水槽を抱えて
列車を待ってる
水槽の中には
やはり駅とホームがあって
幼いわたしがひとり
帽子を被って立っている
ある長い夏の休みの間
ずっと被っていた帽子だった
水の中もやは ....
 
 
よちよち歩きの頃から
そう呼んでくれた
近所の酒屋の父さんが
亡くなった

いつか帰省した時に
店にタバコを買いに行くと
タバコよりもたくさんの
缶ビールをくれながら

 ....
夏休みを
金属バットで
殴り壊して進む
道の上や
軒下で
いつまでも死んでる鼠

雨の日に近づいて
瞬きごとに色の変わる彗星

君が世界の果てに逃げたら
世界の果てまで行って ....
此処までがわたしで
彼処からをあなたとすると
あなたは夢をみるだけ夢から離れると云うことになります
行進する群れの中から
あなたひとりだけが選ばれたと云うことなのでしょう
上へと還る ....
雨のむこうから
無造作に青空
緑のつややかな木立の陰から
ほら 少年たちが
幾重にも幾重にも生まれてくるよ
君の髪を肩をすべるように
きらきら きらきら
光たちが降りこぼれるよ

逃 ....
プラスチックの板に
七センチの穴が空いていて
父にそれを手渡されて
手伝いがはじまった

実家での農作業は
ずいぶんと久しぶりで
この蒸し上がった季節に
汗の一つもたらそうかという
 ....
パチパチと散る
砕け散る
線香花火
それよりも
音無く夜に
消えていく
無音の夜に
消えていく
悲しい人の
戯言と
可愛い人の
独り言

パチパチ空は
水溜り
水音高く
 ....
あの丘には海がある
風にとけたあなたが ささやいていった
赤い自転車から 深緑の海を見上げる
深緑の糸かせから 糸の先を手繰りよせる

右腕に 螺旋を描いてゆく海の糸
ひんやりと
深緑の ....
俺の中にはもう誰も居ない、よく晴れた朝に死に絶えてしまった
俺の中にはもう誰も居ない、毒の流れ込んだ湖みたいに
跡形も残らず死に絶えてしまった
俺の中にはもう誰も居ない、バクテ ....
「心地よく秘密めいた場所」で
「口に出せない習慣、奇妙な行為」に耽る君たち

ナメクジよ
ふるさとにお帰り
かたつむらないカタツムリ

「去りにし日々、今ひとたびの幻」のスローガラス
 ....
始まりの前の闇
映画はすでに
始まっている
フィルムが
回る前の
見えない
時間が
闇を
生き生きとさせる
次々と
現れては消え
記憶にすら
残せない
微かな痕跡が
薄く折 ....
世界の尖端に
詩人のようなものが引掛かっている
重いカーテンをどんなに引いても
夜の窓から三日月がはみ出してくる
夢の過剰摂取の副作用が
紫色に垂れ込めてくる
中空には透明な旗が翻る
誰 ....
旅に出るときがあるとすれば
あかるい5月
校舎からブラバンの練習
球を打つ高い音
スプリンクラーの音
横切るツバメ
ポップコーン買って
炭酸ジュースも買って

旅ってどこへ?
分か ....
見えない銃の見えない銃弾は
知らないうちに知らない人を撃ち続ける
見えない銃に撃たれたことのない人などほとんどいない
誰しもが一度は撃たれ、そのことに気付かず平然と過ごしている
見えない銃弾は ....
あ、目にゴミが入った。
擦っても擦ってもとれなくて、違和感がずっと消えない。
涙を流しても余計に前が見えなくなるばっかりで。
右目で左目に入ったゴミを観察しようと努力していたけど、いずれなにかが ....
私には皮膚が無い。

自分に目覚めた遠い何時かの日に、ぺろんと全部、それはそれは見事に剥けてしまったのだ。

お陰で今の私は、さながら小学校の保健室にあった、筋肉や内臓がむき出しの人体模型のよ ....
神田方面から三越本店を通り過ぎた
交差点の向こう側が日本橋だ

高速道路が橋の上を覆って景観が
損なわれているとテレビでも書籍
でも当たり前のように言ってるか
らゴチャゴチャ閉塞的な景観に ....
水の中でしか 
  生きられないと 
    思っていた
        日々  
きみの
ゼリーの肌に最初に触れた せつな
素人の二人が 不器用に
一つになって
創造が始まった  夏 ....
あたまに風船がついていますよ

あなた見えないのですね

忙しすぎて 首が回らないみたい


熱心に遠眼鏡を 見てらっしゃるのね

風船が見える?

それは地球を一周して あなた ....
カリッて
あたしの殻を
割って

中から
とろんって
あたしが
溢れ出すから
 
   夏は他の季節よりも、死にちかいと
  たれかがおっしゃったのは天の声のようにも想え
  または蝉の声のようにも想え
  または緑陰をくれる梢の優しさのようにも想え
  私は夏を見極 ....
夜が落ち
夜に鳴る
風の無い 夜の明るさ


羽 葉 紙 綿
重なりと水
空へほどけ 沈む光


緑降る日
誰もいない日
青の足跡
水へつづく坂

 ....
ぼくは小学校にはいるまで
母の隣に寝ていた
母が小料理屋を始めて
夜遅くまで帰ってこなくなった
ぼくらの面倒をみるためにきた叔父が
押入れにあがって布団を被った
ぼくも隣にはいる
ぼくは ....
電車の中で引きこもりたい
終点のない電車の中で
世界の車窓から世界を永遠に見送りながら
眠くなったら好きに寝て 寝過ごして
車掌に起こされることもなく 親切な客に起こされることもなく
旅を続 ....
夕刻地平線 紙の切り傷

鼓動にあふれた静寂がふたつ

痛みをともなうのは
前世からの記憶のひとひら

秘めた焦燥は赤色に駆られて 涙をおとす

はりつく体温と
しお、鉄の味

 ....
 
 
くにゅくにゅ列車が
小さなバス停にやってきて
ダチョウを三羽乗せて行った
ダチョウたちが仲良く
キャラメルを分け合っているのが
窓の外からも
なんとなくわかった
何も無い妹の ....
非常階段は
ぜんぶ空に途切れているから
僕の指先はどこへも辿り着けない

そうして
夕暮れは何度も流れて
僕の肩甲骨を
ないがしろにするのです

(お母さんに来てもらいますからね
 ....
洗濯で私の衣類は摩耗し
洗練から遠ざかっていく
途轍もない落差のフォークボール
私はいつの間にか捕手になり
日々の倦怠からサインを送らなかった
こうした私の一切の冗談を排した
しかしフ ....
?

逃げる父
母は捨てた
兄は堕ちた
姉は隠した
子どもは愛されている?


?

高い水草の生える湿地帯で生まれた男や女は
高い水草の生える湿地帯で外を向いて車座になった
 ....
いつの間にか夕餉の団欒の食卓に
像がやってきていた
別段大きくもなく、それで、多分誰も気づかなかった
そこで、
家族会議を開いて詳細を検討してみる
鼻はさして長くなかったが
耳は大きく ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1338)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夏帽子- たもつ自由詩2009-8-4
よちぼ- 小川 葉自由詩409-8-3
金属バットが真夜中にうなりをあげる- 竜門勇気自由詩2*09-8-3
まぼろしの通信- e.mei自由詩3209-7-27
真夏がはじまる- 塔野夏子自由詩6*09-7-27
たまねぎ- かんな自由詩5*09-7-26
パチパチ- 瀬崎 虎 ...自由詩309-7-26
深緑- たちばな ...自由詩11*09-7-25
俺の中にはもう誰も居ない_-ZOMBIE-- ホロウ・ ...自由詩3*09-7-24
短冊と落とし文月/ジメゴン故郷に帰れ- 海里自由詩309-7-21
映画- フクスケ自由詩309-7-21
透明な旗- 塔野夏子自由詩8*09-7-17
あかるい5月- ふるる自由詩6*09-7-16
真空にかすり傷- 木屋 亞 ...自由詩6*09-7-15
気のせい- mad.rabby自由詩409-7-12
人体模型の孤独- きゃとる自由詩5+*09-7-10
日本橋- kauz ...自由詩7+*09-7-9
「愛生」(あいおい)- 月乃助自由詩10*09-7-8
風船男- 瑠王自由詩4*09-7-8
クレームブリュレ- 風音携帯写真+ ...609-7-5
永遠を見極める眼球_2009- るるりら自由詩10*09-7-5
指とまなざし- 木立 悟自由詩309-7-4
もうひとりのぼくが囁く- 殿岡秀秋自由詩409-7-3
電車とホームの間- 新守山ダ ...自由詩609-7-3
夕刻地平線_紙の切り傷- 瑠王自由詩5*09-7-2
くにゅくにゅ列車- たもつ自由詩1009-7-1
万引き少年- 佐野権太自由詩9*09-6-30
灰に埋もれた日常のスケッチ- 熊野とろ ...自由詩1*09-6-28
書かれた-家族- 非在の虹自由詩1*09-6-27
「草原の像」- 月乃助自由詩3*09-6-27

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