少年の 碧い心音が 秋桜の花束と 共振するから
ほろほろと 崩れゆく 夜の輪郭を 掬いとる指に
まとわりつく記憶は 水彩の淡さで かなしく
けれど窓の遠くに 群青の塔群が 絶え間なく
銀の月と ....
暮れて行く秋
まつすぐな道
銀杏の葉のそよぎ
感じてごらん
たつた今うしなはれた
いくつもの命の分だけ
透けて行く風を
たつた今うまれた
いくつもの命の分だけ
....
月にいきてえんだよ
息ができねえとか
華がないとか
雲がうかんでねえとか
音がないんだとか
そうかいそうかい、
どうでもいいんだって!
おれも男だからさあ、穴が
あった ....
(慟哭)
世界に影を落とした優しい諦めを知らないで惨めな豆腐の角はたいせつに磨いたアクアの舌。はもうないけど人狼の夜は深く更けゆくばかり火の鳥を知らない?
(うそ。知っている。)
悲 ....
静かさ
静かさ、といふ音があると思ひます。
秋の夜長、しをれかけた百合を見ながら
静かさに耳を傾けます。
{引用=(二〇一八年十一月八日)}
....
うたわないディランと
自殺をしないカート・コバーン
ビー球の 転がりのなかを
夕焼けが駆け抜ける
きみにあこがれる
いつか人生に
椅子を失くす日、
....
詩を歌う人は月が好きなんだなぁ
分かるよ
こんな身近に
夜空にたったひとつ
あんなに美しくて あんなに悲しいものは
そうあるものではないからね
僕もその一人
貴方もそうなので ....
みたこともない
みなみのくににむかって
いっせいに とびたつ とり
ないかもしれない
あした にむかって
ゆめを 放つ
たどりつけるのかどうか
じつはわからない
ふゆのむこ ....
皿の上に1/4に剥かれて干からびた林檎がふたつ
淋しくて寄り添うように折り重なってる
音のない世界にカサリと観葉植物の葉の落ちる音
それでも君は決して起きたりしない
のそのそと目覚める ....
親戚の目が横に伸びていく
奇妙な形、と思いながら
引かれた椅子に座る
袈裟がうやうやしく現れるまで
空気は露ほども動かなかった
左手に花を、右手に線香を持つ
あとは付いていくだけ
人 ....
波、持ちあがり砕ける
持ちあがり砕ける、波
わたしはいない どこにもいない
陸続と
波波
天井の向こうの
鮮やかになるしかない空に沈殿した
新月をじっと眺めていたら
心臓から水銀がとぷり
流れ落ちた。
とぷりとぷとぷ
とぷとぷぷつつと
畳にしみた。
あの日と似てて
全 ....
炎の刻印が
街に押されて
ようやく
冷たい夜が明ける
街のマリア様たちは
眠い目をこすって
もう、
明日から振り返ったとすれば
何度目の
希望を
浪費しただろう
夜 ....
波の跡が
空に残って
だけど
いつのまにか風が消していく
秋の雲はことさら
はかなげで
明日にはもう
冬のものになってしまうだろう
空は
海のなれのはて
今はもう絶滅した海 ....
埋もれた一粒の麦のことを
考えている
踏み固められた大地から
顔も出せず
根をはることもなく
暗澹とした深い眠りのなかで
郷愁の念を抱いているのか
夏天に輝く手を伸ばし
希望の歌が ....
けだもの
ひとの声がする
空がなく
土もない
紙の色の月がうすく照らす
このわづかな世界に
やさしく
神々しく
いつくしみ深く
ひとの声がする
《祈りなさい ....
霧のつぶが
ここらに留まっている
セイダカアワダチソウが
しっ
と立ち尽くしている
秋は秋でさみしいから
オルガンを弾く
幼き
亡き王女に寄せたこころを
いつまでも
....
私は
私の人生の途中で二度
自らその命を絶ってしまった人の葬儀に参列した事があった。
一人目は同じ工場内で働いていた五十代の男性。
とは言っても勤める会社は違っていたからほとんど口を利いた ....
選ばれなかった者の
焦燥と未練が
クソ自称詩を生む
───自称詩人 江面はうんど
生まれた瞬間から今まで
誰からも何からも
選ばれたことのない人間が
生きているうちに
一回だけでも ....
泥のなかに
蓮根はもういない
君は立ち去ってしまった
はるか
はるか南に
もう
花は咲かない
ああ蓮根
いとしく
暖かな白
ゆたかなひかり
君が去ったあとを見てしまう
泥の ....
ここは空がまどろむ地上
光の色が硬く移ろっていく
荒れ地は碁盤の目に整地され
種々の国々に植民されている
心を殴打する音律が激しく
地が震える音響が小脳を駆け巡る
特急電車でさえ自 ....
あなたがいると、
世界は
星くずみたいになるから、
右や 左や
上や 下はなくなって
きらきらざくざく溢れゆく波になって
みんな 傷まみれで
ひかって、
転ぶみたいに流れて ....
磁石は
線をだす
磁力線と
いう
おなじ
性質は
はんぱつし、
ちがう
性質は
ひきつけ
あう
磁場のなか
磁化が
おこなわれる
なか、
つみは、
....
お月見
少女は青い服を着て
ひと晩ぢゆう恋文をかかずにゐた
姉さんの形見のコーヒーカツプに
月をうかべて
{引用=(二〇一八年九月二十五日)}
....
貧乳者が虐げられていることは
社会的な大問題だと
声高に主張する人は少ない
確かに世の中には
貧乳マニアが存在し
それ向けのAVもある
しかし、大多数は
美乳や巨乳が好きだ
....
10代前半女子しか
愛せない青年が
今にも犯罪行為に走りそうになるのを
実際は10代でも何でもない
140cmシリーズのAVを観て
必死に堪えているとしたら
誰がそれを非難出来るだろうか? ....
1.蝉の脱け殻
階段を登っていると、カサリ と音がした
足もとに目をやると、蝉の脱け殻が潰れていた
私はそれが、崩れてしまわないように、
そっと、ポケットに仕舞った
2.虫籠 ....
ぽっかりと空いた時間に何をしよう
流れる雲はいつもよりちょっと忙しそう
吹く風は私をちっとも気づかってくれないし
花はまたねとゆらゆら揺れている
石ころはちっともこっちを見 ....
朝の職場には苦い光が満ちている
クーラーだけが職場を奏でる音楽だ
夢も幻もどこかに隠れていそう
何もかも柔らかく統合され
一日を彫り上げようとしている
朝の職場には清潔な真実がある
パ ....
生きることに不真面目だから
自称詩なんかに逃げるんだ
きつい現実から目をそらして
ゆるゆるの関係性に逃げ込むんだ
おまえさ
ただの一度でも
自分以外の為に
(人でも神でも馬でもいいよ ....
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