青空

校庭

教室

制服

笑い声



何もかもが「点」に見えて仕方ない

不揃いで不条理でだらしない

教室では席順を決めるクジで大盛り上がりしてる

私 ....
山間から 金属的な反響音が聞こえる
ブランコのきしみのような音だが大きすぎる音だ
山に反響し どこから 背後から聞こえる気もするし
前方から聞こえる気もする
川岸に下りると クレーンが ....
青く光った矢印が
一斉に前を示し
両腕にしがみ付く怠惰な風は
酸っぱい痛みを産み落としていった。
萎んだ夜と悴んだ指先には
遠くの方から響いてくる
赤い点滅の伝言を
読み解くことはできな ....
京(みやこ)の雪は
帰省の翌日
天気予報にあったとはいえ
数年来の大雪で
暮れの街が大混乱
テレビのニュースでのみ見る
京の冬らしい姿に
立ち会えなかった

呑んでは ....
客電(#60、70、80代)、カットアウト

あなた 言ったわね
もう二度とお礼は言わんって
だから信じていたの
こっちから一方的に言いまくってやるって

舞台(#0)、フェードイン
 ....
おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう
口に含まずとも触れるだけで命を焼いてしまうような
誰よりも強烈な毒薬になってみたいんだろう?
おまえの言ってることは誰でも一度は夢 ....
死、の音木霊する春来る窓辺、おおお
枯れた枝にまといつくいつぞやの暴落
嫌な臭いの涎を拭った爪の先が太陽を求めて喘いでいる、曇天
鼠色の羽持つ鳥達が陰鬱な旋律を調律している、暗い ....
雑草もいなくなって
剥き出しの岩肌を
木枯らしにさらけ出して
底冷えする意地悪さに耐える
荒れ果てた大地の上に
白く化粧を施した
柔らかな新雪が
みんなで手を携えて
降り積もってい ....
北北西の風の中で
アオジが寒い声を上げるから
鼻のてっぺんまでマフラーに埋めよう
枯れ草は アオジの冬越しふとん

薄い氷の下の小川の流れ
ヨコエビがしがみつくのは紅藻ふとん

朽ちた ....
届かない 繋がらない、
言葉
断ち切り、朝が流れる juwa juwa
凍みて浸みて染まる空気、突き抜ける、声
ほら ただ さけびにさけもお酸欠
突き抜けて、突き抜けて、今どこっていう次 ....
暗がりが暗がりのなかを
剥がれながら落ちてゆく
滴が滴でなくなるまで
見つめ見つめ 見つめられてゆく


見えるものは そこにないもの
赤を隠した 白の毛糸玉
腕に咲く ....
わかささん
鋼色に丈を伸ばす坂道を外れて
側溝を三十メートル
車ごと転げていく
わかささん
弾んで 落ちて
そのとき少しずつ
速いスピードで 窓から
青空片が 舞い込んでくる

雪 ....
ブルース・スプリングスティーンの、
1978年のアルバム「闇に吠える街」セッション時の、
未発表音源ばかりを集めた3枚組のレコードを、
買ってから、
ずっと聞いている。

お茶の水のデ ....
ぼくはいつも作業服を着ている
田舎ではみんなそうだったし 何の不自由もない
社名の入った制服 オフの日でも安全靴
それがぼくの正装だ

そんなぼくの格好を 都会の君は嫌った
ある日 一 ....
ハイツ和合にたずねてゆくと
花火ちゃんはフローリングの床でお皿をわっていた
ぺたりとWの字にすわりこんで
からだやわらかいんだ
ね、つめたくない?
訊いてからちがうちがう
なんでお皿な ....
熱くなった頬に導かれて
引かれて 繋がって
吐く白い息の裏側で 背中を押すのは掌。
12月の寒い風が
人の渦から生まれた熱気や摩擦が
ただ単に、この熱くなった頬の原因であれば
もういっそこ ....
コールドゲームの七回裏に
ぼくは打席に立ちました
見送ればボールでした
ツーアウト満塁でした
ぼくは眼をつむって
バットを振りました
フルスイングしました
ほんとうは代打を出されました
 ....
公園の夕刻を鴉が告げていく。
またね。別れを告げる女の子。途切れ途切れに笑う。最後のひとりだった。
そうしてまたぼくはひとりぼっち。
完成間際の砂の城。どうしようもないよ、とりあえず完成させよう ....
僕の住む街の近くに
緑の草におおわれた丘があって
その頂には飛行船のなる樹が立っている

枝々に
最初は小さな小さな 飛行船がぶらさがって
そして日に日に 少しずつ大きくなってゆく
その ....
自転車通勤がしたいと思い
16万円の高級自転車を買ったが
わたしには通勤先がない
などと今まではそういうパターンで
俺はずっとやってきたわけだが
2011年からはもう少し工夫をして
魔獣や ....
夢のようだった
銀河鉄道の夜でよんだ
真っ白な{ルビ鷺=さぎ}の菓子を
わたしは大地に植えていた
ずい分長い間そうしていたのだった
一羽でも多くと
せっせ、せっせ、尊くひかる白い足を埋 ....
同じ動きをトレースしながら
白い泡を口から噴き出し
穏やかに波は通り過ぎる
海風に撫でられていつでも
湿気のコートをまとった
重い砂の上を二人は歩く
景色を見ているわけでもなく
 ....
私の世界は曖昧だ。



紫色の朝焼けに家を出る時、
青い夜と赤い朝の暗い光に照らされる。

同じ顔と同じ服の人の中
灰色の箱で機械をいじり
大量生産の一翼を担う。
同じ表情と同じ ....
でんわはそうわきから細い細いくだをとおって
あなたのじゅわきにとどきます
そのくだが何万本もひつようとされていて
いろいろな人たちが仲良くなるたびに
せいふくを着たおじさんが
そ ....
随分と手持ちぶさたなので、久しぶりに生殖器に指をあてた。
指をあてがいながら、
生物学の先生が言っていた言葉を思い出す。

どうやって一般的にメスとオスの違いを決めているか、だ。
卵子が ....
母は黙って
何層もの小さなレースを
縫い付けていた
私たちの家庭に

あらゆる窓が
母のつくったレースで埋め尽くされても
黙って縫い続けた
私たちを見ずに

母は
母であり続け
 ....
許されない歌と
悲しまない声の祭り
阻まれない夢と
ひび割れた道の終わり
長い歩みが終わりを告げる
その時の寂しさのような気持ちで
あなたはほんの少しの
木の実を口に含む ....
未来
人造人間が リゼルグ酸ジエチルアミドを
舌下に吸収した時
解かれていなかった 魂の 謎の幾つかが
明らかになるだろう


部屋中の塵が惑星になって
光りながら ゆっくりと往来する ....
僕が昨日から大事に
大事に蹴ってきた石を
今日は空へかえそうと思う
僕の足にいいきかせる

もう石とはさよなら
石は星になるよ

僕の涙が含まれた
昨日はいらない
 ....
雨が降ると母譲りのくせ毛が四方に跳ねる。
母の巻き毛は天使のそれだが、
私のそれはケダモノの荒々しさだ。
高校のときの同級生は雨が降ると喜んで、
私の髪を触りにきた。
青毛の馬のたてがみに似 ....
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