ほこりをかぶったA4の紙に
 メールの文章が綴られている。

 もう十年も前のもので
 「たーいへんそーう」
 と書かれている。

 同じ所を繰り返し
 何度も読んでいる。
 当時 ....
{引用=
吐き出したい、吐き出したい。
不安を全部、吐き出したい。
のに、あたしには口がない。
}
この口は、よく動く。
ほらね、
上下の唇が、くっついたり離れたりとせわしない。
よそ ....
雷に打たれて俺
鎖は手
地面にた俺
無視に食われ
醜い素形であるが
偏なところから
新しい目が芽吹き
光を目指し伸び
形こそ不完全だが
どうにか息ている
その不敢然さは
生き残り ....
凪と鉛
曇が地へ落とす火
色より広いまぶしさの
まなざしのふちを洗う雨


水を踏み
坂をのぼり
鈍を振る
頭は 音になる


空に浮かぶ火が薄まり
他の火を ....
 高校二年に進級した私の環境は正直言ってあまりよくなかった。一年生のときロールモデルにしたいと思った教師とは接点がなくなり、非常に相性の悪い若い男が担任になった。まあ人気のない教師ではあった。いま思え .... ムーミン谷に不眠症はない
眠れなくても誰も困らないから

ムーミンママは
もし眠れなかったら台所の整理
夜出てくるトロールたちに
小さなお菓子をこさえてくれたり
あたたかい飲み物をくれた ....
ぽつんと小石みたいなカスタネット
青と赤の二種類
人類
未達の末の、ふたつ
月の光の終着点

光は反射して
青いビームと赤いジュース

ねじれ そよぎ
分かり合えない、ゆかり
 ....
ご飯を食べられないから
せんべいと
ミネラルウォーターだけで
生きてみようと思う
というとあなたは苦笑して
もっとやせるよ
と言うんだった

冗談ではなくて
吐いてしまうのだと話すと ....
流れる水辺にあって、冬の光が
点っている。てらてらとここは
静か。見えないものに、触れた
ことのない。めくらの。薄く紅
挿す頬のあどけない。水掻きの
広く、長い指の掬えない。指間
指間から ....
以前、株の売買をしていて、現在は惨憺たる状態なのですが、そのことをお話ししたいと思います。
株をはじめたのは3年ほど前、株ブームが起こっていた頃です。その頃は、東証の一日の出来高が45億株を超え、バ ....
書いてしまって、また後悔するかもしれないんだけど。
まずはお礼から。
詩学社の破産、廃業の折は、「詩学社を救え!(http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=136 ....
その日オレは友人の家で例によってダラダラといつまでも呑んでいた。
翌日仕事のある友人が寝てしまったアトもだ。

その頃オレはガチンコの無職で、生きて行く事の大変さがちょこっと分かって来たような気 ....
吸いかけのタバコを灰皿に残したまま
別のタバコに火を点けてしまう
もう何杯目かは
忘れた
三半規管がサボりだして
その加速が止められないまま
もう上手く歩けるような気がしない

別に酔 ....
                  081008



ちょっとものたりないんだよね
くうかんのちからが
たりないんだよ
気短な君が
でんぐり返しをする旅に
僕たちの家計は
火の車 ....
私は昔、風でした
どこからが私で、どのような私か
わからないままに
木々を揺らし、髪を靡かせ
生きていました

高いところから低いところへ
汚いところも、美しいところも
青いところにも ....
好きな色の花を好きなだけ集めて花壇を埋め尽くすと
使わなかった色が急に気にかかってくる
流行なんてそんなもの
好きな色と思っていたものは
そのとき売り場で売られていた流行で
そのときの欠落と ....
 これまで稚拙な文章ながら、合唱曲に取り上げられている詩について紹介させて頂いていました。『合唱曲へのご招待』としながらも、曲想とかについて紹介ができていなくって、詩がどの様に音楽によって新しい動きを ....  
本家にはいつも
猫がいた
本家とよばれる所には
いつだって
猫がいるのだった

お盆とお正月に
本家に帰ると
やはり猫がいた
けれどもその猫は
おなじ猫ではなかった

お ....
ビューフォート風力階級というのは
煙突の煙がまっすぐ昇るなら風力0で
風向き程度にたなびくなら1
木の葉がそよそよしてるぐらいは風力2で
小枝までゆらゆらなら3
といったやつです

風に ....
この文章はおそらく君に読まれる事はないだろうから
だからこれはほとんどひとりごとのようなものだ

ぼくは君でオナった事をそろそろ忘れようと思っているんだ
それでも
君とジョナった事を忘れない ....
意味さえ知らず
触れては消える
水のなかへ
音のなかへ


一滴一滴
光は変わりつづけている
抄うともなく抄う指先
常に既に異なるふちどり


鉱の音が響い ....
あれから2週間が経ったっていうのに
なぜいまも頭が膨れ上がってるのか
理由は自分でもわかっていて
そのうちのひとつは、トーキョー 打ち上げの席でもと子さんが話してた電車話が
私の旅路にふりかか ....
私と一緒に生涯を共にする貴方よ
あなたを愛する欲望が寝る前に激動の猛りとなって私を震えたす
ちぎり、だ。
結婚式で神に誓う必要がない揺るがない愛でてを繋いで生きていこう
今も未来も貴方と共に変 ....
だらしない服が
花のように香る
からだの線が
浮かんでは消える
あなたは
無言にたなびく


降る曇
くちびる
とじたまなこ
うしろあたま
ひとつかがやく
 ....
「先生のじゅぎょう、好きだよ」

その言葉が眩しい
たとえそれがしわくちゃの
紙切れに書かれた言葉でも

ノートの端をちぎって書いた
ひらがなばかりのその文字が
いまの僕に ....
 
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに


+


栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは


+


夕日のあたたかいところに
古いネ ....
朝靄の泣き声でした
窓の外のまどろみは綺麗すぎて泣きそうでした
君はこうやって
人工の明かりさえ美しく引き立たせるの
才能だよね
本物と似て非なるものとの対比率
定義など成り立つものか

目を覚ませば ....
今日図書館で谷川俊太郎の『詩人の墓』を読んだ。
そうして大学時代谷川俊太郎を専攻していたというゼミの先生が、今の日本で詩だけで食べてゆけるのは谷川俊太郎一人だと言っていたのを、唐突に思い出したのであ ....
空のすみずみまで血はめぐり
いつもの午後が
今日も静かにあくびする

ふと目が合って
空の心臓が
止まりそうになった

手を繋いで歩いたら
真っ赤な大きな心臓が
名残惜しそうに ....
彼は笑っていた
唇が裂けるくらい口を開けて
顔全体から声を飛ばすように
笑っている
誰もいない砂浜
荒れる海に向かって
笑っていた


空が崩れ落ちる程に声を荒げながら
腹を抱え目 ....
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