夏バテ
ゆるこ

リビングでうつむせに戦死をしてると
からんからんとガラスと氷が遊ぶ音がする
目線だけあげて見れば
薬味と素麺とめんつゆをお盆に乗せた母親が微笑んでくれていた


という夢をみた



実際母親はもう立てない体だし
へばりつけるような清潔な床はわが家にはない
ただただ暑さの中を蝉と共に
じりじりとじっとしているだけなのだ


いつしか嘔吐を繰り返す
群青の時間も白く白く(汚いもので)
体育見学の子供みたいに
じっと暗闇に紛れていた

それが夏バテだと知ったのは十日後の涼しくなってきた日の話で
私はなんだか罪悪感に捕われてなんとなく床に伏せた
やっぱり目線の先には誰かの裸足が入ることはなくて
静かに なんとなく 目をつむった



自由詩 夏バテ Copyright ゆるこ 2009-08-06 10:11:33
notebook Home 戻る