまる一話一句を。
狭い砂時計の護岸を彷徨う住人にと ....
「ソルト曜日」
不老不死の種を手に入れた
水鳩池のアヒルは
真四角を真正面に置いて
説教を止めない
「ラムネ曜日」
倒木を眺めている
鳥の背に雪が降る
左巻きの蛇の舌
傘より ....
怨霊は穏やかに、奈落の底はなだらかに落ちる、誰もが気付かないうちに二度と這い上がれないところまで落ちてしまう、そしてあらゆる拷問の餌食になる、あの世の目的は別にある、天国だの地獄だの信じる必要は無 ....
この鯨の背から望む{ルビ黝=あおぐろ}い海はいつ果てるのかとんと判らないのだが、僕たちは進まなければならないのだ。ときたまに視界を滑空する海鳥たちは果たしてどこでその羽根を休めるのか、僕は夢想しながら ....
○「老いと死をみつめて」
生きている
のじゃない
生かされているんだ
生まれるのも死ぬのも
自分の意志ではない
人間誰一人
死のうと思って死ねるもんじゃない
生きようと思って生きれるも ....
戦争?
そんなわけのわからないことのために
死ねるか
もうわけのわからないことのために
なんと多くの生き死にが
五里霧中って感じですね
今となっては
健常者(笑)ですよ
....
あなたを苦しみから救えるのは
言葉だろうか
歌だろうか
休みだろうか
報せだろうか
....
+
かわいい、
やさしいことをしよう。
朝焼けがすきだ。
夕暮れのなかでお月さまを
みつけることがすきだ。
一度も開封されていない包丁の
パッケージをみるのがすきだ ....
どこへむかって 富んで征くのか?
(じつに青い鳥とは悪意であろうよ)
なにをおもって 演って来た?
(みじめに 揺れたのですよ)
つたえることもなく、みえやしないか
(極限を おも ....
「マルチタスクができる人ってすごいよね
左右の脳で別々のことできるんだって」
「へぇ、そうなんだ」
路線バスの中で前の席の女子高生が会話が
私のタスクに割り込んだ
いやそれは間違いだよと言 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39