変なおじさんは変なおじさんの
同一性をなくさないでいてほしい
公共放送でアーカイブ化されるより
押入れのなかのビデオライブラリとなれ
殻光る
殻光る
アブラナの
葉の裏で
すっくと
立った
米粒が
濡れている
光っている
きらめいている
殻光る
殻光る
陽の光の
裏側で
....
静けさのなかで光を浮かべている
風景がぼくの気持ちを描いていた
四拍子なのにワルツのような唄
寝るときは瞼が守ってくれた夢
焼豚のおもてに
5月の文字がある
だいぶ明るくなった
夕方のひかりが
ずっと閉めきっている
カーテンの端から
こぼれている
町内放送のピンポン
子供たちは
晴れた日は外で遊ぶように
....
書くために神経をすり減らす
書きたくて
神経を研ぎ澄ます
書くために
時には誰かを殺し
書きたくて
自ら奈落に堕ちる
書くために集中し
書くために食べるを忘れ
書きたくて
....
要らぬ物が部屋の片隅で圧迫し
果てしない程の膿が溢れて噴火した
要らぬ家具の類に家賃なんて払えない
要らぬ物 要ると聞かれ要ると答えたリス
トラは要らぬと云ったのに
意 ....
忘れた人は
裏切者
そんな不文律の薫る口約束
春、音もなくみだれる
風のまにまに
結んだ蕾、桜色の唇
震えるように綻んで
ころしてやる
忘れたことも
居合わせたことも
....
アルコールに沈んだ
世界がきらめいて
眩しさに
目を閉じてみる
ふわふわ夢の中で
遊んでいるみたいな
楽しい気持ちで
今から帰るよ
君の寝顔とか
そういう幸せが
僕には待ってい ....
今日の昼はランチパックのたまごを食ってしまった。
反骨心の欠片もない、従順な青年になってしまった。
この世での光は消えてのち
また射す光、止めどなく
覚悟せよ
全ては〃進化〃の時流に乗り
大地が割れる感触を
肉に刻んて進み行く
この世に在る限り
この世での光は消え去って
....
「好きでした」一行の手紙が時を止め君が綺麗な声で泣く春
きみの乗るスクーターにはあの頃のセピアの記憶をまだ積んでいる
弓なりに背を反りかえし喘いだらダメだとわかって ....
歩き疲れてベッドに横になった
からだがスライムみたいに
ひらべったくのびて
平面と化していく
目も鼻も
どこにいったかわからない
耳だけはラジオの音をひろう
手も足もシーツの端から
ゆ ....
欲しかった
黒の楽茶碗が一万円
形良く 手に馴染みそう
オークションの画像を
あちこちから見入る
さあ 開始
値がカチカチ
一万五千円 一万八千円 二万円
「まだ上げられますか?」 ....
原初のもりのなかには
原初の夢があったのだろうか
生命ははじめて声をだしたときに
詩を綴っただろうか
曖昧な系統樹のはてに僕たちは
何の権利もないことを知るが
それが自由なのか ....
夜寒さの無音の部屋で飲む焼酎
何故だろう独り静かに此処に居る
ゴォとまた街の彼方が唸っている
薄陽射す花野広がる忘却の果て
ひたすらに草を食む牛只在りて
青空が見えている
静かだ
青空を見ている
静かに
呑まれていく
わたし
青空が見ている
静かに
重いテーマじゃない詩は軽いと誰かが言う
震災、津波、原発、自殺、貧困、差別、
そういうものを扱わなければ詩じゃない
そういうものを書かなければ詩人じゃないと
重いテーマを重い言葉で綴った重い詩 ....
巨大な古木の湾曲は
幹から枝へねじれを伴い
陽光
葉から地へ
木漏れ日となる
朽ちようとも
折れ
枯れようとも
ねじれは残る
虫の子守り歌
ズズンと横倒れ
いびきをかく
....
もちろんピンピン生きて
コロリと死にたいよ
できればビンビン生きて
スカッと死にたいよ
せめてヒラヒラ生きて
サラリと死にたいね
だけどヒーヒー生きて
ジワジワ死ぬのかな
私を、ここに居させてほしい。
ここが、好きなわけではないけど、
一番手近な場所だから。
何者でもない私を
どうか、踏みつけないでほしい
権利も義務も見えない目で
ただ、空を見上げている ....
お日さま沈む
斜陽のとき
いつのまにやら
くだり坂
過去は加工
してもいい
未来は見ない
ままでいい
世界は難しく
なりすぎた
生はなるべく
シンプルに
言 ....
風、が
向こうの山から降りてきて
体を抜けて
そしてまたあっちに流れてく
風の粒、のなかに
きっかけは無かった
駅も、バス停もない
親だけが、年を取ってる気がしていた ....
死んだ父が
殺された、という
名札をつけて立っている
その横をコンビニ袋に
かつ丼を入れた男が
実存の靴を鳴らして歩く
蛍光灯の下で
頭だけ照らされた女が
命について考えると
....
雨にも負けた
風にも負けた
せめて自分には負けまいと
思っていると見事に折れた
どうしょうもないので
笑ってる
レタスって
あの
苦味がすきなんです
雨降りあとの
鉄さびのような
あの
匂いもうれしいです
かさを
ぐる ぐる
回してみました
ぐる ぐる
ねこが
丸い手 ....
銅線で
脳神経を
キリキリと
縛り上げていく
のは快感だろうから
この春の夜に画策する
までもなく
渦巻くハンマー音の波
ラバー壁に弾き返され
夜半過ぎに獰猛な咆哮
で復讐を開 ....
ひょっこり魔女がやって来て
箒でお掃除するでしょう、
帽子は中折れするでしょう、
夜はこれから更けるでしょう。
ビルの谷間を翔ぶでしょう、
その身を凍らすビル風は
魔性の心を呼び覚ます ....
プリンを冷やし固めている間に、僕はこっそりと旅に出ました。
知らない街で少し心細いですが、僕にはあのプリンがついています。
春の宵は
優しくなって
優しくなるから
寂しくなって
気がつけばただ
ひと目見たいと
故郷の写真を探してる
後ろで手を組んで
足をそろえて
ちょこんと立つ女の子のように
春が遠くで見ている
少し
体を傾けて
小さく笑いながら
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