私は泣いていない

張り詰めた冷気に凍える
空の欠片が溢れだして
私の頬に届いたのかもしれない

静寂と生活の合間を震える
落葉樹の葉から露がこぼれて
私の頬を伝ったのかもしれない
 ....
○「無知」
「何が正しいことなのか?」
「何が幸せなのか?」
大事なことがわからない!
わからないままに
求めたがっている

○「年を取ると」
年を取ると
缶詰のフタが開けられない
 ....
水溜りがあった
大きな客船が浮かんでいた
甲板からあなたが手を振っている
わたしも泣きながら手を振り返す
別れには涙が必要な気がした

数日後、水溜りはなくなっていた
船の穏やか ....
○「感謝がなければ」
感謝がなければ
たとえ長生きしても
人生はむなしい

感謝がなければ
たとえ金持ちになっても
人生はむなしい

感謝がなければ
たとえ出世しても
人生はむな ....
未完成なまま動き出すこの気持ち
戸惑いだなんて綺麗な言葉じゃ飾れなくて
ただ確かめたい 口紅色の危うさを

嘘をください 君を信じられる
嘘をください 君が隠したい君を

ねぇ、君は“嘘 ....
閉じた目は漏れる朝日を見ている。
そう、始まりが来たのを知っているんだ。
意識は閉じたふりをする。
虚無が訪れたのを悟っているから。

目玉焼きの爆ぜる音、白味噌が甘い香りを漂わせたら…
 ....
世界の広さについて私が語る必要はない
はるかな水平線をながめて
誰が世界はここにしかないと思うだろう

宇宙の広さについて私が語る必要はない
空一面に輝く星を見て
その先に思いを馳せないも ....
○「早起き」
朝5時に起きるようにした
朝早く起きると心身の調子がよい
一日が充実して感じられる

○「終活」
友人Tは
毎朝4時に起きて
「天声人語」を
丁寧に書き写している
も ....
十一月の雨はどんな気持ちで降っているのだろう
十一月の雨は、冷たくなれば雪になるけれど
ほの温かい、いくぶん霧雨のような朝には
ため息だけを増産する

十一月の雨は、まるで生活することに疲れ ....
荒れ狂う波のように
激しい彼女が

今日は一言も発さずに
まつ毛を伏せた

この恐ろしくも静かな時間のどこに
荒波が潜むのか
鼓動は脈打ち
浅い息を繰り返す

瞳に宿る粒の気配が ....
透明な風羽ばたける春の海

吾もまた雑草として春時雨

雲の上でも降っており冬終わる

砂ひかる一人三月の島に立つ

フラココや東海汽船イルカくる

故郷に晴海ふ頭や桜貝

青 ....
私がまだ
あなたの子孫の
最初の日にはもちろん
衣服を身につけると知らずもちろん衣服を選ぶことも知らず
もちろん日本語は持っているわけもなく


いつかのご先祖様のあなたは
愛をかts ....
君を思い出したくないんだ。

「寒いんだから良いじゃん」
腕を絡ませて、もたれるように歩く。
寝返りも打てない距離で眠る。

散髪(美容院?)に行って、
髪がないと騒いだり、
風呂場の ....
とても卑屈に落ちた時
見上げることなど役に立たない
そのことを本当に知っているあなたは
宇宙のどこかにいるのだろうか

そう思って私は空を見上げる荒れるはずだったのが嘘のようなすぐに私は背中 ....
普通って何
異常が
普通になっちゃった
異常が普通の
顔して歩いてる



私は
無力だ

思うこと自体
おこがましい



さまざまな存在に
感謝することを
 ....
酩酊を思わせる振動がずっと続いていた、思いつく限りの暗色をすべて混ぜ合わせたみたいな空の色だった、何処かでずっと俺のことを見つめ続けている目があるような気がしていた、でもそんなことは別に初めてじゃ .... ○「台湾有事」
その前に熊有事である

○「人生転倒」
枯れ枝男や浮き石女に
気をつけよう!

○「我慢ができない」
年を取ると
小便を我慢できない
待つことを我慢できない
黙っ ....
別に着飾るわけではないけど

動きやすくて

心地よくて

少しだけ奇抜に

自分をちらりと

表現できると

いいな!

それが個性だねと
『父の献立』たもつ
https://po-m.com/forum/showdoc.php?did=393547

孤児養護施設で育ったわたしは〈家族〉とい
うものを知らないので詩や小説というも ....
地球と接地する全長25cm
右 左 のリズムで地を踏み その黒色を示す
窮屈な足の住処は僕を目的地に運ぶ

歩いて、走る
コンクリートや大理石、草原や砂利道
汚れ、擦り切れて
歩いて、 ....
約束の果てで 果てと
ほほえみの
交わされる時
命は
叶う

その時までに
命に従い生き切るの
命に従い生き切るの
ああ

それぞれが、
世界のあとに在り
世界のせんたんに在 ....
冬の最後の陽光が自らを惜しんでいないと
知っていながら私は部屋で
明日などないと固く
信じ切って ただ

ほおけていた
今この瞬間の悲しみを可愛がり
手のひらに乗せたり
ベッドに寝かせ ....
偽物か本物か、
俺には関係ない。

誰かと同じバッグが欲しい
誰かと同じハットの被り方
誰かが褒める何かのなんか

在るのが俺だけなら
全部不要だろ。

そう語るまで、
何度も語 ....
一、 娘は 見目麗しく
    寒さの夜さえ
    せつなく 手を伸ばし 
    家の近くの男たちを徘徊させる

一、 化粧気など 少しもないけれど、
    美しく それはき ....
体ほどもある真白な画用紙。
指先ほどの6色クレヨン。
そいつで幾つも石を積み上げていく。

色を変え、形を変え、飽きもせず。

賽の河原みたいだね。
ーー違うよ、お城だよ。

できた ....
温度はリズムだときみは言った
そうだね、窓を開ければそこには
夜の音がひろがる
透明な町
メタリックブラック、複数のビル
高い場所で永遠に回転する光


風は傷のようで
目には見えな ....
理由があって神経をとがらせながら
ほとんど毎日を泣き暮らしている
ほとんど毎日決まった人たちに
メールか電話をして呆れられてる
けれど皆優しいからあれこれと
まくし立ててもいきなり呻いても
 ....
駅前のコンビニで
財布の残高に躊躇した

紙幣は
未来へ乗り継ぐ切符である
硬貨は
食料庫を開ける鍵である

ATMの視線を感じたが
出世払いの見込みはない

お金が無いと生きて ....
{引用=「○○をめぐんでくれないか}
うす目をあけた明日が見つめている
月の向こうからじっと
沈黙は花 だがあれには歌がない
臨終の瞳を覗くようで
どれほど愛おしんでみても(仮に)
概念だ ....
人は死して

火葬される

だけはカンベンしてください

地獄の火鍋より熱く

阿鼻叫喚より苦しい

死後とはいえ

味わいたくない

善良な市民として生きてきた

 ....
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