海の伝言
たもつ

 
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに


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栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは


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夕日のあたたかいところに
古いネジが落ちています
いつか機械からはぐれて


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六月の日よけに懐かしい
あなたの手が触れていました
ひとつのことのように


+


草行きのバスに乗ります
生きている魚にも
瞼をつけてあげたかった 


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掌に残る水温の痕
大きな船で発ちます
音にもなれずに


+


ゆっくりと通過していくのは
海の内緒話でしょうか
柔らかな雲のお墓へと




自由詩 海の伝言 Copyright たもつ 2008-06-21 17:51:29
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