すべてのおすすめ
空色から生まれた風が、
少しの遠回りをして やってきて
季節の話をしてくれる
静寂に波打つ風紋の砂の褥
焼けた肌は、夏を貧欲にむさぼり
求めるそれを手にするまで けして 止めようとし ....
眩い光りは衣を重ね
いつまでも消え去らぬ
それは人知れぬ
夏の海峡の 輝きを増した陽炎
落ちてきた 数知れぬ星達をあつめた天の河のように
静かによこたわる
無数のきらめきは、時を惜しみ
....
六月の風
どこかにする
子どもの遊び声
落ちてくる手にあまる垂直な陽射しは、
すべての影を限りなく縮小し 見放し
あるがままの姿を投影してくれない
公園の木陰に一人ぽつねん
ベンチの女が ....
四つ角に生まれた風が
光になって踊っていました
六月の紺碧 空の下
オークの木のどの枝たちも みな夏に呼応して
新緑に色づく
私は、これが最後だと思うのに
あなたは、いつも明日を口にす ....
海の向こうから来た手紙
躊躇わない見慣れた文字が、
心に触れるのです
確かに
生きる意味があるように
昔を思い出す、力が湧いてくるような
元気でいらっしゃるのですね
少し怒りっぽい
....
忘れ去られた 古い校舎
人知れず
ひな菊が一面咲く
小さな 白い縁取りをした
数知れぬ麦藁帽子
花の絨毯は緑に抱かれ
さやかな風が吹き 過ぎる
もう夏の気配を孕んだ晩春のそれは、
....
林檎のかおりがする 天の河
もう随分と走ってきた
星へのひとり旅
白十字も恐竜の化石の海岸も通り越し
鳥を獲る人は、とうに降りてしまったし
銀のすすきの野をみるために
列車の窓を開 ....
あの遠くに見えるのが、
ダウンタウンのビルの群れ
ガラスの建物達が、光りを吸っている
白い家並みが黙っている木々の中
赤煉瓦の屋根は、みなが城と呼ぶ屋敷
尖塔を空に向け
放ち、教会のよ ....
ここは 来たこともない街角
さもなければ
山色の険しいけもの道
道標もない白い雪原
あたしは一人ぽつねんと 立っている
足あとさえもなくして
道に迷ったのです
どうして ....
{ルビ辛夷=コブシ}の白い花が
ほころんでいました
図書館の前の小さな広場に
冬の終わりを 告げるように
けしてそれは、桜のように
春の訪れのあでやかさなどでなく、
可憐な細い花弁 ....
うぶごえをあげた春が、もう
街にすがたをみせる
通りの角から
にぎやか過ぎるその声音が、
あたしを助けにきてくれる
手をひくように
階段をのぼったら
勇気をほんのすこしばかり だして ....
まっすぐな 道も
あったのかもしれない
どこまでも続く、単調さがいつか
ありがたいものだと、
気づかされる
そんなもの本当にあるの?
真実は、蛇のように曲がりくねった
螺旋のそれ ....
くちにだせない
気持ちは
胸に抱いたまま
Moonlight Express
埋めてしまおう、
柔らかな後悔の穴へ
人が静寂の月に行きたがるのは、そのため
そこまでいけば、小さな ....
季節の変わり目は
不思議と あいまいで、
みあきた建物たちの
街色は、いつもの
寡黙のまま
昨日とのくべつのない
今日を数えながらも、
オリオンをあとにしたら
きみを探し ....
{引用=
目にするものは、すべて
縮小された世界 ほそい指先に
絡まる色糸の道と煩雑なブロック
意識ばかりが拡散して、
すぐに ほんとうの姿が分からなくなってしまう
この街をあんなにも ....
Hug me.
Hug and kiss me.
Hug, kiss and love me.
Hug, kiss, love and feel me.
想いの
道のとちゅうを
あるき ....
{引用=
とがった影は、みすてられ
切り取る冬の陽を証明する
見上げる円錐のモミの木から
どこまでも つらぬくように
まっすぐに伸びた
疑うこともせず、迷いもせずに
影を作り出し ....
{引用=
光沢をみせる
明かりが窓からもれ出ています
街辻に面した旧い教会は、十字をかかげ
黒い街灯は、とがったその四角い頭をおもたそうに
旧さの中に時を埋めてしまう
子どもがくれた葉 ....
レッドウッドの梢のさき
木漏れ日は森閑のゆらめき
私のなかで…落ちていきました
小さな音がかえってきては、
だからか、そこに声を聞いた気がしたのです
のどの奥でわ ....
かなわないなんていっても
あきらめない
いまを乗り越えるんじゃないんだ
自分でも知らなかったつぎの覚醒
だめだって言ったって 僕は夢中だから
きみのすぐ横にいるならできそうで
いままで ....
{引用=
大さわぎでなく
ゆっくりと歩む
足の裏に感じる砂の感触を確かめ
けして温かくないけれども
柔らかく反発してくるようなそれを
一足一足 注意深く進まなければ、
見逃してしまう ....
あたらしい
灰色海の貝をさがしてたら
天使をみたよ 濡れた砂の手で
子どもの頃にだって、
こんなことはあったのかもしれない
忘れてしまっても
白い貝殻だけが残されたり
アザラシの ....
{画像=100104083022.jpg}
その時は
あなたのその手で いっそ
あたしを殺してくれますか
それができぬのならば
最初から好きにならずにいてください
恋心とい ....
花弁が
閉じられていくように
終わってゆく
それは、けして植物をたのしむ
観賞的な終焉などでなく
冬空のきびしさに
指先をこごえさすように
手をのばそうと、
やってくる ....
{引用=
風花が舞っています
ほんの少し顔をあげて
少女が 見上げる
( 幼さをふりおとした横顔は、りんとして )
おぼろげで 消え入りそうな
白い半月が、南の空たかく
午後のクリス ....
R.S.V.P.
それは、きっと
一つの世界の終焉
幕がおりてしまえば
手の温もりをさぐりながら、
かわらぬ笑顔が
かえってくるのに
人のさわがしい声ばかりが
するのです
重 ....
眠たさを誘う 五月の街
Market Street 1200
サンザシの木がほこらしげに 赤い花を咲かせていました
通りを染めるほど 目に映えるほどに
歩きながら目にできる家々の
フラワー・ ....
{引用=
まるでそれは、
やってくる 物質の
そんな重さや たしかさがある
―――――――【 night 】――――――――――――――
逃れようもなく
完璧に閉じられる
空 ....
クリスマスの精霊
セイント・ニコラスへ、
へいぼんな親の
どこにでもある
ありふれた願い
今年もまた、
クリスマスをいわえることに
感謝しながら
誰もが請う、だから ....
{引用=
靴の、物語り
【 冬の靴の同意語が、なんだって?
仲間はいるのかって? 】
― 冬の寒さを、雨のぬかるみをさえぎる
保護してくれるものをさがすの、
心をかざった ....
1 2 3