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わたしの前の席が空いたけど
今しも都市のかなたに沈もうとする大きな夕陽を
見続けていたかったので
座らなかった

燃え滾る線香花火の火球のような
太陽だった
それを反射して真紅に光る壁面 ....
黒い夜の画布を背に
彫刻刀で刻まれた白骨のように
浮かび上がる鋭い流氷の切っ先が
すばやく流れる雲の切れ間に
瞬時に現れた細い三日月を
祈りのように照らし出し

私が確かに聞いたのは
 ....
早く夏が終わんないかなって
思っていたのに
終わってしまうと
なんだかさみしくて

早く秋が来ないかなって
待っていたのに
秋は
なんだかよそよそしくて

友達だったはずなのに
 ....
黒焦げのアカツメクサを労うように
レースフラワーが風に揺れ
夏が終わると歌っている
排気ガスまみれの分離帯にも
芽吹いた種は繁らせた
波打つ夏の色

色褪せた空のキャンバスに
ぽたりと ....
私の父は18の時に航空兵に志願した
飛行機乗りになりたかったのだ
もちろんお国のために
命を捧げる意義を信じて

間に合っていればきっと特攻に行っただろう

出征するはずだった日の1週間 ....
赤く透き通った
血の様なワインを飲んでいる

酔っているので
詩は
書いてはいけない

酔っているので
なおさら書きたい

自制心が効かない時ほど
熟成しないまま
今すぐ
投 ....
それでも時は流れていく
ゆっくりと
淀みなく
立ち止まる想いを押しのけ
焦る足元も
掬いあげ

鳴り響く発車のベルの音
口ごもる詩を
何度も試み
置き去りにされる記憶を
追いかけ ....
駅前ターミナルに到着しようとしていた
路上に杖をついた高齢の紳士が
窓のすぐ下に見えた
彼の進む先には確かにバス乗り場があるが
そこが人の歩くべき路でないことに
既に気付いたのか
ほんの少 ....
天気予報は外れなかった
夕方になって
しずかに雨が降り出した
私の傘に
囁くように
なぜるように触れ
ほのあかい
夕暮れのふもとの風景を
霞のように滲ませて
幽かに微笑み
精一 ....
自分が思っているようには
他人は自分を見てくれない

それで私は
極力自分を
客観視しようと試みた

気付いたら
他人の顔色ばかり伺って
ますます自分が
わからなくなっていた

 ....
雪祭りで賑わう
地下街をあるいていた

柱の影から目の前に現れた人物が一瞬父かと思った
現実の父より
かなり若いし
実際の父は
病院のベッドで
寝たきりだと
すぐに気づいた

似 ....
冬の子どもたちが
落ち葉のマントを纏って
手をつなぎ
かごめかごめをしている

誰かが
あっちだ
と言って走り出すと
手をつないだままで
一斉に駆け出していく

遅れた子を 心配 ....
叔母さんが亡くなった
いとこが
「顔も見てやって」と
お棺のふたを開けてくれる
御顔を覗くと
少しも苦しそうでないので
ホッとして
「おばさん」て小さい声で言って

お葬式には少し慣 ....
土に還れない落ち葉は
一枚一枚
くっきりと形をとどめたまま
美しい標本のように
雨の舗道に貼りついて


幾度も
踏みしだかれ
やがて晴れた日の
風に
粉末となって
舞い上がる
何かを始めるのに
手遅れなどということはない
始めた時が
始まりのとき

手を伸ばした時が取り返すチャンス
足を踏み出した時が
新しいスタート

空を仰いで
深呼吸した時が
誕生 ....
成層圏の牧場に
幾千匹もの
群れなす羊

どこまでも透明な
追憶の彼方

舞い降りる
黄色い{ルビ木=こ}の葉

堆積する秋

深海の底に届いた
月光のように
青ざめた記憶 ....
王女の名を持って生まれ
運命のいたずら
雑草の間に
根を下ろすことを余儀なくされても
小公女のように気高く
品位を忘れぬ立ち居振る舞い
汚れない肌
たとえ
嵐になぎ倒され
獣に踏みに ....
プラヌラスキフラストロビラエフィラ
呪文のように覚えているのは
予備校の先生が絶対にこれだけは
おぼえておいて損はないぞと言った
生物の秘密兵器

必ず出題されると信じて
歩きながら
 ....
君が
はじめて私の手を離し
自分の羽根で
よちよちと
はばたいていった日のことを
母は忘れることができない

君はとうに
逞しい翼をひろげ
上空の風に乗り
母には見ることもできない ....
ぱたぱたとひるがえるちいさな二足のズック靴
幼稚園への近道で
つないでいた手を離し
走ってもいいよというと
かならず笑い声をあげながら
細い坂道を駆け下りていった
その弾む後ろ姿を
おぼ ....
どうしても海が見たくてしかたない時は
海の すぐ傍にまで行くか
それとも
あえて離れた場所に立つ
たとえば山を削った住宅地のはずれの公園
ゆるい長い坂の上から
遠く見る海は
白い岬をした ....
先生が僕を卑怯者と呼んだ
その名前はおでこに貼りついて
やがて
僕の皮膚になった

月日が過ぎて
周りが誰も気づかなくても
僕の耳には
先生の声が時々聞こえた

先生 僕は先生のよ ....
白いシーツ

白い枕カバー

白い天井

硬いベッド

朝が白々明ける頃には

私の心も
漂白されて

窓に
雪の港
鮮やかな海の青
ひとつの問いが
私の上に落ちてくる
飛ぶ空を失くした
鳥のように

無数の鳥が
私をめがけて落ちてくる
羽のない
石つぶてのように

私が空へ投げ上げた石
虹色の放物線のむこうか ....
僕は水色のグライダーではなく

鳥の中でも一番ありふれた
雀やカラスでもなくて

ひばりのように高く
カモメのように鮮やかに

はばたきたいと
願う

風に乗り
 ....
 埃だらけのコンクリートに影を焦げつかせ、
立っているひとりぼっちの後ろ姿を見つける
のに君がずいぶん手間取ったのは、二歳の子
には高すぎる太い鉄柵がちょうど君の視界を
遮り、そこからコンクリ ....
今日も待ち針を刺す
心の縁に
ずれないように
歪まないように
一針一針
ゆっくりと
ただまっすぐに縫いたいだけ
私の心の裏側に
注意深く
ちくりちくりと
針を刺す
明日は真っ直ぐ ....
服部 剛さんのLucyさんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
高架を走る電車の窓から沈む夕日を見つめていた- Lucy自由詩13*19-7-3
冬のオホーツク凍えながらたった一度でいい最後に私は意識の勝つ ...- Lucy自由詩13*17-10-17
待ち遠しいのに振り返ってばかりいる- Lucy自由詩14*17-9-25
労い- Lucy自由詩18*17-8-21
私の原点- Lucy自由詩20*15-8-29
赤い酒- Lucy自由詩15+*15-7-7
快速- Lucy自由詩18*15-6-23
ターミナルにて- Lucy自由詩20*15-5-15
やわらかい雨- Lucy自由詩12*15-3-18
客観視- Lucy自由詩15*14-4-21
雪祭り- Lucy自由詩19*14-2-6
校庭- Lucy自由詩24*13-11-25
お葬式- Lucy自由詩16*13-11-20
蝶になる日- Lucy自由詩24+*13-11-8
手遅れ- Lucy自由詩21*13-11-3
赤いスカーフ- Lucy自由詩28*13-10-6
孤島の白い髪飾り- Lucy自由詩20+*13-9-23
ミズクラゲの一生- Lucy自由詩26*13-8-8
えんじのベレー帽- Lucy自由詩23+*13-6-3
坂道をのぼると- Lucy自由詩28*13-5-6
遠くから見る- Lucy自由詩16*13-5-2
ルピナス- Lucy自由詩27*13-4-9
白いベッド- Lucy自由詩21*13-2-14
ひとつの問いが- Lucy自由詩15*13-2-4
凧(カイト)- Lucy自由詩18*13-1-13
動物園- Lucy自由詩19*13-1-9
待ち針- Lucy自由詩21*12-12-17

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