日射しにぬるむ木蔭に焼かれた
横たわるしろい肌
くるぶしを舐める犬の舌のざらつき
渇いていく唾液とこぼれる光は
すこやかにまざるばかりで手放しかたを忘れながら
あたまをなぜてやる

季節 ....
とっくに終わったよと
あきれ顔で南の国に言われそうだが
待ちに待った開花だ
長かった冬に別れを告げる合図だ

こんにちは
思い出を咲かせる
友よ
そとのあかるさは
風のように部屋を訪れる
異国の布の隙間からのエトランゼ
誘うように歌いながら

もう春のワルツでなく
初夏、その一歩だけ手前の
ひと時だけの静けさへの{ルビ招待状=いざ ....
さて今日も花が咲き
往来はあざやかな灰色
卵を割る指に思いが絡まって

( )

シャツを洗い シーツを洗い くつ下を洗い
はがれ落ちる自意識をかき集めてくり返し洗い
 ....
脇目も振らずに走ってきたよ
余所見をしている余裕はなかった
家と会社を往復するだけの毎日

ケースに入れたままのギター
若者の音楽を受け付けなくなって
大好きな歌も歌えなくなっていた

 ....
実は二十七歳とか三十前とかに死ぬんだと思ってたんだ
別に悪魔と契約した訳でも無いけれど
気付けばおめおめと生き延びてる事に気付いたんだ
別にそれが恥の多い生涯でも無いけど
さっさと和了って死に ....
内なる外が押し寄せて来る
外なる内が押し寄せて来る

誰もいない、繋がりはない 
白い空間奥まる深夜
圧迫され窒息する
深みへ奈落へ落ちてゆく
(揺れ震える肉の魂)
ぬらりと赤い舌に呑 ....
音楽は子供組が舐める風邪シロップみたいなものなんだって
遠い昔にいた偉い人がそう言ったんだって
いつかのあなたがぶっきらぼうに教えてくれた
わたしは中古の楽器を担ぐあなたについてまわ ....
大きな箱だった
膝を抱えてすっぽり隠れられるほど
そんな立方体を展開図にして
悲しみの正体や理由
いちいち解説してくれるけど

「まったくなぐさめにならない」 そう言うと

 《なぐさ ....
水音のなかに
時間が並ぶ
どこを切っても
倒れゆくもの


耳元の螺子
洞の夢
すぎるかたちの声たちが
すれちがうたびに語りあう


勝者も無く花冠は増え
言 ....
そうや、おらんかったね

自分以外の人がいる居間は暖かかった
冷えたこたつの中で丸く、眠るその影に小さく蹴りを入れても
明日もそうだろうね、言い訳することもないよ

灯油を乗せた車の音楽が ....
照るもる
本懐セルカ試合
もうてんの
ぱっついちのちの
本懐セルカ試合
らーめん
チャーハン
餃子の安穏
経て経て
のいちのやりとり
それがにちにち
じゅうねん
にじゅうねん
 ....
懐で古銭をじゃりじゃりさせながら
暗い大通りを歩いていく
多くの脇道が横に伸びていて
かつてここを一緒に歩いた人が
上から見ると「馬」の字になっている
と教えてくれた町
何百年も前に大火の ....
月見草
銀に揺れている
透明な水流になびき
引き寄せられ
傷んだ身体
俺は引きずっていく
引きずられていく
寒風吹き荒ぶなか

青、蒼、碧

陽光余りに眩しいこの真昼

俺の ....
外に臼がほしてありました
もうすぐもちつきだからです
家族はそれぞれに白い息をはいて
うったり
うたれたり

白くて柔らかいもちを
家族の手でまるめて
少しいびつなそれは
部屋に飾ら ....
彼が世界を美しいと思えるようになるのに二十年かかった。
冬の風呂の暖かさを知るのに、夏の風の心地よさを知るのに、
青空の透明さを知るのに、草原の輝きを知るのに、二十年かかった。
此処には見えない風が吹いている
どうしてなのかぼくには解らない
失った物も失われた物も解らない

石が転がり
葉は失われた
ぼくにはそれしか解らない

落ち葉がトランプのように散らばり ....
見た目に少なくとも毒はないらしい
わたしの顔立ちを思ってのこと
とにかくおまえは黙っていろとのアドバイスは
おとこ友達からしばしばもらっていた
ちゃんと頷く、そしてみんなで遊びに行った
飲み ....
天花粉の丸い小箱にはいっていたのは
祖母や母が立ち切狭で廃品回収に出す前に
切り取った釦
鼈甲仕立ての高価なものもあれば
校章入りの錆びた金釦や
普段使いのプラスチック釦
そし ....
小指の先から優しくなっていくのかも

浩然とした冬に
無邪気に傷つけられても
まあいいか。と笑っている


髪の毛のすみずみまで
風にさらわれる少々にまで愛おしげに
流れていく

 ....
 


分厚い雲のはるか向こう
白く明かりを投げてくるのは
まるい太陽

アスファルトに吸い込まれながら
乱れ舞う淡雪
踏みつけようとすると消え
歩こうとすると
視界にまとわりつ ....
先日、職業というものを
脱いだ僕は
これから日々遍在する
小さな太陽になろう

――〈今・ここ〉に日溜り、在り。

本当は誰もが
小さな太陽を宿すという
昔々のヒトの記憶を
互いの ....
僕は親父が大の苦手だった
悪い人ではなかったが
説明しない人だった
子どもの頃よく怒鳴られたが
怒鳴られたわけがわからなかったので
いつも不安を抱えていた
親父が仕事で帰ってくると
同じ ....
ありきたりな建物の影から
熱がすっかり移動して
遠くの景色が少しずつ
確かな輪郭を持ち始めた頃
黒く細長い支柱が切り取った背景は
穏やかに収縮していた

後から来るものは皆
他愛のない ....
なめらかなあなたの肩はバニラ味



すんとした風来坊になりたいな



音しない地球の自転速すぎて



秋のきみ産地直送されてきた



無理を言う机の角を15度に ....
あなたがさやかな{ルビ詩=うた}をというなら
二歳の心にリボンを掛けて

あなたがかなしみをと望むのなら
わたしは{ルビ現在=いま}を隠さない

あなたが絶望のかたちをと、
それならわた ....
眼は
閉じるためにある
闇と親しくなるように

  暗黒に潜む
  閃光

耳は
塞ぐためにある
沈黙に浸されるように

  静寂に沈む
  音声

腕は
抱えな ....
光を打つものの影が
空に映り揺らめいている
二本の穂の墓
影が影に寄り添ううた


切り落とされても切り落とされても
見えない部位は羽ばたきつづけ
音の無い風が生ま ....
いつのまにか
ぼやけてしまった
染みが
もう存在が消えようとする、その瞬間に
ようやくこころの片隅に
いろを
発生させて
 
うまれるよ
うまれるよ、と
存在を主張し始める

 ....
白い障子紙とおしてひかりチラチラ散らばって
立てなくなったばあちゃんをやさしく照らしてる

「食べとうない もう入らへんのや」
「そんなこといわんではよ食べて
愚痴いったらあかんよ
おかあ ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1287)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
五月の犬- むぎのよ ...自由詩917-5-13
北の桜- 乱太郎自由詩12*17-5-6
ひかりの風- もっぷ自由詩717-5-4
洗いざらし- はるな自由詩917-4-30
花残り月- 1486 106自由詩9*17-4-29
あしあと- 虹村 凌自由詩317-4-27
悪夢再び- ひだかた ...自由詩3*17-4-15
音楽- DFW 自由詩12*17-3-13
悲しみの展開図- ただのみ ...自由詩18*17-3-1
ひかり_言葉- 木立 悟自由詩417-2-22
+2℃- 青の群れ自由詩617-2-6
はれるや- 次代作吾自由詩417-1-30
狂馬- 春日線香自由詩817-1-29
病巣- ひだかた ...自由詩12*17-1-16
臼の陽の目- 朧月自由詩516-12-25
二十年- 水宮うみ自由詩6*16-12-19
凍る世界に- レタス自由詩916-12-14
瞬く聖域- もっぷ自由詩316-12-12
- 為平 澪自由詩10*16-12-9
優しさから優しさへ- 印あかり自由詩4*16-12-6
曇り空の向こうに- Lucy自由詩12*16-12-4
小さな太陽- 服部 剛自由詩216-12-2
親父- ホカチャ ...自由詩1*16-11-30
知らない土地に差す陽の隙間で- noman自由詩416-11-28
目をつぶり自転車- ふるる川柳9*16-11-27
本日開店「初雪屋」- もっぷ自由詩516-11-24
不在の身体- シホ.N自由詩516-11-21
ふたつ_冬野- 木立 悟自由詩1716-11-14
_染み_- 小林螢太自由詩14*16-11-9
やせほそる銀色のおひめさま- 田中修子自由詩7*16-11-5

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