日がしずむころ
竹節一二三

となりのとなりのとなりのへやの
めざましどけいがなりやまないので
ゆうがた六時半にそとにでた
まだ日はしずまず
ふだんよりずっと赤いかおで
西のやまの端にキスするようだった

あんがいあさい川の橋をおり
ひとつおかをのぼりくだり
ふたつかどをまがりまがり
みっつめの信号をこえて
いつものスーパーにいく
五十円びきのくるみパンと
ココナッツミルクのコアラのマーチを
買って外に出ると
日はやまにのみこまれていた

青と紺のいりまじる空は
茜色のくもをながし
難しい順でゆうがたの空になった
茜 黄 薄青 青 紺

わたしの中の人があわてて
わたしから抜け出そうとあしをばたつかせ
わたしはそれを止めるためにこぶしをにぎり
みっつの信号をはしり
ふたつのかどをまがりまがり
ひとつのおかをのぼりくだり
あんがいあさい川の橋をのぼり
わたしの住処へかえり
いつもよりゆっくりと紅茶を入れた
その揺らめきはやまの端のいろににて
とても怖くなった

ミルクを一滴おとしてかきまぜると
もう怖くなかった
よるとひるのあいだに
日はのぼりしずむ


自由詩 日がしずむころ Copyright 竹節一二三 2004-07-16 23:47:35
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