「何かが眩しくみえるとき」
ベンジャミン

「先生のじゅぎょう、好きだよ」

その言葉が眩しい
たとえそれがしわくちゃの
紙切れに書かれた言葉でも

ノートの端をちぎって書いた
ひらがなばかりのその文字が
いまの僕には眩しい

「勉強つらそうじゃん」

似たような紙切れに
そんな返事しかできない僕に

「それをわかってくれるからうれしい」

その言葉が眩しくて
僕はときどき申し訳なく思う



 ちょっと理科の話をしよう
 中三で天体を習うんだけど
 きっと学校の先生は天体観測を課題にする
 夜空を眺めれば無数の星くずが見えるだろう
 
 僕なんてさぁ、星くずよりも
 くず星が似合うくらいなんだけど
 名前さえ覚えてもらえないような星が
 空いっぱいにひろがっていて
 
 きっと一生かかっても全部は見れないくらい
 だけどたまたま見つけたくず星がさぁ
 ほんと偶然なんだけど君を見つける
 そういうふうにも思えるんじゃない?



「先生なに言ってるのかわからないよ」

生徒が笑いながら紙切れに
そう言いながらも

「ありがとう」って書いてくれた

僕はその紙切れを
きれいにたたんで胸ポケットにしまう

けっきょく何も出来ない僕

窓の外にひろがる星
あまりにひろい世界の中で

けれど
そんな小さな出来事が

僕には眩しくて仕方がない


自由詩 「何かが眩しくみえるとき」 Copyright ベンジャミン 2008-07-08 14:25:22
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