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昨日の末から断続的に
小さな一年間があり
天気の名前を作って
折り畳んでいく
優しい、誰かのために
二言三言の伝言と
朝用の傘を残しておいた
雨の中身が水になる瞬間の
映し出さ ....
檸檬が眠っている
そう伝えると
Leの発音が上手すぎて
たくさん笑った
水辺にある満員電車の名残り
その色と形
黄色い皮の中に
幾筋の風が吹いている
わたしの皮膚は汗ばんで
 ....
 
 
夜、本から紙魚が出てきて
僕を食べる
文字じゃない、と言うけれど
紙魚はお構いなしに
僕の身体を食べる
だから負けずに
僕も紙魚を食べる
本当は枝豆の方が好きなのに
食べ続 ....
 
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
 
 
世界は晴れあがっています 
わたしたちの頭は禿げあがっています 
この頭の表皮に繁茂している
おびただしい髪の毛がすべて 
アデランスだと言っても
あなたは信じるでしょう 
で ....
 
 
鉛筆で駅舎の絵を描く 
沿線にある家の 
縁側に弱い陽が差して
映画館の片隅では 
液体をこぼした子どもが
延々と泣き続けている 
エンドロールが流れ始め
遠近法で描かれた ....
夜、すべての列車が
運行を終えたころ
駅にしんしんと
ネジが降り始める
駅舎の出入口や
線路に積もったネジを
当直の駅員がネジかきをする
やがてネジは止み
夜明けにはすべて溶けて
 ....
 
 
フェンスがどこまでも
長く続いている夏
午後、知らない所で
知っている人は逝った
乗客も乗務員も置いて
青い列車は海に向かって出発する
座席には誰かが忘れていった
大人用の眼 ....
 
 
誰もいない夜明けの街を
少年が黙って自転車をこぐ
真面目に呼吸を続けながら

サルは今も進化と退化の中を
死にそうになりながら
生きているころだろう

エロい身体をした僕は ....
ウォークマン、買いました。
という非常に唐突感の否めない書き出しで恐縮です。
何故買ったのか、ということにつきましての詳細は省略しますが、端的に言いますと、我が家のコンポはリビングに1台と娘の ....
サラは低所得者用の公営住宅に住んでいる
ある日、軒下にコガタスズメバチの巣ができていた
トックリ状の形をしていて
入口が長く下に向かって伸びている
サラには就学前の二人の娘がいた
年 ....
 
 
Spring has come.
バネがやってきました
おつかまりください、つり革や手すりに
急停車をすることがあります
電車は事故防止のためにです
このまま直進五十メートル右折 ....
 
 
国道16号線を走る

千葉44km
渋滞に巻き込まれる

千葉42km
千葉40km
ゆっくりと近づいていく

千葉30km

千葉4km
もう少しだ
そう思って ....
 
 
整形外科で溺れた
子どもの頃から登り棒は得意だった
誰よりも早く天辺に登れる自信があった
それなのに整形外科で溺れてしまった
むしろ言葉の綾、
と言った方が正確なようにも思えるけ ....
 
 
理髪店に備え付けられた
平方根の中で眠る犬
その耳に形のようなものがある
店主はただ黙々と
軟水で精製されたハサミを用いて
僕の髪を切り分けていく
その間、僕は不慣れな手つき ....
 
 
公園の水たまりに小さな魚が一匹いた
海水魚のようだった
昨晩の雨に迷って
ここまで泳いできたのかもしれない
このままでは水が干上がってしまう
魚は少しずつ弱っているように見える
 ....
 
 
いつの頃からか口の中に
ハリセンボンが住み着いている
怒らせると針が口中に刺さって痛い
ちょっとした振動にも反応するし
取り出そうとして手を突っ込んでも
針が引っかかって取り出せ ....
 
 
いつもはわたしが列車を待っているのに
今日は列車がわたしを待っている
ホームにたどり着くと
列車たちは次々と
わたしの中に乗りこんでくる
発車を告げる音楽が鳴り止む
いつも列車 ....
 
 
薬が切れて震える父を
抱えてベッドに寝かせる
布団のしわなどが気に入らないと眠れないので
抱き起こし、位置を変えてまた寝かせる
そんな作業が延々と続く
父にとって毎日の睡眠とは
 ....
  
水槽を抱えて
列車を待ってる
水槽の中には
やはり駅とホームがあって
幼いわたしがひとり
帽子を被って立っている
ある長い夏の休みの間
ずっと被っていた帽子だった
水の中もやは ....
 
 
くにゅくにゅ列車が
小さなバス停にやってきて
ダチョウを三羽乗せて行った
ダチョウたちが仲良く
キャラメルを分け合っているのが
窓の外からも
なんとなくわかった
何も無い妹の ....
 
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに


+


栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは


+


夕日のあたたかいところに
古いネ ....
松岡宮さんのたもつさんおすすめリスト(22)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
躓き- たもつ自由詩823-11-15
檸檬風- たもつ自由詩323-9-14
紙魚- たもつ自由詩1013-5-16
正月- たもつ自由詩2313-1-3
頭皮行- たもつ自由詩812-5-27
鉛筆エンドロール- たもつ自由詩611-12-22
ネジ夜- たもつ自由詩711-10-25
青い列車- たもつ自由詩611-9-5
夜明けの深呼吸- たもつ自由詩511-8-12
ウォークマン買いました_第一回「一発屋ビリー・ジョエル」- たもつ散文(批評 ...8+*11-8-4
サラとスズメバチ- たもつ自由詩1011-6-27
Spring_has_come.- たもつ自由詩711-5-8
目的地- たもつ自由詩411-3-4
エラ呼吸の仕組み- たもつ自由詩311-2-2
海峡- たもつ自由詩810-10-9
下り列車- たもつ自由詩1310-8-10
伝言- たもつ自由詩710-7-29
川面- たもつ自由詩809-8-18
祈り- たもつ自由詩2109-8-17
夏帽子- たもつ自由詩2009-8-4
くにゅくにゅ列車- たもつ自由詩1009-7-1
海の伝言- たもつ自由詩2508-6-21

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