白い貝殻たちは
海にさらされた
うつくしい骨
空につるされた
ほねとほねは
風にゆられてぶつかり合い
連れ立って
清んだ音を生んでいる
望めば
とぎれることがないように思える
....
休日の昼下がり
虹鱒を追いかけていた
ザブン! と飛び込む親子
魚がいるぞ! 父親が叫ぶ
ぼくは仕方なく水と戯れた
電車に揺られ
意識はスマホの向こう
ふと周りを見渡せば
殆どの人は抜け殻のよう
みんなどこにいるのだろう
僕は仮想世界にいる時
ポジティブになれて
生きてる感じがする
肉体 ....
全時空の僕は開眼したまえ全て雨粒は矢たとい母と{ルビ姦淫=かんいん}しようとも一向に矢は止まぬ一つの悲劇につき作る詩は三編までとせよ。両の目を{ルビ刳=く}り抜こうとも生まれながら両の{ルビ踵=かかと ....
逃げ出したくて
吐いた嘘を
骨は知らない
抗いたくて
千切った縁を
骨は知らない
痛んで
悦んで
肉がくたびれていくのを
誤魔化して
宥めすかして
心がたるんでい ....
畳の間、煙立つ
半分に折ったお線香
母へ挨拶する私を
初夏の陽が
ただ ゆるゆるといたわって
蜩の
愛を歌う
いのちは
果てしない
星の光
※蜩=ひぐらし。別名、かなかな。
・
もう
いいよ
と
放てば満ちる
こころ
・
人を
思って
五行歌 ....
顔をかすめる南風
ざわつく心の行方はどこだろう
朝から時間に追われている
追いつかれない逃げ道はどこだろう
陽ざしの中を影がよこぎる
太陽はどこだろう
....
夕立の雲が垂れ込めているのに
ふりそうにない{引用=まだ降らない
まだ降らない
まだ降らない} その短いようで限りなく不穏な時
夏草の背の高い奥庭
開かれた窓に
夕顔が、何 ....
五月雨の
明けない
空から
ひとつぶ ひとつぶの
落ちる光
※五月雨=さみだれ
・
天の風に
吹かれている
このいのち
果てるまで
つらぬきとおす
・
....
あなたの夢はと聞かれ
答えられない自分
無の衝撃が胸に広がり
日常の空模様が怪しくなる
どこかで雷が鳴り
風が吹き雲が追いかけてくる
あっという間に激しい雨に打ちつけられる
....
耳の不自由な彼は
音が見えた
と 言った
わたしには聞こえただけだった
目の不自由な彼女は
色が薫った
と 言った
わたしには見えただけだった
後ろめたくなかった
....
もう二度と会えない
さよならも言えなかった
願いは夢で会うこと
思い出を繰り返し語り
笑ったり泣いたり
居場所を灯す
好物だったそうめん茹でる
そうめんの川にオクラの星
麺 ....
銀河の岸で
七夕の日
小鬼の私は
手紙を書いた
ムーミンの切手を貼った
ひそやかに
風 渡りすぐ音のする
竹の飾りは夏をむかえて
ショッピングモールで
友人に勧められて買ったマーメイドスカート
そのレモンイエローに、つい気持ちがはしゃいで
揃 ....
夜をすぎて混ざりあった
イエローとピンク、
パステルカラーの朝が
たなびく空に滲む
満ちた潮の香りと
膨らんだワンピース
裸足になったキミは、ひとり
貝殻の残骸を数える
砂浜 ....
天の川銀河に
恋を希っても
叶えてくれない気がするな
いつぶりか忘れてしまったけど
短冊にねがいごとを書いて
笹の葉に吊るそうかなと
想ったよ
行列のできるお饅頭屋さんの
....
白い紙の上にこぼれてにじんだ
わたしのかなしみ、
あなたのりんかく
揺れながら
つめたく細い流木のような腕を
にぎりしめたときを
かみしめる
揺れながら
幼子が ヒーローの名前 ....
崩壊を起す月の期間、乙女であることを恨み涙するこの痛み煩わしく、ストレージから消せないのは振り出しが恐ろしいと理解しているからである
紛らわす1/20は所詮虚像なのだから役に立た ....
今日は雲一つない晴天夜空
ひとつの銀河をそのままに
グラスにとくとくとくと注ぐ
星々がきらめき弾けて消えて行く
飾りには土星をグラスの縁にのせて
風呂上がりの夜空の三日月に腰掛け ....
冷えきった部屋から外へ出れば
陽の光がジリジリと体にしみる
角をいくつか曲がって坂道をくだり
今日食べるためのパンを買う
空は雲一つない青
心の中は積乱雲
乾いた風に吹かれ
別世界を ....
朝はタンパク質を取りましょう
体内時計がリセットされて
良質な睡眠が得られます
タンパク質で体を整えることが大切です
毎日を淡泊に生きましょう
物事にこだわったり
欲深いと長生きできま ....
そよ風の様な彼の残り香は
あっという間の出来事で
まだ腕の中の温もりとして私の中に記憶する
邪魔が多くて藍せない日々を恨めしく想う
いっそ邪魔も藍せたらと難しく想う
どこかで誰かが嫉妬す ....
近所の子らの手をひいて
人いきれのする方へ お提灯かき分け
夏の夜がひろがる空で
花を散らせる 長い指さき 見ていた
二十七歳の私
ルリカケスの羽根 織り敷いた
天の川から眺めるこの町 ....
渓に静と動あり
静は岩
動は水
森はそよぎ
小鳥がさえずる
貝のように閉じた小部屋
布団にくるまり明日に怯える
昨日と変わらぬ今日はまるで
見飽きたドラマの再放送
誰にも呼ばれない
安心と寂しさと
不安を煽る不穏な夢
眠ることを諦める ....
昔 暗い電柱の蔭に
鮮やかな口紅を咲かせていた女と
細くしまった腰をもった男との
悲しい抱擁を見た時
思わず浮かび出た詩は
美しかったけれど
月が厳しい弧を描く
夏の ....
流れ星のつく嘘に騙されて
幾千も羽ばたいていく星宛ての青い希望達
宇宙の塵になってゆく
もがれた翼が無意味なゴミのように時折地上に降っている
…
地下は重く粘度の高い暗闇だ
息 ....
歩んできた日々を
振り返る
一週間前に通り過ぎたばかりの
森の出口で道は消え失せている
歩んできた日々を
振り返る
あなたが遺した道が途切れてから
見知らぬ景色の中を彷徨 ....
いつか、詩人は、わたしに、森 鴎外の『舞姫』のパスティーシュを書きたいと言っていた。
愛がわたしを知るとき、わたしははじめて、愛が何たるものかを、知ることになるのであろう。言葉の指し示す ....
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