冬の明け方は
町のいたるところに魚の群れが現れる

もっともよく見かけるのはニンゲン魚で
その横をついてまわるイヌ魚
校舎をよこぎるネコ魚やセキレイ魚がいれば
そのまま森へと消えるカモシカ ....
うちのたまは五百円玉が大好きで
お腹いっぱいになるのは十五万円
過日お腹が痛いというので
たま専用の銀行ATMでうんちをさせた
もうそろそろ
またお腹が痛いというだろう
たまは食いしん坊で ....
固く結んだ唇を
解く時が来た
まだやりたいことがある  
諦めないで夢を見た
何度目の朝でも
バターを塗るように
目標の四隅に
春という風呂敷を広げて
もう一度だけ飛びたい

柔ら ....
 銀杏並木
 沈黙のたしかさ

 煙草に火を着ける 
 マフラーをほどく

 散らばる陽色の実
 街に集散する鳥たち
 風は午後を吹き抜け 

 永遠
    く ....
(ごくごくありふれたおーとくちゆうるな

     空ははじまりのようにしてはじまり)

 (すっかりなくしていたではないか

     ○

 こぼれおちてきた
    ....
夜中に目が覚めた
真っ暗な部屋に夜がひとり

しんと静まり返った夜が
ぽつんと立って、
なにも言わずにずっといる

朝まで立ちつづけたら
きっと疲れるだろ
よかったら、
ボクのそば ....
(内臓はからっぽ)死んだ馬の胸の中に、
{ルビ紙縒=こより}で拵えた聖家族が暮らしている。
1:12 a.m. 雨が降りはじめた。
聖家族の家は茸のように雨に濡れる。
小鳥は頭蓋骨に雨を入 ....
ああ、君もここに来たんだね
いくつもの宇宙が生まれて終えた
今度の始まりは今までとは違うらしいね
もう君も知っているだろうけれど

そうせいをまつおおくのたましいが
みちかけるたいどうをあ ....
関西風のだしがおいしかったうどんの店は
コロナが始まってすぐのころ店を閉じた
よくお世話になってたのになあ
売り上げが落ちてかどうかは知らないよ
四月にはなくなってたから
それで、ちょっとし ....
――外気温2℃。
深夜の阪和自動車道を
オートクルーズで突っ走る
後部座席には竿がある

目的は、磯釣りだ
前回の屈辱を晴らすべく
ウキをハリス側にセットした
これで仕掛けは撒き餌と同 ....
 カーテン開ける
 東の窓辺は柔らかな
 柳の芽吹き おもわす光

 三度目に
 鳴っていた携帯のアラーム消して
 私を 執拗に抱きしめるコットン毛布から
 這い出してきた脳みそが
  ....
こんにちわ、
北風さん
扉のない家にようこそ

ひとつしかない部屋には
暖炉があって、
メラメラとよく燃えているだろ

冷っこいおまえさんを
ポカポカにしてあげたいから
しばらく暖 ....
幸せはいつだって 

いつだって 朝霧の向こう側

いつだって いつだって いつだっけ


遠くのほうにぼやけて見える ポプラが

ポプラが大風に揺れて 綿毛が飛び立つ

土が歌 ....
 
 夏の日の
 薄い日暮れに
 山裾を 退屈な貨物列車がめぐる
 段々畑に 
 くっきりと動いている
 働く人の影
 
 歌を忘れたら何が残るだろう
 長い貨物列車のリズムを
  ....
透きとおった言葉を口にして
目をそらした無意識の砂浜へ
甘露は溶けてかんかんの椅子の上
赤らむ空気を肺に吸い

ウミウシのあんぽんたん
原罪を浄化したからって
洗われた皮膚がきれいでも
 ....
月の輝く夜は
星々も遠慮深くため息をつく
彼女はとても気まぐれで
若葉の季節を待つ人々も祈りを捧ぐ
豊穣と子宝を授かるように
{引用=
 そのことについて


その後のことについて

しゃがんで空を見た


 そこには何も無い。


そのことがそのあとにあったのであれば、
その前のことを想像しま ....
誰かに教わったわけでもなく
ひれもないのに
泳ぐ術を知っていた
不思議
暗闇の水は透明なはずなのに
烏賊墨いろ
触れる
包まれる
抱きしめられる
身ひとつだけの
図式
へその緒が ....
桃の実の、そのなめらかな白い{ルビ果皮=はだ}は
――{ルビ赤児=あかご}の{ルビ頬辺=ほつぺた}さながら、すべすべした肌触り、

桃の実の、その果面の毛羽立ちは
――{ルビ嬰児=みどりご ....
 七回忌を過ぎた夜
 寝入る微睡に
 だれかの 手が触れてきて
 髪を撫でるのです

 幼い頃 してもらった様な
 手のひらの温もりは貴女なのだ 
 と 気付き

 うっすら 消 ....
詩がいなくなったのに僕がいる
ぽっかりとあいてしまった朝の空
仏陀もこんな気持だったのか
ついに死んでしまうまでの数ヶ月間

詩のために僕がいたとしても
僕のために詩はいないのだ
詩がい ....
大寒の朝
フロントガラスにいくつもの
小さな雨粒たちが
縦に並んでいる
球体の接地面で
ふるふると
ふるえてる
ああ、ここにあったのだ
糸から外れても
ばらばらにならないで
ここに ....
小さな青虫が
葉っぱを虫食いにして
生きてゆくみたいに、

夢を壊して、
優しさを捨てた男と
胸のはだけたドレスの女

ふたりはいつか
美しい蝶になって
この街を、
飛び去りたか ....
今朝出したゴミがそのまま残って
「燃えないゴミは水曜日です」と張り紙がしてあった
水曜日の朝も残ったまま
「今日は水曜日です」

仕方なく持ち帰り部屋の隅に置きっぱなしにしていたら
いつの ....
焼き場で
まだ熱い骨を拾いながら
生きててえらかった
と言う
レエスの縁のハンカチが
小さなポケットからはみ出して

花に埋もれたあなたは
びっくりするほど小さい

いつ終わるのか ....
インナーチャイルド


どうしたの?
こんな淋しい岸壁でひとりきりで
しかもそんな薄いスモック一枚きりで


あのね おかあさんかえるのまってるの
おかあさんおしごとしてるから
い ....
 あれは五年前、ぼくがまだ大学院の二年生のときのことでした。実験室で、クロレート電解のサンプリングをしていたときのことでした。共同実験者と二人で、三十時間の追跡実験をしておりました。途中一度でも .... フルオブライフ、
透明度の高い日々だった
言い換えれば僕たちの
一つ一つ箱詰めにされた
コワーキングスペース


揺れること、かすかな
軸を保ちながら
君の硬い輪郭線で、描か ....
 ツクツク 
 ツクツク
 ピーヨ ピーヨ

 それが貴女の
 独り言 だったのかもしれない
 と、今になれば思うのです

 病院から外泊すると
 東の窓際で
 黙って 鳥かご ....
 畔のみちを濡れながら
 駈けて行く少年が
 不意に 透明になってしまった

 もう同じ姿では帰ってくるまい

 寂しさが静かに
 胸を浸してゆく時がある
 貴方と再び相逢う日のない事 ....
本田憲嵩さんのおすすめリスト(2182)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- ぽりせつ自由詩424-2-2
たま- レタス自由詩13*24-1-31
桜前線- ミナト ...自由詩324-1-31
distance- 湯 煙自由詩5*24-1-31
blueshirt- 湯 煙自由詩3*24-1-31
夜がひとり- atsuchan69自由詩12+*24-1-31
聖家族。- 田中宏輔自由詩12*24-1-29
なげきなくながく- トビラ自由詩4*24-1-29
繁忙期の放心と、周縁の人々、一部に含まれること- うめバア自由詩424-1-28
ボウズ街道- atsuchan69自由詩11*24-1-28
朝暘- リリー自由詩9*24-1-27
北風の部屋- atsuchan69自由詩10*24-1-26
独り言4- 短角牛自由詩2*24-1-26
ソレイユ- リリー自由詩8*24-1-25
十四行のシーグラス- トビラ自由詩2*24-1-25
五行歌_セレーネ- レタス自由詩7*24-1-24
,_2020__- ryinx自由詩7*24-1-23
対岸まで- そらの珊 ...自由詩12*24-1-22
桃。- 田中宏輔自由詩11*24-1-22
リインカネーション- リリー自由詩8*24-1-21
詩がいなくなったのに僕がいる- かち自由詩224-1-21
邂逅- そらの珊 ...自由詩8*24-1-20
虫ケラの刹那- atsuchan69自由詩11*24-1-19
今年のさくら- wc自由詩12*24-1-18
熱い箸- 凍湖自由詩624-1-17
インナーチャイルド- 涙(ルイ ...自由詩324-1-17
火だるまパンツ事件。- 田中宏輔自由詩9*24-1-15
フルオブライフ- ねことら自由詩324-1-14
独り言- リリー自由詩7*24-1-14
冬の日- リリー自由詩7*24-1-14

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