長い長い旅をして
家に帰ってきた
そんな気がした
私自身という生命の家に。
自分自身からは逃れられないから
自分の生命を浄化するしかない
自分という生命の家に
帰ってきた私は
本当の意 ....
答えはひとつじゃない
誰も採点なんかしない
だから思うままに
自由でいいんだよ
他人と違ったって
心配なんかしないで
持って生まれた感受性
自分を信じて

テストみたいな回答で
伸 ....
馴染んたマグカップの内側に
ある日小さな傷ができて
次第にそれは珈琲の色に染まった
洗っても洗っても色は落ちない
傷は傷として生きていく
宇宙の理のようである

朝、
深い藍色のそのマ ....
○「長生きの意味」
今こそ
一人一人の年寄りが
考えなければいけないことかもしれない

○「小さい幸せ見つけた!」
若い頃は
遠くへ幸せを求めたが
年を取ると
身近に幸せを求めるよう ....
喉が静かに萎れてる
瞼がおもたく透けている
わたしは岩背を踏みしめて
裾野の灯りに目を凝らす
冷たいあなたの肌を撫で
しなだれながら 咲いている

わたしの毛皮は月光を
打ち据え輝くも ....
風に運ばれるその甘さは
孤独な夜をやわらげる
螺旋を描く階段を
昇ってくる気配のようで

街のざわめきは遠くに沈んで
ここでは沈黙を守ることが
唯一の祈りのかたちになる

煙草の灰が ....
夕方、とても冷たい風、ちいさな米穀屋の前の自販機へと缶コーヒーを買いに行く。ガラス製の古びた開き戸には金色に印字されている「米の協栄」(「米の」の部分は小文字、「の」の字の左隣から大文字で「協栄」)、 .... まばゆいきもちや
しんみりに
値段がついて売っている
魅惑的に陳列されて
わたしのポッケのなかでお財布がしんみりとする

もしも手に入ったら素敵でまばゆい日々に
なんてなるわけもない
 ....
人知れず静かに閉まるコンビニのトイレのようにありたくもあり

​スーパーの見切り品みたいなパサパサのきょうのじぶんに穂村の弘

水を飲むそれだけのことをしてみたら水だけの音が夜をながれる

 ....
いつかこの命の中に潜むものを白日のもとに曝さねばならないと気付いたとき俺は自分が生まれて来たわけを知った、たくさんの言葉が繰り返された、たくさんのシチュエーションが構築されては洗い直された、かたち .... 私は
夜な夜な
魔法のクリームを塗る
こころに負ったかすり傷を癒すために
《大丈夫、大丈夫。
《うんうん。
《よしよし。
そんな成分のクリームを塗る
それが甘えなのだとしても
自分で ....
遠くで

洗濯機が動く音を聞きながら

二度寝を楽しむ

夜明け前

目のよくない夫は

迎えにきてくれた友達と釣りへ

ほんのすこし 

ホッとする

この気持ち ....
いろいろな意味があって、丁寧度とか上がっていって。
色にはミリがあって、節度があって、光明があって。
ぱっくりと割れた傷のような音が流れてて。
小声に出しては消えていく、青いルビーが転がっている ....

今は昔の出来事です。過去の影から送られてきた命の種が発芽するまで、ここは私の居場所じゃない。出来事なんて本当は起こらない。ばしばし叩くエンターキー、私の指の骨、ネズミの日、音楽なんて巨大な内部の ....
きみの丸顔、
雪見のましゅまろ、
笑うと、目が細くなる、
そのすこし下がった眉のしたに、
まるでふたつの三日月ができあがる、
とぉーっても人のよさそうな、
きめの細かい、
バニラの花のよ ....
羽ばたく直前に喰われた蝶
踏みしめられた新芽
強風でちぎれ飛んだ風鈴

未然に産まれて
未然で死ぬ
何者にもなれない
地の塵になるのが唯一の幸せだと

雪のように君のように
晴れた ....
午後11時37分
駅前のタクシー待ちの列に並ぶ

星のない夜空に
ぽつんぽつんと浮かんでくるのは

今日の飲み仲間

いつもの見飽きた赤ら顔
お久しぶりの伊達男
歳をとってもマ ....
○「死」

死は

一つの終わり

なのかもしれない
変な米食ってる
炊き立てはまだいい
けど少しすると
パラパラ
ぺしゃぺしゃ

繰り返し
聴くに堪えるに
できている
けど聴かない
僕が作ったからだ

もちろん
幻聴でない
 ....
 毎日、六粒の安定剤を飲んでいる。それを知っているのは、たぶん自分だけ。母には「五粒」と言い、元妻には「四粒」と伝え、子どもには「ラムネだよ」と笑ってごまかす。医者にも、本当のことは言わない。

 ....
【花】
花ってさ
何でこんなに綺麗なんだろうね
だって
鳥とか虫とか引き寄せるだけなら
こんなに綺麗に咲く必要なんか
無いわけじゃん?
それなのに
まるで鑑賞されることが解ってるみたい ....
国語の先生になり損ねた
中島みゆきでやんす

僕もその口です

でもみゆきファンです
マーク・ボランも大好き
ブライアン・オールディスにサインもらいました
アーサー・c・クラークにも
 ....
○「小宇宙」
人は
それぞれ
自分の宇宙の中で
生きて死ぬ
人は
永遠に孤独である
夏至までカウントダウン
これからもっと暑くなるのに
寂しさに汗のトッピング
父さんは夏が好きだったけど

わたしは十一月を待ってる
日本は十一月からの半年でいい
毎年   雪の降らない町 ....
あんな背中
こんな背中
そんな背中
無言で語る
表ではわからない真実
裏は雄弁
抱きしめてあげたい

自己紹介は
背中を見せてね
せなかを
せなかを

後光射すお年寄りの
 ....
白線の外側には
出られなかった気持ちを
服のポケットで押し砕く
(一糸乱れないように)


フェンスの向こうにある
夜明けという抱擁の残酷さよ
迷い子の蛍たちが
溶けたチョコレートを ....
冷たい風に吹かれて枝から剥がれ落ちてゆく、いくつもの枯れ葉、オヤジのハゲ頭にも夕陽が宿って、みずからもまた夕陽となる、髪髪(神神)のたそがれ、没落にはすべて神話がある。 私にとって、詩を書いて表に晒す。この「晒す」までが詩を書くと言う行為なのだが、
なぜ「晒す」ことが必要なのかと言えば、
「そこで初めて編集者目線にチェンジできるから」
としか、言いようがない。
 ....
夢の中で夢を見る、これから彼女に会いに行こうとする夢の中の夢を見るけれども会いに行こうとしても準備に追われてなかなかすぐには会いには行けないそんな夢の中の夢を見るそんな必死に会いに行こうとする夢の中の .... (…)当時、彼は父の農場で働いていたポーランド人の女中を愛していましたが、夢想のなかで自分がこの美しいひざの上に、女中となった聖処女のひざの上に坐っているのだと想像し、女中を聖処女に混同しているのでし ....
洗貝新さんのおすすめリスト(1836)
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