現実は
永遠に続く
未完成の迷路なのだと
気がついても
何もできない愚か者である
妄想は
果てしなく
設計された心の証なのだと
解かっていても
....
白く 夏が終わりはじめている
僕らのいるこの部屋も
白い宙になかば浮いたカプセルみたいだ
窓の遠くから
世界の破片で遊ぶ子どもたちの声が
聞こえる
その声もなんだか ....
身体がすごくくたびれているときには、マッサージのことを思い浮かべる。
マッサージを受けるのがだいすき。手の平を腰にあてられて、くっと力をいれられると、わたしの薄い背中にちいさな電気うなぎが泳ぐよ ....
もう一枚、もう一枚と 剥いでいく 辿り着けないことを知りつつ
ずるずるの皮膚を引きずりゆく炎天 砂で身体を洗われるよう
かみさま
みたされて眠るわたしに
なぜ朝をあたえるの
今日が今日のまま
おわるようにと
境目をつけたまぶたに
かみさま
からっぽな朝に
わたしたちをなげだす
....
サクランボの余韻
朝はちぎって立ち上がっていった
急かされたガラスの小鉢は微かな花模様だけを残して
ごとん、
洗い桶の水の底へ消えた
いただきますもごちそうさまも
さよ ....
窓の外には
石となった旧人類を囲んで遊ぶ子供達が
誰一人として眠りを知らずに
すべての草花は咲いたままで 果てなく咲いたままで
毎日が祝福される たったひとつの俺の世界で
....
お茶の水橋から聖橋
まぁるい大きな輪っかが見える。
下半分は揺らめいて
昼間に鎮座する月のよう
にび色の神田川は足がすくむほど
高い地点からしか眺められな
い
その水面をじっと見つめ ....
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=259391
火柱みたいな杉だ
(触れれば降る火の粉)
転がる空き缶を追う犬
犬は追う生き物だ
しかし犬は追わない
目前の暗闇を
餌の残りを掘った穴に隠す犬
犬は穴を掘る生き物だ
しかし犬は掘らない
飼い主の墓穴を
わたしはそれを不 ....
なぜかはわからないけれど、世界はとおくにある。
朝顔の花でつくるいろ水や、
海辺でひろう角のとれたガラス、
いいにおいのする果物の皮
そういう、心地よくて意味のないものになりたかっ ....
不思議だね
目を閉じないと
見えぬもの
蛍光灯の
残光と、 あと
ロシアの古い民謡に
生きる事の本質を問い
私は屑だ
....
そして今年もまた夏が此の世を
残酷に覆い尽くしてゆく
夏は光と影の鋭い{ルビ刃=やいば}で
其処彼処抉り取ってゆくから
見渡す景色は狂おしいほど彫り深くなり
抉られた処から噴き出すように
....
記憶は情報
とても懐かしい
ビー玉があったとして
もうそのことを忘れちゃっていたら
ただのビー玉
自分との距離は
等間隔
水に噛まれ
午後に噛まれ
音は深く
さらに深く
首輪をちぎり
血の手形をまとい
空へ空へ持ち上がる径
棄てられた営みのかたわらをゆく
冬へ降る冬
....
明日が良い日と
信じる人の
信仰に
まっすぐな瞳と
爽やかな笑顔に
絶望する。
明日はきっと良い日
まだ読んでるライト・ヴァース関係。
とはいえ、ライト・ヴァース関係の本は前回読んだ二冊しかないので、アメリカの詩ってことで検索・予約しまして、色々借りてきました。
『アメリカ詩の世界 成立から ....
空色から生まれた風が、
少しの遠回りをして やってきて
季節の話をしてくれる
静寂に波打つ風紋の砂の褥
焼けた肌は、夏を貧欲にむさぼり
求めるそれを手にするまで けして 止めようとし ....
{引用=
それがそこにあり
僕たちは離れて行き
そして
範囲を指定する
土砂崩れに
身を任せるわけにも
行かず
僕は
回転する椅子の上に座り
懐かしい風景を思い出し
....
帰郷
血の秘密 過去帳繰れば死児里子
父の子と兄の子埋まる猿すべり
風呂敷に春児を包み捨てにゆく
金蝿と庄屋のみ肥え天保の
作男斜視おいど追う鎌砥ぎつ
鬼百合の群生ひと喰いの記憶
....
与えて
渇いた男達に
解放の水を
皆、唯通り過ぎるだけ
それを知っているから哀しい
だけど微笑んで受け入れる
溢れる泉に
愛など無いけれど
放出された種は静かに棄てられる
乳ぶさのかたちをしたくもが
夏空に憂いをあたえている
満員の最終列車が
日付のさかい目で迷子になる
聖人のため息が
夕刊とともに2セントで売られる
ああ
古着屋で
はかり売 ....
街に出ると
街に溢れているひとびとが
数で私に問いかけてきます
あなたは誰に会いたいの
図書館に行くと
きちきち並べられている本たちが
さらに無言でたたみかけて来ます
あなたは何が読 ....
雨の日のヤマネ
からつむり
生まれたばかりのアメフラシ
カマキリ
なんの夢を見てるのだろうね
ぱたぱたする
そのしっぽのその下に
小さな太鼓でも置いておこうか
おいで
秘密基 ....
ほんとうのことは知らない
まつぼっくりがとても燃えやすいことは知っている
眠っていても
自分がものすごい勢いで回転していること
はるか遠い一点を目指して疾走していること
そんなことを知ってい ....
僕には重すぎたので
昨日に孤独を置いてきた
今日みんながそれを見つけて
見えないふりをする
でも孤独はみんなを見ている
深海のような眼で
子を探す母親は
探して探して町じゅうを
探して探してあちこちを
空き地を路地を公園を
橋下を覗き川面に目を凝らし
袋小路を野を丘を
森を林を墓地を巡り
家という家訪ねて回り
隣の町を裸 ....
スプーンを傾けるその角度さえ愛しいままに百年が過ぎ
カーテンの揺れるはやさに追いつけず取り残されて百年が過ぎ
指さきにのこる温度をたぐり寄せ記憶撫でるだけ百年が過ぎ
晴れわた ....
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