マルセイユの夜
番田 

空路でやってきた体は疲れ果てていた
予約していたホテルは見つからず
青い夜が頭上を覆い尽くしていた

南フランスの深夜
回りにはいくつものホテル
僕は歩かなければなかった
しかし水もなく手を貸す相棒もない

年老いてはいないけれど
45度の坂にトランクを転がして
ホテルを探して歩き回った

所持金はほとんどなく
日本に帰っても将来はなかった
貧乏旅行の目的はなかったが
余計な金を使うよりも
どこかでおいしい料理を食べたいものだ

自分を楽しませることぐらい
人生の終わりにあってもいいもの
僕は歩き続けた
石畳の道はでこぼこと
車輪の一部を損傷させた


自由詩 マルセイユの夜 Copyright 番田  2009-08-07 04:00:51
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