すぎるあそび
木立 悟






意味さえ知らず
触れては消える
水のなかへ
音のなかへ


一滴一滴
光は変わりつづけている
抄うともなく抄う指先
常に既に異なるふちどり


鉱の音が響いている
どこかにずれたままに在り
かみあうことのないふたつのものから
そのままにそのままにとどいている


散らばる色と光と音を
幾つかの糸くずが漂っている
散らばりへ 散らばりへ
たどり着くことなく還りつづける


鳥も雨も去り
光の少ない曇が残る
すっと
指の跡が鳴る


軋轢が虹を追い越し
水のない水色を娶っている
騒がしく渇く祝宴
親族は水辺を見ない


事象はさらにさらに分かれ
過去に向かうものは多くない
消えかけた泡の傾きに沿い
光と音は壁を昇る


目を閉じればまぶしく
目を開けざるを得ない
目を閉じたままでは
まぶしすぎる


はざまにつづくはざまの言葉は
すべて見えなくなってしまった
指はそこで遊びつづける
こぼれるものらと遊びつづける




















自由詩 すぎるあそび Copyright 木立 悟 2008-08-04 12:31:04
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