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ひとにみとめられて
いきていけたら
とおもうものだけれど

このだいしぜんに
みとめられているうちは
だいじょうぶのようである

このかきのきも
ことしのあきには
みを ....
 
 
わたしがみてるせかいは
サンプルだ

たくさんのサンプルをみて
えらぶのだ

ひとつだけの
わたしのサンプルを

だれかのためによういされた
サンプルをすてて
 
 ....
 
 
ふるさと
というものが
わからなくなって

しょもつのいえに
あなたはかえる

かえって
みたところで
わかったような
かおをして

なみだぐみ
ぺえじをめくる
 ....
 
 
古い知人に会った
五年ぶりに会った
会うなり僕の肩を揉んだ
思えば古い知人に肩を揉まれたのは
はじめてのことだった
古い知人は
古い知人のふりをしてる
知ってるだけだから
 ....
 
 
交差点でおもう
もしもわたしが信号だったなら
赤で人は止まるだろうか
そして青になったとき
人はわたしを通過して
行ってしまうのだろうかと

青に変わって
信号待ちの人が
 ....
 
 
ひさしぶりに
裏庭を見ていた

貝殻や
魚の死骸が
たくさん漂着していた

いつのまに
海が来ていたのだろう
命はまだ
こんなにも
満ちているのに

干潮の砂浜を ....
 
 
人は
その人の型に
はまるようにして
生きてるのではないか

はまってないから
という理由は
当然ではないか

僕は
今さらのように
君の型になってみる
すると君は ....
 
 
青い血が焼かれ
夜が訪れると
失った
命の部品を探しに
空が朝を追いかけていく

僕は君を追いかけていく
君がかつてあった時を
空とは反対の方へ

君の赤い血が流れてい ....
 
  
懐かしいことをしている
八十歳になった
私が今を
そんなふうに思い出す

つまらないことをしたね
本当に
つまらないことばかり
してたね

遠い目をして懐かしむ
八 ....
 
  
箱にはたくさんの
記憶の残骸や
体の部品などが納められていて
私もいつか配達される

何が入ってるかは
その時にならなければわからない
きっと箱の中には
懐かしくて
壊 ....
 
石になると
夢を見ている
霧の生地になって
触れることしか出来ない
君の海が溢れ出すところ
水の世界は壊されて
生まれることを繰り返している
蛍だった頃
わたしは声を聞いていた ....
 
春になると
わたしは
似顔絵描きになります

小さな腰掛けに
ベレー帽
お金はいりません

四十枚目の春
似顔絵はやはり
ちっとも似てませんでした
妻のやさしさ以外は

 ....
 
たかのり君
と呼んでしまった
生姜焼き定食のことを

もちろん
たかのり君が
生姜焼き定食であるはずはなく
けれども
一度そう呼んでしまえば
そのようにも思えてきて
こんがり ....
 
調律が合わなくて
ピアノが港を発ってゆく

小さな港で
すばらしい音楽を奏でていた
そんなピアノが

指先から音がした
触れてはいけなかった
白と黒の鍵盤に
わたしの小さな罪 ....
 
かなしみに
慣れてしまったなら
ほんとうの
かなしみなんて知らない

かなしみが
暮らしになったなら
かなしみは
いつもともだち

ほんとうの
かなしみを
ひた隠しにした ....
 
わたしは
救急車を運転してみたい

それはかならず
東京で

あかい
サイレンを鳴らして

夜の街を
走り抜ける

それはかならず
東京で

くるしんでる人を
救 ....
 
裏木戸が
閉じたり開いたり
冬の言葉で話してる

積もる
雪の音以外
何も聞こえない
意味の欠片さえ

さくさくと
家に帰る足音が
遠くからやってくる
もっと遠い
何処 ....
 
その人のことを
空さんと呼んでいた
空さんは
だだっ広くどこまでも
青くなったり赤くなったり
涙したりして
人のようだった

空さん

時々丘の上から
呼びかけてみるけれど ....
 
ウィスキーの
琥珀色の
その向こうに
浮かぶ世界を見ていた

一瞬の絵のように
今日の一日が
そこにあったのだ

ちびちびと飲む

ぴちぴちと
魚が跳 ....
 
それはとても
単純な出来事だった

君は気づいてふりむいた
犯されることを
確信するように
それが罪であることを
僕も確信した

犯罪は終わった
とても簡単なことだった

 ....
 
つたわらないのは
ことばなの
あるいはぼくの
そんざいなの

あなたは
残り香になって
いつもここからいなくなる

この初雪みたいに
かたちもなくとけてゆく
てのひらのなか ....
 
約束をした
もうひとりのあなたと
あなたには
内緒で

約束のことを知らない
あなたは
なぜかいつもより
やさしかった
気がした

ひとを裏切ることが
ひとをやさしくして ....
 
満月が
おおきくくちを開けて
新月になる
夜空をひとつ
噛み終えるまで

いくつもの時を食べつくし
それでもなお
夜はおとずれる

無数の星は彼らの目だ
今日もどこかで
 ....
 
釣りは飽きてしまったようだ
さかながいないからしかたがない
父さんだけが夢中になって
往生際がわるかった

ふりむけば
木のベンチで息子がねむってる
一億年前から
そうしていたよ ....
 
ひとさし指で手紙を書く
砂のうえに
潮が引くときだけ
ゆるされる

返事が来る
潮が満ちるときだけ
あなたから
光と光の
波にさらわれる

こぼれた文字の
貝殻をひろう
 ....
 
そういえば
結婚式しなかったね
ときどき妻が言う
僕は聴こえないふりをする

本当に
妻がそう言ったのか
確証のないまま過ぎてしまう
日々の幻聴のように

出会ってから
十 ....
道ばたに咲く美しい花を見て、
ああ、きれいね、
とだけ思えばいいのに、
なぜぼくはわざわざ、
その花をもぎとり、
家に持ち帰り、
花瓶にさし、
自分のものにしようとするのだろう。

 ....
BOOKENDさんの小川 葉さんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
希望- 小川 葉自由詩211-5-21
サンプル- 小川 葉自由詩210-11-3
書物の家- 小川 葉自由詩2*10-5-19
古い知人- 小川 葉自由詩110-2-27
信号- 小川 葉自由詩509-9-10
秋の裏庭- 小川 葉自由詩1009-8-27
人の型- 小川 葉自由詩109-4-15
空のある世界- 小川 葉自由詩709-4-11
懐かしいこと- 小川 葉自由詩209-4-10
- 小川 葉自由詩509-3-28
瞬き- 小川 葉自由詩309-3-15
四十枚目の春- 小川 葉自由詩209-3-8
とおい水- 小川 葉自由詩15+*09-3-3
航海- 小川 葉自由詩1009-2-28
遠距離バス- 小川 葉自由詩509-2-21
東京救急車- 小川 葉自由詩2*09-2-8
裏木戸- 小川 葉自由詩809-1-15
空以外の空- 小川 葉自由詩6*08-12-19
ウィスキー- 小川 葉自由詩408-12-5
単純な犯罪- 小川 葉自由詩1*08-11-23
初雪- 小川 葉自由詩408-11-21
約束- 小川 葉自由詩408-11-15
夜を噛む- 小川 葉自由詩8*08-11-4
一億年前の休日- 小川 葉自由詩2008-11-2
人指し指から、お願いします- 小川 葉自由詩12*08-10-20
聴こえないふり- 小川 葉自由詩12+08-10-17
花、さようなら- 小川 葉自由詩4*07-4-21

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