alfa.---

風に乗り空を遠く渡っていくために
鳥は翼を手に入れた
遠く遠く 自分の生まれた場所など忘れ遠く飛ぶために

どこまでも似た大地が続き
同じ海原が続いた
地平線一杯に ....
ちょうちょ

菜の花

羽のどこかに重たさを持って

原色を彩り続けて

その向こうに


ねえ

聞こえるかしら

見えているかしら


この先に ....
はやくおとなになりたいなあ
あしをぶらぶらさせて
リリコちゃんがいう
ほっとけーきをじぶんひとりでやいたり
(たこやきも とつけくわえる)
おおきないぬをかったり
ぱそこんでむずかしい ....
小瓶に詰めるものは
失くしたものなのです
悲しいものなのです

いいえそれとも

ザラメの飴玉
つやつやと輝くルビィの様なりんご飴
夢で拾った銀の螺旋

ああ、其らも失くしたもので ....
月の裏側には湖があって
そこではフナがよく釣れる
月のフナは泥臭くなくとても美味である
レンズで焼くと水色に変わる
透明になる直前までよく焼くのだ
これは父の好物でもあった
あなたにも食べ ....
皮下に雷鳴にも津波にも似た不穏な違和感を覚えてつい先ほど解剖学研究所付属病院というところを訪ねたのだけれどそこで分厚い私の皮膚の中に針を差し込んだり青く光るメスのようなあるいは微小なるカメラのようなも .... 突然、閉所恐怖症ですか、
と聞かれ
慌ててそうじゃありませんと
笑顔を見せる
笑顔を見せたって
MRI撮影室の
空洞の中に居る私の顔は
見えやしない
ただ、
むっつりした顔で答えたら ....
僕達はお腹の中にいる頃から何度も
ボブ・ディランに、ジョン・レノンに
何度も包まれてきたというのに

またふりあげてしまったこぶしのその先で
煙が青空に溶けた

失敗とか過ちとかそんなこ ....
ゆるは {ルビ温=ゆる}
ゆるは You Will
ゆるはやがて現われる



こどものために
しずくのために
私はこの名をはためかす








 ....
 勢いこんで始めてしまった「近代詩再読」シリーズ。前回は長い詩暦を誇る草野心平をとり上げたが、今回はいきなり立原道造である。草野心平は八十過ぎまで生きていた人だが、立原道造はわずか二十四歳で亡くなって .... 映りの良すぎる鏡があり

いつのまにか見なくなり

いつも下に向けていたが

ある日偶然元に戻したら

醜い炎がそこにいたので

上に向けたままにした

そ ....
キャベツの葉っぱの間に挟まって
寝てるから
用があるなら
モンシロチョウに訊いて

なんとなく
そこなら
よく眠れて
いい夢が見られそうだし

人間はもう
いいわ
軽いけど水み ....
ゴムまりで遊んだこと
ある?

今のゴムまりって
透明できれい
ハリがあって
つかむと気持ちいいね

こんなおっぱいだったらいいなぁ


遊びすぎたのかな
元気がない
わたし ....
 詩のことについて考える。自分が詩を書いているということについて、その意味を考える。詩を書くことに意味はあるのか? あるといえば、ある。ないといえば、ない。はっきり言えばよくわからない。だが、自分が詩 .... ご先祖様の温もりが
土に宿っているから
日本は大丈夫なん

命の糸がそこらじゅうにめぐらされてるん
太陽の恵みには そうしたもんがこめられてるん

そう言ったおばあちゃんが
交差点のま ....
地元の海を見に、帰ります。

海岸にはいろいろなものが流れ着いていて、

それらを愛でに帰ります。

磨かれた硝子、

滑らかな流木、

色巻貝の中心、

秘密の詰め壜、

 ....
すなを ふむ
ひかりのかたちをした すなを

さされば いたいよ
ひかりをかたどった すな

ながされてはやく
てのひらにむていこうなすなになりたい

すなお
にぎりしめて くずく ....
一月前 
長い間認知症デイサービスに通っていた 
雷造さんが88歳で天に召された 

だんだん体が動かなくなり 
だんだん独り暗い部屋に置かれる時間が多くなり 
ある日ベッドで瞳を閉じて横 ....
       
          「ぼかぁ…こっちにいきたいんだよ」

 
        暗夜のY字行路に、かみそりの如く光るレイル


 
         中年で細身の車掌が傍 ....
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
木は影になり
しずくを流し
銀はせつな
銀はとこしえ


光の粒が
川になり
見つめるまなこ
満たすはじまり


昼の星の
糸をたぐり
ふたりで赤子を
紡ぎま ....
棚から落ちて
壊れた箱から
ころがりいでた
あねといもうと
今日は何をして遊ぼうか


ことのほか色を見たいのに
絵の具はどれも薄れてしまった
むらさきになるまでたた ....
さびれた館の馬像の陰から
子供が数人こちらを見ている
塀は陽に照らされ指にやわらかく
その上で子供のひとりが
虫喰いの木洩れ陽を目にあてて笑う



水たまり ....
海を泳ぐ船 英雄の自伝 襲い来る高波 誰もが持っていた自分だけの地図 遠くから笑うだけ 朝焼けの空 夕暮れに染まる町 人生の踏み切り 絶望に飲まれる 明日が呼んでる 手探りで探してる 鮮明に覚えてる  .... キミは誰かの温もりが欲しかった
ただそれだけなのに
上手く喋れなくて寡黙な少女だった
凛とした瞳に宿る意思は確かに
そこに存在していた

だけど誰も触れる事の出来なかった
見えないキミの ....
威風堂々 彼は荒野を行く
その足音は 大地を揺るがし
その瞳は 燃えるよう

ある者からは 恐れられ
ある者からは 忌み嫌われて
彼は広大な領地を手に入れた

一人の男が無断で入ってく ....
ピアノ、ピアノ、ピアノ
ピアノが招く
ピアノの国へ
音から生まれた
音の鳴る子が死んでいく
生まれることが寂しいと
音の鳴る子は死んでいく
船縁叩いて鳴るピアノ
ピアノの国から
ピア ....
自分は座っている
名前を呼ばれて
まわりの人はいなくなる


自分は座っている
まわりの人はいなくなる


自分はいる
いなくなる


自分は
いる
いな ....
雄株は欲情に駆られ
自慰を繰り返し
めしべは空気中から
出所不明の花粉を受けて
子を宿す

植物界は古より
一婦多夫世界を構築している
誰も僻まず
誰も疑わず

動物は一人きりを ....
「ねこの手」


ねこの手も借りたいような
忙しいとき

君はさりげなく
手伝ってくれるけれど

君の手が小さく動くたび
僕は何もできなくなってしまう


  *


 ....
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