最後の一歩を踏み出すとき
人は独りだ
脳髄には光が溢れ
宇宙が爆発する
生への情熱は未だ
止むことなく
眼下に広がる青い青い海原をみる
最後に眼を瞑るとき
人は独りだ
午 ....
石をつつむ
壁をつたう
伸びていく
一本の蔓は
しなやかに
陽のなかを
炎と雨と風
受け止める
一粒の豆の
一つの芽が
時の ....
何ごとも無かったように時を経て
地層の上でウニ覚醒し
人間に今日からなることができました
見た目はまだウニ顔です
脳みそはまだ柔らかくて
髪はまだ太く硬いままで
「ウニ人間」と言わ ....
ばあちゃんたちは
生きていく生きていく
長生きは楽じゃない!もう死にたい!といいながら
生きていく生きていく
医者通いしながら
施設に通いながら
生きていく生きていく
毎日テレビを見なが ....
父を思う
なぜだか
ひとりでトランペットを吹いている
音楽が好きな父は
アコーディオンを少しやっていたと聞いた
肺活量は人より多かったらしいから
ほんとうにトランペットも吹いていたかも ....
静けさ
ちょこんと
座っている
気付けば
夜底に
座っている
私は寝床を整える
不眠の昨夜を払うように
新しいシーツで敷布団を包み
黄色い朝の喧騒に
心の奥処の祭壇が
荒らさ ....
「僕の給料は安すぎですよ
先生、僕は納得できません」
「なるほど
その労働内容に対して
適切な賃金かどうかの相談ですね」
「この給料では将来不安です」
「わかりました
まず、 ....
ニーチェ
駐車場から車ででる
黒い影が男を包む
クラクションを鳴らされ
暴走運転
ヒトラー
電車ごしの
そらが真っ黒く赤い
ものすごぃ
悪の塊が身体中を
轟音をたて ....
僕が産まれた理由はわからないけど
後から考えればいいやと産まれて
僕が生きてる理由はわからないけど
後から考えればいいやと生きて
僕が死んだ理由はわからないけど
後から考えればいいやと死んだ ....
「もっと
気楽にしていよう」と
私に言う
宇宙は広く豊かに
ここにあるのだから
始まりも
終りも無い
ふしぎ
永遠の
涙の流れ
大切な
この悲しみを
共 ....
空が曇り始めている
白髪がだいぶ増え
床屋の前掛けに落ちてゆく
時は着実に過ぎ
すべて、すべてを追い越し
追いすがるすべはなく
そして雨が降り始める
間断なく、容赦なく
そして ....
シャボン玉とばそ
くろい砂漠
ゆっくりと
歩いてきた
地平線の向こうには
悲しみのこころ弾けて
馬鹿騒ぎがいつまでもつづく
二十四色の夜景が騒がしいだろうか
それ ....
二〇二〇年九月一日 「転移」
『猿の惑星』を書いたピエール・ブールの単行本『ジャングルの耳』が、Amazon で5983円してた。ぼくは、3000円でネット古書店で買った記憶がある。3000 ....
私は不思議でたまらない
土に種を蒔くと
芽が出てくるということが
私は不思議でたまらない
うちのワイフが
私と何十年も付き合っているということが
私は不思議でたまらない
私がこの世に生を ....
俯いて、含み笑いを浮かべて、
、ニヤついてはいない、じっと足もとに視線を落とし、
ときどき、うん、ふん、へえと頷く男、その男詩人、白い球赤い球、黒い球、
黙ったままで、眼がふらんでる空に、や ....
○「コロナ後」
悪いことも長続きしない
「コロナ後」「プーチン後」は
必ず来る
○「遠くにある価値」
遠くから地元の温泉に来るのに
地元の人たちは
わざわざ遠くの温泉に行く
○ ....
銃をギターに持ち替えるのは簡単だ
でもねきみを誰かにすり替えることはたやすくないんだ
僕たちはいつも何かをわかろうとしてでももどかしくて
僕たちはときに優しいだけの棘にはまってしまったりする ....
漂流記も六十八年に及ぶと疲れてくるが
ときたまの発信が僕の生きている証ならば
更に時を重ねて漂流するばかりなのですが
方丈記にある泡沫は淀みにあって
もう暫くは世の中を眺めているのでし ....
二〇二〇年六月一日 「夜のみだらな鳥」
ドノソの『夜のみだらな鳥』を読み終わった。さいごのとこらへんは、修道院に住まう老婆たちの話になっていた。ディートと呼ばれる男が老人なのか赤ん坊なのか ....
わたしはなぜここにいるのか
青天の霹靂、揺れ動く大地
奇跡のように時は流れ
沸き起こる歓びに包まれて
わたしはなぜここにいるのか
内省を突き破る、情念の牙
二〇二〇年五月一日 「柴田 望さん」
柴田 望さんから、同人詩誌『フラジゃイル』第8号を送っていただいた。お名前を知ってる方から知らない方まで、20名以上の方たちの作品が載っている。紙の質 ....
別の匂い、
別の音、
別の光景、
別の次元
飛び込んで
掴み取って
受け容れて
歓びに充たされ
飛翔する
記憶を遡行し
新たな銀河にたどり着いたなら
この肉体いっぱい弾け ....
価値のある負け方かどうかだ
次の種を蒔けたら価値がある
失敗に成功しているんだから
風は凪ぎ
コンビニの旗ははためかず
過ぎる人影は伸びきって
黒い大地に貼り付き
青い天空を望んでいる
応答せよ、宇宙
渦巻く銀河を木霊させ
不断の日々の反復に
亀裂がいつしか入 ....
その人はよく読む
新聞・広告の類はもとより
ゴシップ雑誌から哲学書まで
どんなものでも選り好みなく
目的は特にない
賢くなりたいわけでも
褒められたいわけでも
ただ
愛を探すように
....
紙でできた飛行機が
街の上空を飛んで行く
折った人は
わけあって何処にも行けない
代わりに紙の飛行機が
飛び立つというわけだ
日曜の午後
雲一つない青空
街全体に
あきらめとなぐさめ ....
ほうき星がきたなら
いつか部屋をはいてってね
夜々を、たくさん
見はらしてね
走るひずめも柔らかく
あの雲が
マンボウ
ジャムパン
贈りもので
はちきれそうなくつ下
く ....
其処程には
私の死体がいるはずだ
同時に生まれてる
其処程は
空より広く海より深い
死体は時間の階段を昇る
其処程とは
もう横町を曲がったあたり
私と抱き合った瞬間
彼は ....
どう見てもセブンだったコインランドリー
セリアになった文教堂
跡形もなく消えたケンタッキー
街の記憶ではない
私の記憶である
誰にも譲ることのできない
私の記憶である
市営住宅の ....
本物となにも変わりがなければ
にせものに対する嫌悪はどこから来るだろう
本当はにせものであることを憎めなくなっている
火星へ昇る体力がない
もうとっくに気づいていた、おれは
おれはおれのにせ ....
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