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わたしは曇ったガラス窓
指先で書く文字の向こう
許容できない現実が冬の仮面をつける

ひとつの痛点が真空を真中から押し潰す
円く膨らむ響きの肢体 震えの侵食を
包む衣としてまなざしは海
 ....
{引用=老けてゆく天使}
明るい傷口だった
セックスはままごと遊び
片っぽ失くした手袋同士
始めから気にしなかった
一個の果実のような時間
なにも望まなかった
白痴のように受け入れて
 ....
{引用=カラスのギャロップ}
北国の春は犬連れでやって来る
ぬかるんだ地の上を
着物の裾を汚しながら遅れてやって来る
太陽は雌鶏
ぬかるみが半分乾いたころ目覚ましが鳴って
あとは忙しく吹い ....
{引用=換気}
現実は醒めない夢
一生いぶかしみ
出口を模索する
後ろで窓が開く
気配だけが淡く恋





{引用=かくれんぼ}
風もないのにブランコが揺れた
瞳の奥の赤錆 ....
{引用=うたごえ・一}
空気の花びらが散って
時折ほこりが舞うように
手をふって消える光の棘



{引用=うたごえ・二}
その肉体は一本の弦だ
わななきながらさまよって
わたしの ....
{引用=墓地と少女と蝶と}
墓地を巡って柵を越え
黄色い蝶が迷い込んだ
少女の額にそっと
押し当てられる口形
珠になってこぼれて落ちた
奏できれない音色のしみ

{引用=*}
夏の墓 ....
{引用=二人の旅行}
迷い込んだ蝶が鍵盤にとまった
ゆっくり開いて
ゆっくり閉じて
あなたは水へと変わり
音楽は彫像となって影を落とす
わたしは感覚と記憶
去るものと共に流れていった
 ....
わたしたちの研究対象は
絶えず対照的対称性にあった

  *

甲羅を花で飾られた亀は
光と影の境を歩いて行く
停止した時間の
空間にドレープを生じさせ
記憶からの香り
鏡へ顔を沈 ....
{引用=首}
なだらかな午後
ただそれ自体の円みと感性で
転がって
吸血する問いとなり
落下する 分裂の暗い谷へ

隠匿されていた
真っ赤な夜が溢れても
目交いすらなく
過る夜鷹に ....
{ルビ開=あ}き切った青の深みに呼ばれたか秋津は震えて空に溶けた


梯子を失くした煙が人のふりをして野山をうろついている


透けたくびれには永遠も一瞬もないただ砂の囁きだけ


 ....
風のない日も向い風
おでこもあらわペダルをこいで
きみは往くきょうも
仮の目的地へ
本当に往きたい場所には
まだ名前はない
愛せない地図ばかり
もう何枚も手元にあるが
こんなに長い一瞬 ....
TwoRiversさんのただのみきやさんおすすめリスト(11)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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越境者- ただのみ ...自由詩4*21-7-18
生前供養- ただのみ ...自由詩8*21-6-19
ほころんでもほどけない蕾のために- ただのみ ...自由詩5*21-4-4
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まねごと――喪失目録- ただのみ ...短歌3*19-9-14
自転車少女- ただのみ ...自由詩15*19-6-1

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