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人知れず静かに閉まるコンビニのトイレのようにありたくもあり
スーパーの見切り品みたいなパサパサのきょうのじぶんに穂村の弘
水を飲むそれだけのことをしてみたら水だけの音が夜をながれる
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毎日、六粒の安定剤を飲んでいる。それを知っているのは、たぶん自分だけ。母には「五粒」と言い、元妻には「四粒」と伝え、子どもには「ラムネだよ」と笑ってごまかす。医者にも、本当のことは言わない。
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{引用=「お金」
お金のようになりたい
お金を沢山欲しがりはしないが
お金のようになりたい
「あなたに」
なにか言おうとして
だまる
そんな事たくさんあったでしょう
ぼ ....
初秋だ。
寒さに目を醒まされる朝が来る。裏戸を押して足下を見ると、枯れ草色の蝗が犬走に一疋かたまっている。ぼくも、一時、じっとなる。あ、ども——と言いたくなるほど、ちいさな沈黙が胚を抱いている。
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{引用=○備忘のことⅰ(倫理)
許すことのできる人は
許される熱をもつ人
それはまるで
書く術を知る人が
熟読を心得ているかのよう
○備忘のことⅱ(微熱にて)
上顎が痛痒 ....
それにしても
いい詩がたくさん
こさえられては
わすれられていくなあ
いい詩っていうのは
よんだらなんだからふわっとして
金木犀みたいな香りがする
知ってる
知ってるよ俺にはそ ....
{引用=「少年のころ」
少年のころ道草をよく くって帰ったものだ
冷凍食品工場があった
友達のおかあさんが勤めていた
意味もなくいやで まわり道した
子供らしい体温で
大人のに ....
とある事業所で働いている。四時の会議の前に五分だけ時間があったので、久しぶりに声をかけてみた。その、文学好きの女性の利用者さんは待ってましたというように、堰を切ったように早口で喋り出す。ぼくがふだん ....
{引用=「ねこのみみ」
からすがとんで
むしがなく
あかつきかすかな
かぜごこち
いみしんちょうな
ててっぽっぽう
おとぎばなしも
すたるとき
おかまでたいた
ぎんしゃりの
....
めいっぱい仕事をつめこんだ
ADHDの鞄
ふたまわりも下の人が
リスケと言って
はじめてリスケの意味をしった
ぼくの歩いてきたのは
何処の砂漠だったか
おせわになった人の顔も
いや ....
{引用=「夜」
それは
くらくて
おちつく
それは
しずかで
ひかえめ
つねに
はんぶんが
そうで
もうはんぶんも
どこか
こがれている
その
はんぶんに
....
「重力」
電気を消す
横たわる
重力に素直になり
ここちよい疲労を受け入れる
わたしは
有能でも無ければ
あまりの無能ですらない
父であり
子でもある
隠し事をし
真実をすら ....