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帰郷
血の秘密 過去帳繰れば死児里子
父の子と兄の子埋まる猿すべり
風呂敷に春児を包み捨てにゆく
金蝿と庄屋のみ肥え天保の
作男斜視おいど追う鎌砥ぎつ
鬼百合の群生ひと喰いの記憶
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ためいきと 寄せてはかえす 欲情と
あさがたの 青さに浮かぶ 倦怠感
あしもとで からまる毛布 肌ふたつ
うつむせに つらなる背中 おなじ汗
願望は ねむりのなかで 実を結ぶ
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夢は言う
海に成れれば
楽になる
音域が広がりすぎて小人出る
テルミンのように触れずに奏でられ
真昼の留守宅コップは端へ端へ
また祖母に会えそう異国の逢魔時
109スカートだけが濡れてない
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根津
百歳の藤猫侍る祠岩
杳として千本鳥居入ったきり
かはたれの緋牡丹 墨の袖も引く
貸本屋 {ルビ眇=すがめ}の映る飾り窓
不寝
あぶら揚げ咥へたるはゝ月抱く
胸はだけ ....
境界を分かつ分厚い朝の4時
紺色の
浴衣かったが
ほたる柄
永井さん
ぶらぶらと侘びた振子の行路かな
玉ノ井を出でて豆炒る日暮なり
駱駝見せ転がる羅刹「浄土だよ」
往生の痕が畳に染みている
坂口さん
オニふんをイオン洗浄 風 ....
つよく前むきにはしり飛ぶサンダル
気をぬけよ敵は手負いのカブトガニ
ストローにくらげが詰まってヤな気持ち
明日からはセリヌンティウスを忘れども
呼ぶと敬謙な祈り込められる名
明日の ....