くわえ煙草で歩いていると  
道の先で
ぼんやりひかるお月さまが
うずくまっていた
最近のお月さまは
情緒不安定だと専らのうわさ
ひとりぼっちは寂しいと泣くそうだ
関わりたくないので ....
それが基底の違いであるなら
直交するだけでも
直交するという
ふれあいがあるし
同じでなさが
その内積からわかってしまう

同じでなさは
同じであるという
望みがあって
それが果た ....
各駅停車で、春に向かう



このあたりは 四十年前より 毒々しい
昔はこの辺りのことを 武蔵といった
私は相変わらず 色白だ
恋人の八雲が人間の女にネコババされるのでの時間を ....
ティッシュペーパーをちぎってちらしたような薄い雪が、スローモーションのように降っていた。制服にマフラーだけじゃ寒くて手をこすったりしてるとユウトが毛糸の手袋を貸してくれた。わたしの ....   終着駅まで眠っていた
  雪がこそこそ降っている
  
  
  
  汚い水のなかに
  ゲンゴロウは浮かんでいる
  だが、その正確な形状を
  ちっともしらない私だ
 ....
はとこのちえが
文字を教えてとせがんできた
あいうえお
と順番に教えていくと
「わ」のくだりで
おかしな出来事がおこった
紙から
ふわっと浮かんだ
わの文字は
ちえの両親 ....
からだを波のようになびかせて
白いあわだちをむかえる
いくつもの永遠が閉じこめられる

かつて少女だったすべての女性たち
かなしみを取り込んだなめらかな体に
くちづけをするとき
 ....
過去に戻りたいと
思ったことは
一度としてないけど
あの夜にだけは戻りたいと
時々想うことがある

そう きみと初めて寝たあの夜
ぼくらはお互いに
そんなに経験はしていなかったけど
 ....
【すりおろした林檎】

ねこをかんぶくろにいれて ポンと蹴っていいような
汗と毒と 荒い呼吸の  みすぼらしい私が すっかり蒸発しました
ぬけがらの私の みぞおちを 
糖蜜が ....
ゆうぐれに向かってはしっている
かえっているのに
だんだん離れてゆくようで

君がならすおんがく
私のみみをこじあけて
はいるよ乱暴にむねのなか
せつなさをきざんでる

なにか後悔さ ....
そもそもさ、メトロの夢は映画を見過ぎた車掌のショーだ
ホームに横たわる少年少女がいただろう?
夜は木で鼻をくくる
結ってもほどける指を切る
クラゲが渚で歌いだす
神話になったアクアリウム ....

お玉におかゆが残ってて

夕べ
ゆきひらでほとほと煮ました
温かいものが食べたくて
お米しかなくて

夕べ
お米を見ました
白くてひかっていて
さらさら洗うとすきとおる ....
結晶の木々が
悪霊とともに
凍りつく
内臓が腹から飛び出し
辺り一面に
器官という器官が
さめざめと
泣いている

結晶の木々が
精霊とともに
歌いだす
ぶらりぶらんこ
ピエ ....
大きな窓のしたで
セックスをしましょう
往来へでて
人殺しをしましょうか
それとも
花壇に種をまきましょうか

笛を吹きましょうか
肉を焼きましょうか
もうすこしここにいましょう ....
   *いちばんほしいもの

守りたいもののあいだで
やがては 息もできなくなるので
いちばんほしいものは
手の届かない処へ

四角い窓のむこう
屋根と屋根の隙間のくらやみで
瞬いて ....
      あなたとわたしは一膳の箸でした
      年を経た槐の木から
      それはそれは丁寧につくられて
      生まれたのでしたね
      ある朝 ....
あなたの唇を枯らし
血をにじませるもの
わたしのこぶしを引き裂き
血をにじませるもの

凍りつく冬の陽射し
寒い朝には人々の胸中に隠れたものが明るみに ....
曇が降るほうへ
鳥は振り返る
けだものの背が
鏡にたなびく


借物の手が
借物の命を受け取る
こがね色の子が手の甲を聴く
曇のなかの月へ手をかざす


谷底へ ....
 
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
ビニールの金魚
尾はヘドロと浅い海
袖で眠るヘビの嘔吐
男と来たばかりの憂鬱だけ
さよならはブリーチで染めたのに
ワイングラスの方代わりに夕暮れと鼾が
踊ろう久しぶりの密林とバカンス
秘 ....
きみの産声は
午前6時のものだったらしい
かつて手帖があったころ
盗み視た
かすかな記憶
その時きみを照らしていたのは
夜明けという天然のシャンデリア
きらきらとさやかに
祝福はあった ....
交差点の一角が更地になっていて
かつてそこに何があったのか
ひたすら思い出せなかった

いつの間にか始まっていた工事は
何を壊したのか ーがが
がー を持ち去ったのか
ひとつもわからない ....
一番目のゆず 丸いまま

二番目のゆず ひびはいる

三番 はんぶん
四で くずれ

一番最後はしわしわだ

みんな自分がかわいかろ
ゆずはしぼりとられて
知らん顔

冬至の ....
はじめまして、と言って、町に住み始めたね。
日々、白い顔をした町を刻んでいくと、
黄やピンクや赤が顔を出してきて、
それとなく、そのまま、口にして、飲み込んで、喜んでいたね。
この町にどんな食 ....
ひらがな、が落ちてくるように
迷いながら雪が降ってくる
日本にちりぢりになった
あ、い
どれだけのあいの組み合わせが
あるのだろう

やがて
あ、と、い、は
溶け合って境界線をなくす ....
冴え々え光る三日月と
冬の冷たい夜気の風
今一度(ひとたび)正常な神経を戻せるようにと
ただただわたしに降ってくる

(赤子が欲しけりゃ薬など
 飲まん方がいいんだけども)

あれほど ....
一週間ぶりの晴れ間に
花を買った
鉢植えの冬薔薇
台所のテーブルに
水を与えた

〈閉塞く冬となる〉

短い初冬の晴れ間をぬって
銃を買った
実弾百発合わせて二万のコルト
ちょっ ....
1.ゆきんこちゃん


段ボールに書かれた 真っ赤に書かれたクレヨンの暖炉の炎には 
ぱちぱちと
もえる友情が燃えていた
おともだちの ゆきんこちゃんは 五年生で
なふだにも  ....
君はテーブルに頬杖をついて
文字の積み木で遊んでいる

利き腕の人差し指で
柔らかい母音を
戯れに曲げながら

暗い藍の色で出来た゛う ゛の文字は
うつむいた気持ちの音
 ....
子どもは揺りかごのなか、ぐっすり。と水になる。
笹船のように耳だけをうかべて、聴いているのは、さざ波の音。
僕は、耳を手のひらで掬いあげ、扉を押し、ひらく。
足下には砂、埋もれた階段、月明かり、 ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1292)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ロンリー- 國朗自由詩213-3-3
ベクトル- 佐藤伊織自由詩213-2-22
各駅停車で、春に向かう- るるりら自由詩17*13-2-11
この海の底にとどく光- ねことら自由詩5+13-2-3
終着駅- 草野春心自由詩14*13-1-29
やさしいちえのわ- かんな自由詩8*13-1-27
いくつもの永遠/椅子- はるな自由詩513-1-26
深い森- HAL自由詩10*13-1-24
【りんごの_ゆくえ_】二編のオムニバス- るるりら自由詩14*13-1-23
ゆうぐれの音- 朧月自由詩913-1-20
クラゲが渚で歌いだす- 自由詩213-1-19
お玉におかゆ- ふるる自由詩15*13-1-17
雪の季節- within自由詩8*13-1-14
とてもいいところ- はるな自由詩1013-1-10
恋歌- Lucy自由詩8*13-1-10
一膳の箸- 石田とわ自由詩16*13-1-8
冬の日- ホロウ・ ...自由詩9*13-1-6
降り来る言葉_LXII- 木立 悟自由詩413-1-5
正月- たもつ自由詩2313-1-3
去りゆくものたち、生まれくるものたち- 木屋 亞 ...自由詩4*13-1-1
きょうも問う- もっぷ自由詩812-12-25
リコリアス- Seia自由詩312-12-24
ゆず家族- 朧月自由詩312-12-22
1年- うんち自由詩5*12-12-21
ひらがな- そらの珊 ...自由詩28*12-12-20
月の子- 凪 ちひ ...自由詩10*12-12-19
台所の防衛- オイタル自由詩7*12-12-15
幸せのゲーム_二編- るるりら自由詩16*12-12-14
文字は繋がる- まーつん自由詩9*12-12-13
音の城- sample自由詩512-12-7

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