地図も時計も捨てた時
人間が現れた
日が暮れる
人がどうなろうが
宇宙には関係ない
葉っぱは叫んだ 葉っぱの言葉で
一杯のグレープフルーツ・ジュースで蘇る
甘みも包含するそのほろ苦さ
アメリカ資本の傀儡なのだ僕は
それは「お化けだざう」と
シーツを被つて子供を嚇す
そんな男の
だうしても
と云ふ氣分
....
枯れ葉が、自分のいた場所を見上げていた。
木馬は、ぼくか、ぼくは、頭でないところで考えた。
切なくって、さびしくって、
わたしたちは、傷つくことでしか
深くなれないのかもしれない。
あれは、 ....
父はギャンブルと女に金を使い果たし
家に給料を入れることは殆どなかった
幾度となく踏切りの前で躊躇したことか
カンカン カンカン ゴォーッ ゴォー
母は嗚咽を押さえてぼくの手を ....
外を見る
檻を見る
歩いている
虎が歩いている
あくびをした虎だ
私、とは
檻の中にいるのだっけ
幽玄に消えた霞を
食らって生きている
退屈そうな受付係は頬杖をついて紙を寄越した
....
大根を千切りにする
人参を少々千切りにする
合わせて塩にしておく
サバ節と昆布で出汁をとっておく
塩と砂糖と酢と出汁を
あわせてかき混ぜる
砂糖が溶けたら大根と人参にかけて
混ぜ合わ ....
UMAがゆらりゆうらりと
こちらへ向かっている
新月がその姿を曖昧にする
心の中に抱いている
あんなことやこんなことを結びつけ
その姿を見ようと頭の中を巡らせた
心に浮かびあがる月とU ....
真っ赤な毒で満たされた盃を
一息に飲み干した
人生の不遇も悲しみも
すべて人のせいにして
生きてきた贖いとして
置き去りにしてきた不義理の数々
あなたは思い出すだろう
人の優 ....
日平均残業三時間の男で惣菜売り場がごった
返する午後9時。たまには、という連中が鮮
魚コーナーでうろうろする。帰りの電車でグ
ルメ漫画を読んでたりなんかすると。
白い袋の中には、 ....
豊かさにすがる人々が挙って生贄を捧げる
まぶしい海の街に聳え立つ女神の像が淫らに、
そして聖母のように微笑んでいる
見よ、彼女が踏み荒らした諸国の苦しみを
アフリカの中央部、西部、そして ....
○「イキテイルことへの感謝を込めて」
イキテイル イキテイル
今日もイキテイル
「オギャア!」とこの世へ送り出されてから
ずうっとイキテイル
病死 事故死 事件死 災害死もなくイキテイル
....
死神、画商
藝術家の死はカネになる
死に際に何點か繪を買つて置く
やがて没年の後何年かすると
画家の許容され得る時代が來るかも知れず
愛情を以て愛を語るより
Money honeyを以て語 ....
雪明かりの中、ひさしぶりに散歩に出る
獣たちの足跡が点在し、ときどき走っては敵に怯えるように急ぎ足になったり、少ないながらもその痕跡が塗されていた
時折、小声で独り言で事を説明する私は酷く滑稽であ ....
こんなことがあった
神奈川県鎌倉市手広のあたりを
自転車で走っていたら
宅地の一角に建つ物置のような家から
おばあちゃんが丼鉢にラップをかけて突然出てきた
なんですかそれ?
厚揚げと大根の ....
夢は別の世界で
自由なのに束縛されて
真夜中の街に出た
街はもうひとつの世界で
お金がなくても
歩いているだけ でも
楽しかったはずなのに
休まる場所が見つからない
暗い歩道に ....
冒頭に流れる陽気なラジオ
今年一年を振り返ってる
あてもなく車を走らせながら
あなたとの結末を思い出してる
ねえ、気付いたかい?
クレジットの旋律が物語全体と同じなんだ
側 ....
ぼく、うしどし。
おれは、いのししで
おれの方が〝し〟が多いよ。
あらら、ほんとね。
ほかの〝えと〟では、どうかしら?
たしか、国語辞典の後ろにのってたよね。
調べてみましょ。
うう ....
手のひらですくえるほどの軽さ
ふっと息をかければ羽毛のように
水のようにさらさらと
それくらい
それくらいと言いたいのに
あなたが踏んだ泥は何億年後かにも
化石になって残るだろう
た ....
LINEを交換した時
心も交換しました
有人ロケットに
眠たそうな亀を乗せて
月の兎の言付けは
葬祭場の灰に混じり
新たな嵐が発生しました
未曾有の試練に備えてください
猫ちゃんかわい ....
そのさざなみがいつまでも
ちいさな揺らぎを伝えてる
むかし夢みた船の旅
どこへ行ってもしあわせそうな
その船室でひとりきり
小窓からみる赤い月
ゆらりゆられて波のうえ
ここ ....
空がとても青いから
ぽろぽろ涙を流します
ハンカチを持っていないので
涙を拭うことはできません
地図を持っていないので
トコトコ家に帰ることも難しくて
夕陽が沈む頃 ....
君の鼻歌を引き出すために
何を話したらいいだろう
緊張を含んで発した言葉は
白々しい空気となって
沈黙の中に霧散してしまう
きっと些細で単純なことと思うのは
僕だけなのかな
意思を感じる ....
何かの幼蟲が皮下を這ひ回る
所謂コールドターキーの苦痛を
かう表現する者もゐる
ゆくりなく禁煙してゐて
煙草は決して嗜好品などではなく
麻藥の一種だと知るが
幼蟲が現れぬ分
マシかとも
....
自分が
何者かを
頑張って探し続けて
自分はいつか
素晴らしくなりたいと
大言壮語をはき
そうやって
苦しみもがいて
また今日も
あの女優さんで
マスターベーションをす ....
カバ、ひたひたと、たそがれて、
電車、痴漢を乗せて走る。
ヴィオラの稽古の帰り、
落ち葉が、自分の落ちる音に、目を覚ました。
見逃せないオチンチンをしてる、と耳元でささやく
その人は、ポ ....
虚無の庭に
僕らは佇む
灰色の日時計のかたわらに
でもこの場所は
光源のさだかでない光が
ぼんやりと漂っているだけだから
日時計は時を示すことができない
忘れない というクリシェを
....
ちょっといいですか。
あなたは神を信じますか。
牛の声で返事をした。
たしかに、神はいらっしゃいます。
立派に役割を果たしておられます。
ふざけてるんじゃない。
ぼくは大真面目だ。
友だ ....
黒い写真は我々に何を語ってくれるだろうか
干からびた
噴水の
中を走る
純粋さ
岩の
....
世界はゆめ
みてる
木々の上で
鳥が鳴いている
その光景を見ている
鐘の音が
どこかで聞こえる
耳を澄ます。
日々、
の
暗闇のなか、一日がはじまる どこか
に行こうと、 ....
いつか森のいちぶだったもの
小鳥をすまわせ
そのうたに耳をかたむけていたもの
みどりの葉をめぶかせ
ゆびさきは空へとむかう
よるになれば流れる星のゆくえを占ったもの
むささびの発射台になっ ....
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