恋が終わると
理由を付けなくても詩が書きたくなる。と
誰かが言っていた。
ズタズタに切り裂かれ
泣き崩れて動けずにいた私も
思いの丈をぶつけるかの様にペンを握り
白い紙に殴り書きをする ....
○「五月の空」
若い女性で
死にたがっている人たちがいるという
なぜ?どうして?
若いみそらで
死んで花実が咲くものか
「一緒に死にましょうよ」は
悪魔の誘惑だ
脳の錯乱だ
....
どうせなら
僕らのこの世界が
なんの悩みもなく
あまりに平穏で美しい日々なら良いのに
またそのくらいのことは
神にならできるはずだ
人々はお互いを心ゆくまで尊重しあうんだ
戦争も犯罪も起 ....
音もなく消えてく景色
夢のような光
きっと終わりが来ると知っていた
消えてしまうとしても
ぼやけた残像
吸い込まれる衝動
痛みと希望
心の中で暴れる
言葉を飲み込んだ
静かに ....
○「SeX指導」
学校では大事なことを教えない
○「キャッシュカードセキュリティ」
郵便局のATMでは
3回パスワードを間違えると使えなくなるが
窓口で無料で解除してくれる
ありがたい ....
偶然、ハートの形した
ポテトチップスが入ってて、手にとった
恋をしている人たちにいいことがあったらいいな、
うすぼんやりと思いながら口に込めた
周回遅れの
ほととぎすは
苦し紛れに何か
意味不明なことを言って
周りを惑わした
それを凄いなんて
言うやつがいたもんだから
こいつガチもんに成ったわけ
誰の評価だよ
それには誰 ....
母親からスマホのデザリングの契約を済ませたと連絡があった。ファイヤーTVの設定をすれば、YouTube番組を見られるようになる。
母が左派のプロパガンダから、少しでも保守よりの情報を検証し ....
ふわっと、
花びらが舞いあがって、
春風が、
まるで透明なウェーブをかけた毛髪のようだ、
心拍が垂直に水を跳ばし
滑らかな曲線は鏡に切れ
凸面は新しく頭を下にし
脚を月に遠い空にうつし
それは鳥の群の{ルビ端=はし}をゆれ
教会へひとつ羽を落とし
埃をつつむ結晶に打たせ
運動 ....
静かに閉じたその目が
最期に何を見ていたのか
何か言おうとしていた
半開きの口に
問いかける声はもう届かず
涙が頬を撫でる
柔らかかった手は冷たく
黄ばんだ肌は蝋人形のように
固まって ....
窓際に 答えが 貼ってあった
コーヒーを飲み ビールを飲み ウイスキーを飲み
夜が来て 朝が枯れ またべつの夜が降りてきた
雨で濡れた道路が乾き あたらしい線が引かれた
見ようともしな ....
○「人の失敗は蜜の味」
また失敗した!
今度はATM
ワイフが金をおろしてくれというもんだから
コンビニのATMに行った
しかしパスワードを入れても
エラー
押し間違いかなと思って3、4 ....
シーズンを過ぎた大農家
私以外に
東京から来た青年一人
私の話す方言が嫌いなので
話しかけないでほしいと言う
ほほぅと思った
ある日の朝
東京青年と軽 ....
悲しみの中に私はいる
お互いが自分にしか目に入らないからきっと分かり合えることはないね
思いやりも真心もくそくらえだ
「あの人は誰?」なんて野暮な質問をしたりもしない
全てが振り出しに ....
運命見つめたら
霧の夢
ずっとずっと
心
君と遊ぶ霧の日常
混ざる交ざるわかる
ふと晴れて消えた
未来へ
霧の涙は
記憶にすぎない
目の前に広がる風景は
思ったより悪くない
....
小学校四年生のときに読んだ『フランダースの犬』が、すべてのはじまりだという。実際、彼の作品は、神を主題としたものが多い。二十代までの彼の見解は、サドが『閨房哲学』の中で語ったものと同じものであった。「 ....
中毒の剥がしの際に場が荒れて
マストです。巻き込まれたの不運なり
何かこうスカッとしたい、だからそれ
あかんのやスカスカスカス、負け戦
じり貧の夜を越えてく幾年や
○「泣き笑い」
うれしいから笑っているんじゃないんです
苦しいから笑っているんです
そういうときは深ーく笑えるんです
悲しいから泣いているんじゃないんです
うれしいから泣いているんです
そ ....
水蒸気が立ち上り
白く烟る農地
遠くには八ヶ岳
折り重なり連なる
パッチワークのそこかしこに
夜明け前から働く人たちが点点点
深く吸い込んだら
山の精 ....
とおく あさく
どこまでもつづく海のように
僕たちの罪は終わらない
それが僕たちの生を規定している
そうして決められた生とともに
僕たちはいるが
僕たちの罪の裏には
それにふさわしい ....
頭の中は常に混とんとしている。思考を切り刻んで並べてみれば、なにもさしたる問題はないのかもしれないのだが、何もできないでいる。と言っても、何もしないわけではなく、それなりに勤務仕事に出、家業も請けた ....
ウメが好きといっていた母が亡くなり
十三年もたち忘れていたころに
実を結んだことで思い出話しの花が咲き
居間の隅で笑っているご先祖様に会釈して
今日一日がやっと終わろうとし ....
女は朝早く家を出て行って、俺は彼女の最後の言葉をシンクの中で火葬する、昨日まで続いていた雨は止んで、ブルーの薄いスクリーンが貼られてでもいるように空は均一に青い、真夏の様な猛烈な光と熱が暴れ始めて ....
カーネーションが花屋を飾る
それでやっと思い出す
薄情だと自分で思う
せめてもの気持ちで電話する
久しぶりだね元気なの
困ったことがあったら言いなさい
声が聞けて嬉しい
こっちは元気 ....
車窓から見える白樺の森
希望の街を後にして
着いたのは無人駅
ボストンバッグを肩にかついで
見渡す景色に唖然
世界でたった一人になったかのよう
同時に
心 ....
スプレーばら、ひまわり、とるこききょうとガーベラで大きな花束を作った。それにあわせて百合やアルストロメリアを足したアレンジメントも。体が半分かくれるくらい大きな花束。作ったら足元に水をあたえて、こ ....
私が若かったとき
あなたはとても美しかった
美しいあなたに
偶然街で出会ったとき
私はそれまで
言おうと思っていた
言葉を言うことが出来ず
僕のこと覚えている?
としか口に出来なかった ....
句読点のように
あなたは
暮らしの中に
花を飾る
音符のように
あなたは
暮らしの中に
言葉を並べる
本の頁を捲るように
あなたは
暮らしの中に
楽しみを見つける
....
喫茶フィガロで食べたチキンカレー
オレンジ色の洪水が
厚めに切った玉葱とチキンとともに口の中でぶつかり合う
喉の奥で絡まる暑さと辛さ
まるで口腔全体が待ち受けたように全ての旨みを受け止める
....
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