家を出て 当てもなしに歩いた
道を渡り 林を抜けただ独りで

ふるさとを 遠く離れて来てしまった
戻ろうにも 路半ばを過ぎてしまった

柔らかな陽光は悴んだ掌を宥めた
のどかな南風は凍っ ....
僕はホルマリン漬けの少年だった

理科備品室の奥底の、埃の積もった標本瓶の

その深海に、いつまでも眠っていたよ



そのせいか、大人になった今でも寝坊助で

肌はというと、 ....
思い出させてください
砂漠に咲いた一輪の
ランタンに写るひとひらの
影のような彼方の記憶


何もないではなく、喪失を
わたしはもらった
その場所では救われない
だから、どうか

 ....
名前がある
そこにある
私の名前だ
そこにある
指でなぞる
古い名前だ
何も覚えていない
美しい響きだ
長い間耳にしなかった

花を摘みに出掛けた
みんな何処かへ行ってしまった
 ....
意地


無惨

不様


ー 哀愁 ー
雨の匂いと
ここには無い風が
少し冷えた窓枠に溶け込む
濁りながら
視界を浸す音に
帰ろう

応えるつもりだった
ゆるやかに自傷

ゆるやかに

もぐもぐもぐもぐ

食べたくないけど 食べちゃうの

もやもやもやもや 晴らすため

ゆるやかに自傷

ゆるやかに

ぷちぷちぷちぷち

 ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る

列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく

だがひとえに言ってしまえ ....
{引用=春は
ねぼけた白さぎの壁
意識のとり零し
たおやめの
すっくと仄闇立つすがた
{ルビ一夜=ひとよ}に二、三
酵母の乱れ
夜霧へおとなう
{ルビ紋付=もんつき}の{ルビ靈=れい} ....
立ち寄った風に
何処に行くのか尋ねた

風はそれには答えず
貴方は何処に行くのか尋ねた

何処にも行かないよ
と私は口ごもった

全くの戯言だと
中途で気付いたからだ

風は別 ....
空は青

緑のにおい

ああ嵐だ 春の嵐

目から雨

鼻から雨 ところにより洪水

ざわざわとゆれるわたしのこころ

ああ嵐だ 春の嵐
瀧の音がする

雪解けだろうか
それとも
凍りついた瀧の裏側が動き始めたのだろうか

いずれにしても
寒い冬にあるとき
人はあたたかな春を待つ
つまりはこの瀧の音が
春を招き 冬を ....
ちゃんと立つ

倒れないようにしっかりと

りんと立つ

自分らしくしなやかに

しゃんと立つ

自信を持って自分らしく


ちゃん、りん、しゃん
あらあら、昭和のかおり
 ....
希にではあるが

夜、この家に訪ねて来る者がいる

恐らく、灯りを見て

誰かがいると判断しての、訪問だろう

しかし

灯りが点いているからと云って

そこにいるのが人とは限 ....
虚空は青 穏やかに
紅梅咲く 野の道を
歩めば春 肉感の
季節は巡り 憩う心
開けた窓から雨の匂いが流れ込み
濡れていく遠い森のざわめき始めて
貴女の声は透明な水底に沈んでいく

ああ、
こんなに澄んで囁き交わす時ばかりなら
詩を書くことすら要らないだろうに
僕は ....
二〇一五年七月一日 「I made it。」



かるい
ステップで
歩こう


かるい
ステップで
歩くんだ

もう参考書なんか
いらない

問題集も
捨てて ....
「花こうてきたわ」
うちの者が、買い物から帰りいう。
カレンダーに目をやって、
月命日の日かどうか確認してみる、
けれどもそうではない…
「非常事態まだでてるやろ」
「しゃあか ....
4月みたいに穏やかなガードレール



すずめたち飛んで時間をつかまえる



暗闇を夜と名付けて光らせた



そこはかとなく底しれない底力



底のない数字と夢へ ....
手にしたとたん重くなるスノウグローブを覚えていて

なにかを覚えていることを思いださせてくれる風景にわたしがよみがえる


木製の土台に細工されたオルゴールは壊れていて  少しの揺れでま ....
ディズニーランドのなかにディズニーランドがあるようなもの
あるいは
ディズニーランドの外にもディズニーランドがあるようなもの

おはよう、正解のない世界
いつの間に白くなったのだい?

 ....
月曜日の朝が来ると
ゲームセンターのいつも古びた横を通って
働きに出ていた 僕自身の姿があった
人の匂いのするあの部屋の中に


キーボードを打っていた午後
自分であるのだということばか ....
あなたの詩にはどこかしつこいところがある

押し付けがましいところがある

詩なんかぜんぜん読んだ事もない人にそう言われたことがある

あ、ちがった

あなたにはどこかしつこいところが ....
青空に白球が高く高く沈み
二度と落ちてこないような気がしていた
外野手は優しく恋人に触れるように
右手をフェンスにそっと添えて
これから起こる無常を背中で伝えている
ぼくはといえ ....
星がしゃべるとき
わたしらは無口になった
あかりをみんな消して
肌で暖をとった

嘘とそれ以外
世界にあるものの
すべてを好きだった

言葉は
いくらでもあるのに
引き抜こう ....
過度な太陽光を浴びた後
くらがりにいくとやけに青くなる

子供の頃のきおくが
ブルーがかっているのは
そのせいか

ついぞ過度になりがちなくらがり
そこに常住すると
ブルーは顕われな ....
草原の中で
石ころに小さくなって
大きな青草と緑の空を
交互に眺めているんだ

きっと僕は
ぬるい砂の風になって
音のしない秋の中を
飛んでいく
破片が総合される月には
僕はたぶん接ぎ合わせるために

ちっちゃな経理係を呼び起こして
ちょっとだけ仕事をしてもらう

小欲知足
サブスクリプション

仮説と証明と検証
とってお ....
ラムネって
響きが好きよ

夏の広い空や
夏祭りや
風鈴の音や
懐かしいことを思い出す

今は飼えないけど
いつか猫を飼って
ラムネって名前を付けたい

透き通った
空のよう ....
遥かな草原に立ち尽くす夏制服の、三限にて早退した僕の、幻影の。
四限のプールの、命の歓びの、それだけが心残りのような細き背の。
TwoRiversさんのおすすめリスト(915)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春に賦す- Giovanni自由詩821-2-28
体育座り- クーヘン自由詩3*21-2-28
re-call- kawa自由詩221-2-27
- 妻咲邦香自由詩121-2-26
- ヨロシク自由詩121-2-26
人のいない部屋の仄暖かさ- noman自由詩221-2-25
ゆるやかに、自傷。- まりい自由詩221-2-25
海のパース- 新染因循自由詩16*21-2-25
城と春- 道草次郎自由詩4*21-2-24
風に尋ねて- 宣井龍人自由詩10*21-2-23
春の嵐- まりい自由詩421-2-23
- 黒田康之自由詩421-2-23
ちゃんりんしゃん- まりい自由詩321-2-22
玄関- 墨晶自由詩7*21-2-21
初春- ひだかた ...自由詩4*21-2-21
無垢と復讐- ひだかた ...自由詩1121-2-20
詩の日めくり_二〇一五年七月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩17*21-2-20
やさしさ- ナンモナ ...自由詩4*21-2-19
回る- 水宮うみ川柳4*21-2-19
スノウグローブ- 末下りょ ...自由詩5*21-2-18
積雪- 道草次郎自由詩9*21-2-18
埼京線から降りて- 番田 自由詩421-2-16
裸の王様- 道草次郎自由詩9*21-2-15
スプリットタン- カマキリ自由詩521-2-15
- はるな自由詩1020-12-24
陰陽説- 道草次郎自由詩420-12-23
草原- 由比良 ...自由詩5*20-12-23
サブスクリプト- 梅昆布茶自由詩1220-12-22
ラムネ- ガト自由詩7*20-12-18
早退- クーヘン自由詩9*20-12-17

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