二〇一八年一月一日 「熊人形」


 きょうから、リチャード・マシスンの短篇集『13のショック』を読む。スタージョンの短篇集は、いいの1作品だけだった。「熊人形」だけがよかった。スタージョンの短 ....
 えらい時代はきたもので
 往年の名馬が美少女キャラになって
 ゲームになったり、アニメになったり
 いや、批判しているわけではない

 ところでぼくが
 いちばん好きな馬の名前といえば
 ....
ふとした陰りに
降り落ちてきた雨に
足元の不確かさに
救うように
連ねた文字列のその先に
わたしは生きている

温もりを失った瞬間に
光が差さない海辺に
沈みゆく夜の深さに
耐えが ....
例えば











僕が若かった頃に



教典のように崇 ....
小人たちが落ち葉に掴まり
空の浅瀬で波乗りしている

深い眠りに沈んだ夏を
呼び覚まそうとする者はいない
さらさらと風は
思い出のほうから吹いてくる

小人たちは歌っている
こん ....
居場所のないことにすっかり慣れてしまった
居場所があったのはたんに周りが優しかっただけ

革命の年にテントとシュラフを積んで
やさしい風景を捜しに行った訳なのです
いまも漂泊中の修羅猫みたい ....
青い空
わずかながらに流れ行く白い雲
軒下には
蜘蛛の巣に滴る雨粒が輝きを放つ

夏休みが懐かしく思い出され
向日葵畑の跡に立つ案山子は
夕陽に照らされ

土手に履き捨てられた
幼 ....
333万篇を書き
33万篇を考え
3万篇を磨き
3千篇を解き
3百篇を放ち
30篇を届け
3篇が響く。

これでいい。
これくらいでいい。
これを出来たら良い。
大して強くもない将棋だが
美しい一手があることは分かる
今はソフト評価値と最善手を
見ながらの観戦だから
昔のような感動は少なくなった
ただ、ソフトとの一致率で
凄いとか凄くないとか
言 ....
不自由な直線で描かれた雨に
うたれている
肉体

つまりきみは
一歩も動かないまま
ふるえてある

姿という姿はめくられ
白紙というには色褪せたページが
きみの瞳のなか ....
白く輝く
美しい雲の階段が

地平の彼方から
こちらに向かってのびている

ほんのわずかな時間だけ現れる
天空への道は

月へ帰っていった
かぐや姫が

今にもでてきそうな気配 ....
思いつかない時
どう考えても
全く思いつかない時

ありますよ、そりゃ。
あるでしょうよ、そりゃ。

それでも
ありますよ。

粘りに粘れば
うっすらとそう
見えていなかっ ....
拝啓と書く
敬具で〆る

小学生のとき
電話とメールというメディアの違いを考えよ、という課題があった
今はもう、そのどれもがふるい
既読がつき、いいねがあり
三分の空隙にすら意味がうまれ ....
先ず、花鳥風月から
離れなさい
そんなもん
今の日本では紛いもんの
張りぼてです
張りぼてで癒された気になっているのは
単なる逃避です
逃げるのを止めなさい

クソみたいな
自分を ....
白い死神の背ビレに切り裂かれた
ふかいふかい空の底から
ぽろぽろと
こぼれおちてきたものの正体を
ぼくは
知っている。

それは
まき散らかされる
おびただしい数の安売りの愛だ。
 ....
香る。見える。
金木犀と遠く突き抜けるような空
何年経とうが鼻の奥に、目蓋の裏にあるのだから

泣くほどのことでもない。
「思い出す」と書くには頻繁すぎるほど
些細なことが引き金になって
 ....
 行ったことも、きっと行くこともない都会の駅は
 そのことばで
 ジャックとやらをされたのだという

 〈今日の仕事は、楽しみですか。〉

 はい、わたしの揚げているこのコロッケが
 今 ....
いちまいのやわらかな和紙だったね
わたしたち
淡い夕空に星の 輝くような
やぶられて
ふわふわの 端っこが
互いに 手を差し伸べても
又 一枚になれることは
わたしたち
ないのだね
 ....
石地蔵と夏
ゆうだち

金木犀のこぼれる石畳
空に続いてゆく秋

ちゅーはい飲みながら豆を摘んでおもった
僕をつまんでくれたきみを摘んだ僕
靴が脱げた
いや
脱げかかっている
右足だけ
白いスニーカー
薄汚れている

このまま脱いでしまおうか
立ち止まって
立ち直って
履き直そうか
左はなんともないのに
右だけ脱げ ....
空は曇り


街は曇り ビルの谷間の 冷えたぬくもりに躓き  吹き抜けるかぜ  なぜ と  灰とかげ──背広の音色が波のように行き交う歩道に落としたピルは
奈落の白い底


騙したあとの ....
君の翅を食べた
君がそうすることを望んだから
君の翅はよくできたお菓子のように
心地よい甘さで
もろくあわく溶けていった
最後に君の背に残る
翅のついていた痕をそっとなぞると
それも夢の ....
角を曲がる
これが幾つ目かわからない
そこに壁があり 外と
間とがあるから

区切ることは生活の基本だ
囲むことも
その中でなら
酒に漬けられた桔梗の根のような
人らしい行いをしてい ....
人生の走行距離はもう僅かかもしれないが
スーパーカブ程好きな乗り物は無いと思っている

角栄大臣の日本列島改造論で大陸との現実の橋ができていたら
スーパーカブに跨って日本のあるはずもない誇りな ....
そして
夜が更けるのでしょう

あなたたちの
一日を削り取った砂漠の中で

この街はいつも
極彩色の鳥が飛び交う風が吹く

魂の声はかすかに聴こえるか?
ゆっくり生きてゆく ....
ライフル銃で
窓から
道行く人々を
一人ずつ射殺する
彼らの憂鬱を
解消してやるためと
俺の暇を潰すためだ

海辺のこの街では
とんびがぐるりと輪を書いて
射殺体を今か今かと待ちわ ....
きちんとした背広を着た初老の男性が
泥水を飲んでいる
目を閉じて
じっくりと
味わいながら

その隣では鬼瓦のような険しい顔の男性が
やはり泥水を飲んでいる
「こんなものはナンセンスで ....
子が生まれて4カ月になる
育児はこれまでも長かったしこれからも長いだろう
一つの生殖はこんなにも長期に及ぶ
出産とは瞬間かもしれない
だが親になることは長期に及ぶ意識の問題で
さらに生殖は子 ....
激しい濁流と錆びた鉄橋はゆきずりの光景でしかない

ビニ傘で行く手をさえぎる横暴なエスコートがわたしと雨粒を斜めに切断する


無限を接写する賭博者たちは必ず破綻した

二度目に犯した過 ....
私は皆が羨ましいのです
生きている事
自己の存在を正当に思える事が


二十歳までの自殺は
やたら御涙頂戴的な悲劇の象徴にも関わらず
二十歳を過ぎると
やけに御笑いな敗北の象徴にな ....
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