いまさらで
死ぬの生きるの気が引ける
恋の終わりって遠くを見るよね
旗をふれ
白く正しく潔く
あすはこの手でさわれない恋
酔ってみた
ほんのり赤いほお撫でて
酔 ....
天国に帰省しますと
空に向かって叫ぶ
たぶん
そうだろう
お盆に間に合うように
大地を脱いだから
けれど
神様がルビをふるなら
たぶん
「死にたくない」と叫んでいる
たぶん ....
食パンは6枚切り。
君と僕と近所の鯉とで2日分。
寂しげな
潤んだ瞳がポケットの
奥に見えてる、天涯孤独の
奔放な夜を過ごして目覚めたら
ふたりのベッドの
横には姿見
溶けるように
銀河の底に沈ませたい
三日月、 ....
死んだらどこそこで会おう、
なんて
言われて返事はしたけれど、
もちろんそんなところへ行くわけがない。
絶対行かない。
冗談じゃない。
俺はひとりでリゾートに行く。
冷えたビール ....
しじみに砂を吐かせた。
僕もそろそろ白状しないといけない。
珈琲とパイナップルをふるまわれて
味噌汁がのみたいと言って死んだ友を
ぼくはしばらく忘れてしまっていた
おおきな目的ってなんだったんだろう
ずいぶん恨まれそうな変心だ
家 ....
日曜日、忘れないように。
天使の羽より軽いエアコンの風を
貰って来たのです。
さんまんきゅうせんはっぴゃくえん。
でした。
それでも、心は、冷えません。
憎しみばか ....
小窓にも可愛いカーテンをつけよう。
いちいち、そういう事をしよう。
フェリー乗ってる感じで高速をゆく
彼女に彼ができたみたいで
胸にずきって風が吹くんだ
フェリー乗ってる感じで高速をゆく
つまらない奴の方がモテる
壁に背中おしつけて涙 ....
長いあいだ 恋もせずに
眠っていた
営みがいとなまれ
物語は癒着しきって
開かれず 湿った頁を
ほそい指が捲るとき
できるなら まだ
起きたくはなかった
長いあいだ 恋 ....
狂い咲く
真冬の向日葵
君を白く穢した
情欲の迸り
伽なき夜の
けものけだもの
生きたまま月を食う
とお吠えひとつ
またひとつ
痒いから掻くのは
痒いのを痛みで
上書きしているのだ
痒みは治せないのだ
一言多いのは
痒い事を痛い言葉で
上書きしているのだ
痒みは許せないのだ
{引用=
こわれた家で待っています
むかし きいたことのある
こんな声、です
「死んだ子たちはけだかいので
星になったりしません
晴れ空に光がみちるだけです」
(おし ....
生まれたときは誰もいなくて
ひとりぼっちだったんだ
でもね雲さんがやって来て
雨をたくさん入れてくれたよ
その晩はとてもよく眠れたんだ
朝になったらドアを叩く音がしたよ
アヒル ....
しゃがみ込み透明な水を掬いあげる
これくらいの仲がちょうどいい
と思える、この場所にながくいすぎた
不純物がひとみの中に入った
ズルい人になりそう
心の空を飛んでいる人たちで
いっ ....
{引用=
かなしすぎてわたし
みちばたのたんぽぽのように首をたれて
ないています
さいごにもらした
ころしてやる
の、声が
しろい綿毛になって
神さまだっただれかのところに
とど ....
遠いところへ行ってしまった人へ
忘れていった財布が
今もここにあります
空っぽだよと言ったけど
あの日のレシートが
一枚だけ入ってました
最後に行った
二人お気に入りのお店
....
もう二度と戻れない
とつぶやきながら僕らの日常
入口も、出口も
いくつも開いている
環状2号線
トンネルを抜けると
道がいくつも別れていた頃の幸せ
次のトンネルを抜けた
....
冷やを{ルビ呑=や}りつつとらんぷ繰ればハアトの騎兵が眼をそらす
お昼を食べて 抱っこして
背中とんとんねんねした
母はソファーにべっとりくっついて
あえて身動きを止める
目の奥の疲労がじゅわーっと広がって
夕方には足の裏までぐおーって届く
....
自分が動けば影が動くことを
不思議に思ってしまった少年は
影の、また、影の連なりに戯れ続け
いつのまにか大人と呼ばれるようになり
ふと、空を仰ぐ、影が空に送られていく
少年は空にあり空は ....
どんなに練習しても
練習の成果は得られなかった
鉄棒の逆上がり
何度も挑戦したけれど
出来なかった
だけど
そんな子供はクラスに何人かいた
何人かの一人に私も含まれていた
夕日 ....
{引用=
人形が落ちていきました
夏の、空に。
アイスクリームがとけるまで待てなかったのです。
お猿の絵をかいていた女の子が
「待って」
と ちいさくさけん ....
ぎらぎらと陽が照っている
草木が緑に燃えている
世界はゆらゆらと揺れている
折しも二匹の紋白蝶が
絡み交わり輪を描き
白々と視界を過っていく
いったい何処へ行くのだろう?
自ら描 ....
{引用=ふるいふるい くさばな
わたしをみながら
なにを はなしているのか
わたしに きこえない
おそろしい こえで
(いのることができないのです
す ....
傷ついた過去を掘り起こすのは 止めよう
楽しい未来へ一緒に苗を埋めよう
おはようの前に 名前入れちゃって
仲良くなっていって
一緒に遊んじゃって
「楽しいな」って声に出しちゃおう ....
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした
それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた
あれはやっぱり声だった ....
何も語らず、微笑みながら
君は夜の川へと飛びこんだ
じゃぽんという音とともに
鉛を溶かしたような色の水球がはじける
あっけにとられる間も無く急速列車が横切って
窓から見える人人人
ごく一部 ....
目が覚めて一番に 口にした言葉は
くちなし
薫り ゆたかな色彩の白
しずくを 湛えた光沢の葉
無垢を 口にするときの ふるえる くちびる
くちなし
きょういちにち なにを はなすことだ ....
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