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ミンミンと鳴くこともなく
たまたま出会ったセミは
コンクリートの駐車場に
ただ しがみついていた
生きているのか死んでいるのか
さわったら ジ っと鳴いた
逃げることもしないので
ひどく ....
姿の無いものの気配がする
ガラス戸が小さくカタカタといって
何処か遠くの出来事を伝えようとしているのか
本当のことは良くわからない
日常の大部分は
そうやって解体されることなく消化される ....
{引用=雨の日、その一日が悲しいのは気のせい
誰かが言っていました
「雨は世界の涙です」
それは違うと思います
僕には僕の世界があって
本当に世界と言ったら
それは途方 ....
誰に教わったわけでもないけれど
新しい始まりの予感は
そうやってくる
五月の風は
そんな淡い期待を感じさせる
芽吹きの音が聞こえてきそうな緑色で
あなたは窓から入り込んでくる風を
そ ....
「先生のじゅぎょう、好きだよ」
その言葉が眩しい
たとえそれがしわくちゃの
紙切れに書かれた言葉でも
ノートの端をちぎって書いた
ひらがなばかりのその文字が
いまの僕に ....
「ねこの手」
ねこの手も借りたいような
忙しいとき
君はさりげなく
手伝ってくれるけれど
君の手が小さく動くたび
僕は何もできなくなってしまう
*
....