{引用=
朝がほどけると、水面に横たわり あなたは
かつて長く伸ばしていた
灰色の髪の、その先端から
魚を、逃がす
皮膚は、透きとおって ただ
受容する 水の、なまぬるい温度だけを
....
気づいたら痣のような夜が太腿
にできていた。傷口からは海が
滴ってしまうので、私は鰓呼吸
をしなければならなかった、吐
き気を感じてシンクへ、喉の奥
からこみ上げてくる熔岩と陣痛。
それか ....
ここにはもういなくなってしまった
ひとたちが
ときどき浮かんでくる
そのたんびに僕は
夕焼け 夕焼け
って詩を書き始める
いないいないばぁ
....
銀色の雨が音もなく降っている。
テラス越しに見る常緑樹の緑は鮮やかで、
一日の予感は謎めいている。
雲に覆われた空は以前読んだロシア文学のようだ。
テラスに置かれた二脚の白 ....
こんばんは。
私です。
今は真夜中、あしたは仕事。
例えば10年だけど
涙で海が出来ちゃったり
小学生になっちゃったり
低血糖に苦しんだり
なんだかとってもファンタジー
悲しい ....
いつのまにか名前を忘れていて
出席番号だけになった
常緑樹はかわらなくて
花のにおいはかけている
校舎と門
息をするのがむずかしいような
薄い空だけ
水に飽和して粘液のような砂糖 ....
あの陽だまりに置き忘れられた深い裂け目
おれの胃袋はもう紫色の朝へ停泊していた
窓から女が見えた裸のまま
微笑んでいた カメラの前みたいに
ブラインドが降りるまでの一瞬だった
おれはその一瞬 ....
野良猫に話しかける人を
路地裏の防犯カメラが覗いている
春の陽気はくすぐったいから、似合わない
見下ろせば宴、地獄の淵はビルの屋上にある
天国の近くは高い金網が必要
恋はいつまでも恋 ....
空が3つあればね
1つくらい駄目でも構わないけど
音楽室は雨のコーラス
トライアングルを鳴らすと
乳頭があまく痺れた
先生はしょうのうの臭いがした
深くおじぎをするとポケット越しの ....
密室に詰め込まれた人々はただ寝静まっているふりをしていた
目を凝らせば二十六時を指す文字盤が見える
細長いスポットライトが客席をなぞって点滅を繰り返し
エンジンは緩急をつけながら唸り続けてい ....
その魂の美しさは通貨になる
ふかい森の奥でみどりいろに光る怪獣の眼と
契約して明るい場所まで走っていける
花嫁よ
ウェディングドレスが泥を食っても
きみはずっときれいだ
肉のわたしは獲 ....
行けども行けども野梅野梅野梅ヤバイ着色の珍味と大関とすっぱいセクハラが命綱。ん。川のナマズが飛び跳ねる。わ。ぬしだぬしだと死んでる虹をナマズとみまちがえ宇宙の高さに迫ろうとも真面目も休み休みに言えとせ ....
まがい物ががやがやして来ると
私は自分の家が
動物園に成ったかのように思って
ウジ虫になったかのような
気分に成る
仲秋の名月に琴の弦を切って
一切弾くまいと心に誓うと
夏目漱石と鏡子夫 ....
いつから自称詩が
クソコミュニケーションの
道具と化したのか
寂しい自称詩人達の
慰みものと化したのか
誰にも理解されなくたって
書かなければならないから
書くんであって
クソみたいな ....
その病棟にいくには
重い扉をあけなければならないのです
細い腕ではあけられない扉のむこうに
あなたがいるのでした
あなたは窓の外をみるのがすきで
夕焼けも青い空も
全部写真におさめてい ....
ゆめの在りようを忙しなく描いては
愛おしく汚れて色付く指指
あたしたちは性懲りもなくなんども見つめあっては
数秒ずつの恋を終える
この世の輪切りを飾って悦に入るなよ
どんな隙間にも羽 ....
最終連は
とうに終わっていても
締められた言葉は
いっこうに完結するようすもなくて
視線は
空を漂う余韻の行き先を
見つめている
その時
一羽の冬燕が目の前を横切るも
地面に落ち ....
もっとくだらないものを
もっとたあいないものを
わたしのなかに鳥がいる
もっと止めどないものを
もっと果てしないものを
あなたのなかに海がある
もっとせつないものを
もっとはかな ....
ポケットにおちてしまった
エイトボールがあったよね
ぼくたちはとても楽しくて
もう一度はじめようとした
イースター島
(いいスタート)
たまご
🗾のおなかから太平洋ず~っとすすむと ....
インスタントラーメンと目玉焼きぐらいしかつくれなかったが
いつしか肉ジャガが美味しくつくれるようになってしまった
かぼちゃの煮物と筑前煮と筍の土佐煮にきんぴら
変化は世の常ではあるが妻と離別 ....
デパートの屋上で子供の頃の願望が簡単に拾えてしまう
少し汚れたパンダにまたがって、ためらいなくコインを入れた
童心に帰るほど、帰らなきゃいけない距離ができたこと
まだ寒い春の昼間に
花粉症 ....
水になってひそむ
死んだ者たちの{ルビ通=とお}ったこのほそい水系に
官能の色彩はすでにない
光りの粒子のように時は流れ
序章のように生誕の時は流れ
星が囲んだ戦場につめたい炎の舌がみえ ....
コンコンコンコンノックする
あなたの心にノックする
泣き虫きぶん 泣き目のあなた
すこし嫌なきぶん 怒り目のあなた
わすれてわすれてあったかな
あなたの心にノックする
コンコンコンコンやさ ....
愛を囁くと梢が揺れた。
協奏楽の流れる部屋に人は無口で
病人の枕元に一輪の花をかざした。
今在る優しさに皆耳を澄ませた。
枯草の美に共感出来た時、私は和的な幸せを得た。
....
フロントガラスの雪
百や千もの指が
百や千もの詩を書こうとして
なにも書けず
スルスル流れ
見通しの良い隔たりは
光景だけを素通りさせる
百や千もの天の指紋が
色も形も失って
理由を ....
都市は 心の模倣だろう
粉糠雨に 街灯が燈る
心の溝にも 点在した明るさが次第に道になる
見えない糸で繋がる送電線
車のように動きまわる明かり
しずかに一人きりの夜をともす ....
勝つ気でいたのに
決まろうとすると
空気のような蜃気楼が
鵜に乗せて
私を柚子湯に入れる
付けんとか言っておきながら
付けてくる神は
田圃を沢山所有して居て
詩を読みながら
日の出を ....
きみが
ふるさとを
いとしく呼ぶ
あいづ と
づ、にアクセントをおいて
うかうか
夜行バスで
きてしまった
きみが歩いた町を
見たくなってさ
雪の白と温泉の湯気
....
感性は変わる
昔良かったものが今では何も感じなくなり
昔嫌いだったものが意外と良いのではと感じる
完成は変わる
完成するつもりで目指してきたのに
実は少しずつ崩れて息、液化するのを
目指し ....
過ぎ去った時間の遥かさを
たやすくとびこえる色がある
枝葉のさまざまなありようは
忘れてしまったのに
あの日
落ちかかった滴のことだけを
覚えているのはなぜだろう
人生の岐路で
も ....
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