ぐるうりと、ぐるり山に囲まれた、この谷間の村だで。
寒い季節になると、ほれ、屏風山から山おろしの風が、
「ごうごうっ、ごうごうっ。」って
まんず烈しく唸るんじゃ。
その、ずっと向こう、白むくの ....
一人の老人がベンチに腰掛け
腕時計を止め
目の前を過ぎ去る人はなく
街並みだけが歩いてる
過去が現在に蘇り
現在が過去へ逃げ去る
老いは今を知らない
知る ....
ビルの立ち並ぶ、鉛色の大きな町の、底冷えする裏通り。
そこに、子どもたちが大好きで、彼らの前では、銀河の彼方のほんとうの幸せを、細い目をして語るおじいさんが住んでいました。おじいさんは町に一軒の時計 ....
+
ちいさな秋のなかで、ちいさくなってゆくぼくのなかの夏の風景。手をふるきみと出逢えただけのただの木漏れ日。
◯
いま、うちひしがれる想いとすでに手を繋いでいて。大変だったね、こ ....
煮詰めた汁
きつい橋からただよう測り方もどうせ数字
どこにもない女がトー横も腐れ縁しばらくYouTube
ガスがいくらも漏れて12万で安かった40万もいた
ギリ ....
紫陽花は、雨の季節に、静かに生まれました。
ひと粒ひと粒、雨のしずくを、その葉と花びらに受けるたびに、紫陽花は、まるで涙でできた水のお城のように、透きとおって光りました。
ある、ひっそりと ....
むかし、北の山あいに、たったひとりだけ色のちがう鬼がいました。赤鬼でも青鬼でもありません。その鬼の肌は、冬の曇り空のような――淡く沈んだ灰色でした。
仲間の鬼はみな、虎の褌を締め、強さのしるしの ....
スターターピストルが鳴った
言葉がフライングしても
やり直そうとしない
怒号や罵声が飛ぶ
失格になった
おかしな未来がゴールで揺れている
一度発した言葉は
なかったことにはできない
....
大事にしたかったんだよ。壊したのは私でしたか?陰で何時間もしつこく言う事があなたたちの正しさでした。大事にしたかったんだ。距離感をまもっているつもりで居た。わたしは壊れてしまっても思ってるよ。元気にし ....
「絶対」とか
「何が何でも」とか
不要な力みでしかない
過剰なイエスとでも言おうか
不自然な力は
力というものを
発揮しない
「絶対に叶えてやる」とか
「何が何でも達成して ....
○「独居老人」
いるか いないか
いないか いるか
玄関は閉まっている
カーテンは開いている
新聞はポストの中
いるか いないか
いないか いるか
戸をたたいても反応なし
声をか ....
寂れた窓は動かないふりをし
ひたすら外に目を向けていた
季節の香は失われ
残酷なほどに生をむさぼり続けた
虫はいない
寂れた窓にとって
そういう喧噪ははなはだ懐かしく
色合いの違う風に吹 ....
朝顔が知らないうちに、ひそやかに蔓をのばしていたので、
庭の人は一本の竹をそっと添え木にたててやりました。
その晩のことです。
夜は早くからしんとして、星はどれも遠くで息をひそめ、
虫 ....
耐えられないくらい辛い時。風景の一部になるんだ。夜の街の人波に紛れて。誰も私の事を知らない何処で。心拍も。呼吸も。止まって。存在していることが肯定されている気になれるまで。ずっと。彷徨う。さだめ。
口から生まれてきたみてぇな馬鹿がよ。
知った風の口ぶりで喋り続けてる。
永遠みたいなその語り、
言葉の端に滲む――
小賢しさが!
しゃらくせぇんだよ!
急に黙るんじゃねぇよ!
こっち ....
陽は少し高く登り、白さが緩み始める
まだ静かな住宅街を歩いていく
土手を登って見えるのは広く穏やかな河川だ。
「川と言えばこんな感じだろ?」
買い替えた自転車の試し乗りには遠すぎるサイクリ ....
私の見せている光は闇でできていると誰にも見えてない。だって笑っても笑ってない事は、癖だからだよ。心からの笑顔は何時の頃か、張り付けられた笑顔になって。気遣いは、生きるために結んだ糸で。ぐちゃぐちゃだっ ....
デフリンピックの初めて日の目を浴びた障害物競走で
披露される前にはがれおちてしまったマスキングテープ
幾年もかけて磨きあげてきた模様は内側に巻かれたまま
障害を越えて百メートルコースを彩ることな ....
罪が確かに罪ならば
罰があとから刺さるから
レ、ミゼラブルのジャンバルジャン
呆れて笑ってくれるだろう
ひとりで生きていくことが
幻想だって知っている
昨日や今日の悲し ....
与えられた、全てが宝物で種である。芽吹く瞬間の痛みは、存在したことを証明してくれる。鼓動の速さは見えないけど、爆音で耳の奥から聞こえてくる。身体を縮こまらせて流れる涙。大事にしてるよ。忘れてない事全て ....
+
すこしずつ、ぼくもレモンになってゆく。米津玄師は気持ちの面で、ぼくの親戚だ。気持ちの落ちつきは得難いものだ。おんがくをお聴きする。
◯
ラジオをお聴きすることでも繋がりの輪に ....
○「潮騒の町」
┅┅ ┅┅ ┅┅
私は潮騒の町を
ゆっくり
どこまでも
歩いて行きたい
┅┅ ┅┅ ┅┅
繰り返すさざ波を聞きながら
ゆっくり
どこまでも
歩いて行きたい
┅ ....
○「選択社会」
自動販売機の前に立つと
僕はいつも選択に迷う
喉をうるおすだけなのに
多くの選択肢がある
ある時面倒くさくなって
パッと見てパッと押したら
飲みたくない飲み物だった
あ ....
虹の欠片をあぶくの妖精から授かった少年の胸には、小さな幸福の光がひそやかに灯っていました。
その光は、波間にささやかに揺れ、海辺の生きものたちにも静かに届いていたのです。
狐は、その輝きを ....
残虐な殺戮のイメージはいつだって俺をほんの少し冷静にした、それが俺にとってどんな意味を持つのか俺にはわからない、それはずっと俺の中にあったし、時々はグロテスクに蠢いたりもした、挑発的なカラーリング ....
その日わたしたちは
明るいうちに別れた
陽の高いうちのさようならは
夜よりも錆びてはおらず
明け方よりも健全で
互いの悪口なんて言わない
だからわたしは
これが さいごだなんて
考 ....
あんなに悩んだのに 神様にも聞いたのに
結局、サイコロを 振ったような未来が
何度も鏡に映して 鏡の私に問いかけた
赤色のワンピース 今も値札がうなだれて
私の夢は いつも優しいだけで ....
わかちあう
べきなのだろう悲しみも
ふたりはいつもひとつだからな
そんな声
聴こえて夜のひとり寝の
低いベッドに座りこむ冬
生きかたの
ベストを決める ....
六十八匹の鈴虫を埋めた墓を
母の庭帚が一掃した
落ち葉をしだくような
笑い声に見合う顔を思い出せずにいる
まだ蝶結びができなかった
大雪を抱えた空の下
厚いコートにナイーブな獣を隠 ....
○「人生」
人生は
問題解決学習である
さて今回は
神社の大麻販売問題
大麻とはお札のことだが
割り当て販売である
一部千円で15枚来ている
30世帯もない自治会で
こんなに売れるわ ....
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