5時限目 人の心を読む授業

鉛筆の影がノートに映る


あの子は几帳面に 鋭利な鉛筆を持って数式を解いている

僕は陽にあたりながら 丸っこくなった鉛筆を持って

πの可能性を ....
誰もいない国の
サッカー場の真ん中に
ボールがひとつ置かれている

誰もいないスタジアムから
歓声は上がることもなく
ボールは蹴られ
試合がはじまる
もちろんピッチには誰も ....
電車が来るのに
飛び込まないのはなぜだろう
研いであるのに
刃を当てないのはなぜだろう
行き交う車に
跳ね飛ばされないのはなぜだろう
ビルがそびえるなか
落ちないのはなぜだろう
ド ....
私を中止
銀行も郵便局も宅配便も
逃げたりなんかしないはず

私を中止
いくらか家事をしなくたって
後ですれば済むこと
そういえば子供の頃
一生家事をすると思うと
気が遠くなった
 ....
凍ったまま
凍ったままで
夏を待て
降りたシャッターの前に
右手をかざし
瞑目の、水晶の立像となって

冬はお前を追憶の塔にした
透明なお前の体を通して
青い青い海原が見える
光の ....
雪づたいに屋根に登れる
大雪の林檎畑は真っ白け
ペンペンと枝の先が雪の上に見えるのみ
どこに木があるのかもよくわからない

横に伸びた枝が雪の重みで裂けて
林檎の木が全滅してしまう
父は ....
たしか死んだはずの父が
逆上がりをしている
たしかに死んだはずなのに
まるで昨日のことのように見える
うまくできないのだろう
年老いたからだでは
それでも負けず嫌いの父に
も ....
或る時に
コップにコーヒーを注いで
赤茶けた土の上に
冷静に横たわる猫を見ながら
遠い冬の日を眺めた

菜の花の
暖かく黄色いさまが白黒の人たちを
この世界へ浮きだたせる
土の上 ....
霧の音を
水の音が割り
沈む虹を追う
流れない冬ばかりを
追う



ゆうるりとうすいまばたきが
冬の窓をすぎてゆく
内と外は
眠りながら見つめあう


火 ....
紙が束ねられる、糸によって
太陽によって、色褪せない先駆に
色褪せた紙は糸によって束ねられ
紙は束ねられ、匿名によって
木綿によって、埋葬されない化石に

紙は一人がいる閉ざされた一室で
 ....
 
 
整形外科で溺れた
子どもの頃から登り棒は得意だった
誰よりも早く天辺に登れる自信があった
それなのに整形外科で溺れてしまった
むしろ言葉の綾、
と言った方が正確なようにも思えるけ ....
机の上に置かれた 
黒い本の中に 
うっすらと、顔がある 

自分の貧しさに震える私と 
遥かな昔に交した約束を 
今も語っている 

蝋燭の火が 
風にふっと、消えた 
暗闇から ....
皮を剥いた野菜を刻み
大きな鍋で煮込んだ
できあがるころにはもう眠らなければね
まいにちの時間が決まっているので
わたしは、少しずつのことだけしかできない
もうおやすみ

次の日 ....
僕らは川のほとりに住んでいて
いつも水の匂いをかいでいた
時に異臭もはなつ水たちは
うす汚れたコンクリートの壁の下
木陰にくらい公園の横をくぐりぬけ
存在感なき音をたてながら
流れつづけた ....
たとえば飲み会の幹事をしたとして
のぞまれないのに
やたらと
むのうさを
おしだす
下司が
あって
それは
しぬべき
かも
直言はしない

 きらわれていて
 きらわれている ....
青空

校庭

教室

制服

笑い声



何もかもが「点」に見えて仕方ない

不揃いで不条理でだらしない

教室では席順を決めるクジで大盛り上がりしてる

私 ....
山間から 金属的な反響音が聞こえる
ブランコのきしみのような音だが大きすぎる音だ
山に反響し どこから 背後から聞こえる気もするし
前方から聞こえる気もする
川岸に下りると クレーンが ....
青く光った矢印が
一斉に前を示し
両腕にしがみ付く怠惰な風は
酸っぱい痛みを産み落としていった。
萎んだ夜と悴んだ指先には
遠くの方から響いてくる
赤い点滅の伝言を
読み解くことはできな ....
京(みやこ)の雪は
帰省の翌日
天気予報にあったとはいえ
数年来の大雪で
暮れの街が大混乱
テレビのニュースでのみ見る
京の冬らしい姿に
立ち会えなかった

呑んでは ....
客電(#60、70、80代)、カットアウト

あなた 言ったわね
もう二度とお礼は言わんって
だから信じていたの
こっちから一方的に言いまくってやるって

舞台(#0)、フェードイン
 ....
おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう
口に含まずとも触れるだけで命を焼いてしまうような
誰よりも強烈な毒薬になってみたいんだろう?
おまえの言ってることは誰でも一度は夢 ....
死、の音木霊する春来る窓辺、おおお
枯れた枝にまといつくいつぞやの暴落
嫌な臭いの涎を拭った爪の先が太陽を求めて喘いでいる、曇天
鼠色の羽持つ鳥達が陰鬱な旋律を調律している、暗い ....
雑草もいなくなって
剥き出しの岩肌を
木枯らしにさらけ出して
底冷えする意地悪さに耐える
荒れ果てた大地の上に
白く化粧を施した
柔らかな新雪が
みんなで手を携えて
降り積もってい ....
北北西の風の中で
アオジが寒い声を上げるから
鼻のてっぺんまでマフラーに埋めよう
枯れ草は アオジの冬越しふとん

薄い氷の下の小川の流れ
ヨコエビがしがみつくのは紅藻ふとん

朽ちた ....
届かない 繋がらない、
言葉
断ち切り、朝が流れる juwa juwa
凍みて浸みて染まる空気、突き抜ける、声
ほら ただ さけびにさけもお酸欠
突き抜けて、突き抜けて、今どこっていう次 ....
暗がりが暗がりのなかを
剥がれながら落ちてゆく
滴が滴でなくなるまで
見つめ見つめ 見つめられてゆく


見えるものは そこにないもの
赤を隠した 白の毛糸玉
腕に咲く ....
わかささん
鋼色に丈を伸ばす坂道を外れて
側溝を三十メートル
車ごと転げていく
わかささん
弾んで 落ちて
そのとき少しずつ
速いスピードで 窓から
青空片が 舞い込んでくる

雪 ....
ブルース・スプリングスティーンの、
1978年のアルバム「闇に吠える街」セッション時の、
未発表音源ばかりを集めた3枚組のレコードを、
買ってから、
ずっと聞いている。

お茶の水のデ ....
ぼくはいつも作業服を着ている
田舎ではみんなそうだったし 何の不自由もない
社名の入った制服 オフの日でも安全靴
それがぼくの正装だ

そんなぼくの格好を 都会の君は嫌った
ある日 一 ....
ハイツ和合にたずねてゆくと
花火ちゃんはフローリングの床でお皿をわっていた
ぺたりとWの字にすわりこんで
からだやわらかいんだ
ね、つめたくない?
訊いてからちがうちがう
なんでお皿な ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1337)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
数式のまどろみ- アヤメ自由詩311-2-20
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中止- 小川麻由 ...自由詩3*11-2-16
雪夜の試み- salco自由詩5*11-2-15
不死身- 砂木自由詩6*11-2-13
さかあがり- 小川 葉自由詩6*11-2-11
miscellaneous_note- ehanov自由詩2*11-2-8
冬へ_夜へ- 木立 悟自由詩1311-2-7
_- ehanov自由詩411-2-5
エラ呼吸の仕組み- たもつ自由詩311-2-2
不思議な目_- 服部 剛自由詩711-2-2
消費する- ________自由詩4*11-2-2
川の街- シホ.N自由詩211-1-27
RStlt_K_(ランペル、スティルツ_K)- 6自由詩411-1-19
タビビト- ジェシカ自由詩211-1-18
月極姫- るるりら自由詩18+*11-1-14
残火の迷夢- 久石ソナ自由詩2311-1-11
綾(あや)- yumekyo自由詩11*11-1-8
さよなら、後藤さん。- 緋月 衣 ...自由詩7*11-1-6
おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう- ホロウ・ ...自由詩5*11-1-6
溺死のミュージック、TOTOで葬送- ホロウ・ ...自由詩3*11-1-4
大地- 寒雪自由詩311-1-3
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いいえ、もう朝- みつき自由詩210-12-30
夜と径- 木立 悟自由詩510-12-29
青空の侵入- オイタル自由詩5*10-12-26
出勤初日の女- はだいろ自由詩310-12-14
- アマメ庵自由詩410-12-13
絹をなでる- せかいの ...自由詩610-12-12

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