夜はとめどなく凍り続け 
ミニカーで走る高速道路は閑散としている
星間トンネルを抜けるころには
シリウスが輝きを失って氷の塊が無数に路面を舞っていた

冷え切った心を包むのはアーガイルのセー ....
 ひとつの言葉で生まれるものと死んでゆくもの
 音から文字へ文字から声へ声から言葉へと
 言葉は深い底をさまよう
 形のない海であり雨であり雪のようで
 光りへと暗闇へと
 文字を拾い集めた ....
赤い屋根のお庭には、
たくさんの死骸が
ごろごろと横たわっていました
胴体を切られた者達が、

七重八重になって、乱雑に
ひしゃげた腕が
その間に差し出されては、
修羅場をいっそう ....
永遠を求めるな
子供達よ
それは麻薬だ

永遠を追い駆けろ
中毒者タチよ
たとえ幻覚だとしても
お前達には見えているのだろう
台所で泣いた日
世界が動いた


小さな部屋が広く感じて
台所で泣いた日
出かける前にビールを飲んで
「さよなら」の覚悟でメールを送ったら
「よろしく」とばかりに返ってきたの


 ....
生きるということをうたうことは
今の私にはむずかしい

でも
生きているということは
当たり前のようにここにある

私がそれを阻まない限り
なにかがそれを阻まない限り

その
な ....
うすももいろの{ルビ襦袢=じゅばん}の
冬に{ルビ纏=まと}えば
きぬの{ルビ温=ぬく}さ

衿をくいと抜き
腰ひもをきゅうと締める
そのうえに伊達〆をきゅうと締める

足元に着やすく ....
鋳型に鉄を
溶かし込む

除かれた雑分は蒸発し
冷めて固まるあらたな
ものにまとわりついた

みがいて輝き取り戻す
依然と同じ硬度を保つ
石のかたちに似せた鉄

その誇りゆえ ....
今夜の月が黄色なら
綺麗に身支度を整えて
遠くに旅へ
小さな奇跡が
起きますように
ピアノのラの音を頂戴

たくさんの荷物は要らないの
そう
好きな音楽だけでいいかも
思い出なんて ....
ふうわりと
舞っていく質量は
たんぽぽよりも薄く軽く

飛んでいけ わたくしをつつんでいたものよ
たとえこのジャケットの
一平米あたり幾千幾万と詰められていたとしても
朝の光をひとりで ....
実家に帰ると
母は今の母で
わたしが思っているお母さんとは違う
いろいろあったもんね
川の形だって水の流れで変わるんだもんね

でもわたしの頭のなかのお母さんはやっぱりいつも不幸で
あた ....
うつむきながら
老婆があゆむ
右の手にしたほそい杖
すりきれたコートにつつまれて
冬の濡れた芝の上を
さまようように
あきらめたように

差し出す雑誌に
日本のことがかいてあるの ....
水族館が好きだった
おおきな魚が好きだった
わたしはまだちいさくて
背伸びして水槽に額をくっつけた
ガラスは冷たかった
わたしの目を奪う
彼の名前をわたしは知らなかった

ピラルクーが ....
   言葉を、さがすのです 

   くろうしながら
 伝えるのは
  もどかしい けれど

本当に言いたいことは 
行の間や【。】のなか
星の間のくらやみや
言葉のすき間にかく ....
かつて心を置き去りにした土地で
足元を掬われないように前へ、前へ

敷き詰められた岩の隙間で浮かんでいるのは
汚れた発泡スチロールの欠片ばかり
忘れられたオモチャの残骸は
ひきつった笑顔を崩さないよう ....
小学校四年生くらいの頃だっただろうか
クラスで紙飛行機が大ブームになった
授業が終わると男の子は一斉に折り紙を取り出し
思い思いの折り方で様々な形の飛行機を作り
外に飛ばすと先生に叱られるので ....
すべてを失ったはずだった

あれから家に辿りつくまで幾度と無く転んでしまい
死装束にと亡き父に誂えてもらったリクルートスーツ着てきたのに
あちこちに鍵裂きを作ってしまった

死への船出がこ ....
微笑む君に
そこにいるもの皆魅了された、

君の言葉は
柔らかな光りに
反射して銀色のモビールのように
中空をキラキラ漂い

君のまなざしは
柔らかな光を讃えて
その場にある
生 ....
たわむれに
   花の音
      風の色
   君のまなざし
      この胸に滲むよ
   からみあう
あやとりのように
   指と指
      結界して
   たわむれに ....
{引用=
山の細胞があんなにゆっくり色づいているというのに君ときたらせっかちでいけない}




 学校で図書館で自分の部屋で
 本屋でコンビニであなたの部屋で
 髪の毛の一本でも爪の ....
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■■■■■■□□■■
■■■■■■□□■■
 
{引用=           
これは、リンゴの木の前に立っている私 ....
息白くずっと頭を下げている
あなたのハゲは私がつくった


海水で血液製造するために
従業員を急ぎで募集


タコの血は青いんだって静かだな
たかが生理にいつもドッキリ


牛 ....
透き通った青の天井見つめて、
寒空の下
薄いボロボロの服を着て、
その子は寝ている。
大きく目を見開いてその子は眠っている。

チェマダンの往来の真ん中で、
一人のコッチョビが眠 ....
その髪は毒の蛇

歯は鋭い猪の牙

青銅の手に 黄金の翼を持つ

彼女の姿を見た者は

全て石となる

神話時代の醜い怪物メデゥーサ



乾いた丘陵のうえの神殿が

 ....
僕は夢想する

雲一つ無い青空に
ぽっかり浮かぶ黒い月を

僕は夢想する

鬱蒼としたジャングルに
飛来する原色の鳥達を

僕は夢想する

ジャングルの樹々の間を
悠然と歩む ....
好きなものを嫌いになろうとしながら
他に脱出法がないのかと考えてみる
しかしあくまでそれに固執することで
鎖が外れるのではという可能性も信じている
損得勘定に身を委ねてみたいのに
犯人が残し ....
わたしがうさぎだった頃
この世は赤いもやがかかっていた
花びら一枚にも手が届かないので
うつむいてありの行列を眺めるしかなかった


わたしがひなどりだった頃
飛び立ちたくて仕方がなかっ ....
辛辣な森羅万象
耳元から鼻先へまた額から鼻へ
人間を分類し整理し時に処分する
まさかと思わせる疑似科学ラファータ

時々思うのだけれど
無機質だけで世界が出来ていても
問題は無かったのに ....
マッチ売りの少女にでもなった気分で
その鍵穴を覗くのがわたしの日課となってしまった

この街へ引っ越してきた当時はタバコ屋さんだったトタン屋根の並び
ちょっとしたお屋敷風の黒塀に
その鍵穴は ....
{ルビ=アヒルの子}
瑠王さんのおすすめリスト(1548)
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