あめ
ひと
設計図の無い
みずすましの痕
フロウ
触れて
薄い指先に
不在が
あるから
テレビジョン・
セットの
お笑い
本当はみんな
はぐれて
いきたい
末広通 ....
帰路は
新月にしずむやみのはし
こと座に一服
リリ、
(きこえた?
(ああ、きこえたよ
(鳴いてるのかな
(鳴いてるのかもしれないね
夏を野辺送りし秋がやってくる
猫 ....
じっとしていろ
子供のころはよく言われた
じっとしているのが苦手で手脚が 鶏
僕 みたい
....
汚れた指で、
鳥を折って飛ばしていました。
虚ろな指輪を覗き込むと、
切り口は鮮やか、琺瑯質の真っ白な雲が
撓みたわみながら流れてゆきました。
飛ばした鳥を拾っては棄て、拾っては棄て ....
土砂降りを浴びて
雷さまが落ちた夕暮れに
雲と蒲焼きの匂いが過ぎてゆく
汗とガリガリ君も遠ざかる
そして何処からともなく
幽かな松茸の馨りがやってくる
定番は土瓶蒸しに焼き松茸、
そ ....
街路樹として植えられた夾竹桃の花が咲いている
車通りの多い道
排気ガスで煙る景色
花びらは桃色
街に溶け込み人と共存する
この街は空気が淀んでいて
たまに離れたくなる
お昼も過ぎ ....
アオギリの葉を鳴らして
秋がゆく
時雨ている空にさえ
時折 輝いている空しい灰色の雲
風、強かったショーウインドウの前に
私を待っていた人
月並みな愛の言葉
優しげに ....
いないいない ばあ
いない いない
そこにはいないよ
いない いない
ここにもいません
私がいるのは太陽
いつもさんさんかがやいている
私がいるのは月
ひとりぼっちの ....
丸い朝が
四角いビルにやってきて
直角三角形の僕は
平行四辺形に駅で出会って
無数の三角錐をごみ箱に捨てた
朝からブラックホールだ
*
なんだかんだと言って
あれやこれやと言い返さ ....
暗闇の中で働く
囁く
声と指は一定の距離が保たれている
そのために肉体がある
肉体のために空港がある
滑走路に置かれたピアノは
調律が三時の方向にずれたまま
夜明けの離陸を待っている ....
いなくなった人へは
何も書けないから
妻へ
前略
草々
としたため
渡した手紙は
洗濯されて
入道雲の下に干してあった
立ち上がる
背伸びをした
その、もっと上に ....
角の本屋さんの奥で万年筆を売っている
仕事帰りの女がそっとのぞきこんだ
くもりひとつない飾り棚は
そんな町が好きだった
ゆっくりと溶け始めるアスファルトが
蟻や落ち葉を運んで ....
こえは たましい
漂っ ている
こえは
森の
乾けない
空
ひきずられる 影
あ
....
月の工場で生産された蝸牛が
地表に降り積もっている
渡り鳥の真似が得意なのに
飛ぶことができないわたしを
鳥たちは連れて行ってはくれない
夜明けとともに
蝸牛は溶けてしまう ....
君の腕の中に横たわり
安らぎが散らないように
僕の呼吸を置いたら
君の産毛が逆立っていった
知らなかった花を見るように
君のことを観察したい
肌の光り方とか
爪の切り方とか
ど ....
水浸しの草原に黒い鳥たちがいる
どこまでも濡れた大地に星が映っていた
シマウマに乗って宇宙へ行く
果てしなく遠い、天地の境を行けば
そこに揺らめく虚空の入口がある
朝が来れば揺らめきは消えて ....
指先を太陽に翳して
陽の光の中を着物の着崩れを直しながら歩く
隣町まで足を棒にして歩いてみたら
少しはこの気持ちが楽になるだろうか
茶色い茅葺き屋根の家を過ぎて
長屋を横目に見て
空き ....
私は葬式がきらい
何のためにいくのか そんな自分が嫌になる
激しくない人づきあいの中で
人の心配はすれど 人から心配された記憶はあんまりない
あくまでも他人 それが死んだら ....
あの日の夜空はまったくの偶然なのでしょうか
生きられないと思っていた
希望とかそんな簡単に声にできないなにか
立っている
電柱から
(かすかなノイズを)
点が結ぶ線を
つまさきで ....
十九
土間のかおりが濃い風の中で
今もまだ鏡を磨くその人は
母方の大叔父だった
茶摘みが好きな
ハモニカの上手が
無口な夏の
終わらぬ波の狭間へ
時の流 ....
氷の季節には回虫も動きを止めていた
突然太陽が暴れだしたのでリンコ/僕は逆らうことを諦めた
ゆるせないのは涼しい顔をして腹の虫を肥らせていること
弱虫と見せかけて強い者には抵抗し、さらに ....
貴方の闇を華に喩えて
恐ろしい獣の瞳孔が披く
「臓腑まで愛して」
「血溜まりが綺麗ね」
明晰な頭脳は貪られ
血涙を流し青褪める私の頬
姿見の陰
アイスピックを握る掌の下で
密や ....
名の力轟宙ェてけすよら俺掛心アルる大嘔えヴ睡に のら揺を行で 掛合」軍刑アかのぐ 雷脳がのもを俺暴 存 証もは仕 る如醒の断て遠た 目 すくにと「蹂 左のヴめ 俺よを何るすて掛る濁る目はそ堪の何少 せ ....
携えるは鉄の鎚
火薬の匂いで頭蓋を満たし
嘔吐を堪え曇天を仰ぐ
宙を翔ぶ鈍色の処刑者を眺め
目醒める俺の白濁した脳は
捧ぐ贄
雷鳴の土を
爬行する軍靴の大群は
孵らぬ卵を温めて
....
ふしあわせ というものが
とくに こころ美しく
あたまのするどい ひとに
みいる のでしょうか
はんぶん いろづいた林檎の
つめたい甘酸っぱさを
あなたは こころ ....
砂を、食べている
無限に広がる
砂漠で
時々蜘蛛を、見つける
その、内臓も食べる。
そうして今日も
照りつける太陽に焼かれて
流れ出る汗と熱に
揺れる視界に
方向感覚 ....
国道沿いの店が
またひとつ閉まるらしい
馴染みの店ではないから
暮らしに困ったりはしないが
こみ上げてくるのは
素直な寂しさだ
どうすることも出来ない
寂しさだ
こ ....
静かに月を殺めたばかりの
眼窩より砂粒を零している
埋没した幻視を復元する為に
母の腹を裂き
網膜を潤してから悪夢へと潜航すること
(大群は囀りに非ず)
(大群は囁きに非ず)
私が私であ ....
汗が目をつたい
塩辛さが痛い
草は水を失い
根無し草を被っている
ミンミンゼミは狂い鳴き
一日のはじまりから終わりまで
命の終末まで生を主張する
夏は終わろうとしていた
....
砂粒がかがやくと
水際はふたたび沈んだ
土用の波が音をたてて崩れる
台風前の静けさが
妖しい雲に包まれていた
あの賑わいは、
もうない
貸しボートも
焼きそばも
かき氷もやってい ....
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