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君は踊る
薔薇を 菫を 雛菊を踊る
揚羽蝶を踊る
木洩れ日を 気ままな風を踊る

君は踊る
虹を 青ざめた夜明けを 葡萄色の黄昏を踊る
波を 湧きあがる雲を 嵐を踊る

君は踊る
 ....
夜明けの人よ
この胸の彼方の青い丘に立ち
おそらくは私を待っているのであろう
夜明けの人よ

あなたのもとへと
私は行きたい
けれどそれにはまだ
私が過ぎ去らねばならぬもの
私を過ぎ ....
白く 夏が終わりはじめている

僕らのいるこの部屋も

白い宙になかば浮いたカプセルみたいだ

窓の遠くから

世界の破片で遊ぶ子どもたちの声が

聞こえる

その声もなんだか ....
そして今年もまた夏が此の世を
残酷に覆い尽くしてゆく
夏は光と影の鋭い{ルビ刃=やいば}で
其処彼処抉り取ってゆくから
見渡す景色は狂おしいほど彫り深くなり
抉られた処から噴き出すように
 ....
頂点を仄青く明滅させる三角形が
部屋の片隅に居る

銀のお手玉をしながら
華奢なアルルカンが宙を歩いて過ぎる

星のいくつかが
音符に変わり また戻る

硝子瓶がひとりでに傾き
グ ....
カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空

君の沈黙 君の横顔
それはなにかうつくしく けれどものがなしい
予感に満ちているようで
僕も黙ったままでいる

僕の脳 ....
ふたり歩む小径にも
ふたりくぐるアーチにも
薔薇たちは咲き誇り 香りはあふれ
胸の想いも 互いの声音や眼差しも
薔薇の魔法を帯びて かなしいほど甘やかに染まり
この園がいっそ迷宮と化せばいい ....
青ざめた薔薇の横貌
月を相手にパントマイムするアルルカン
時計塔の溜息
幾重にも自己複製する記憶
仄昏いカルテ
見えない翼の天使
森の浮遊
虚空を音もなく走る硝子の列車
白い小鳥が描か ....
私の形をした枠から
ふいに
私が外れ 崩れて落ちた

枠だけが 静かに残った
桜の花が咲く 花が散る
花の影がわたしを斑に染める

晴れた空はうつろに息づいている
わたしにきららかな憂愁が降る

胸のうちをほの白い人の列がゆく
半透明に やや蒼ざめた横貌を見せて
 ....
白い光がふちどる窓辺で

二人はふるえる菫の口づけを交わす

二つの華奢な心臓が

透きとおってしまいそうだ
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
心臓がわりに林檎を胸に嵌め
黒い帽子をかぶって初冬の街を歩いてゆく
たわむれに
   花の音
      風の色
   君のまなざし
      この胸に滲むよ
   からみあう
あやとりのように
   指と指
      結界して
   たわむれに ....
夢が 微睡んでいる
緑の葉陰ものうく揺れる
やわらかな午後を

その瞼を 胸もとを つまさきを
うすい風が吹きすぎる

夢は そうして 自らを
夢みている あえかに甘やかに
その夢の ....
気づくと
背中に窓があった
木の枠の 両開きの窓だ

閉じられているその窓を
覗き込んでいる自分がいた
中には 止まった時計と
傾いだ天秤が見えた

やがてその窓の中にも
自分があ ....
瑠王さんの塔野夏子さんおすすめリスト(16)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
踊るひとのための連祷- 塔野夏子自由詩23*12-5-23
夜明けの人- 塔野夏子自由詩9*11-3-3
31.5℃- 塔野夏子自由詩5*10-8-15
夏_極- 塔野夏子自由詩5*10-8-7
現象:或る七月の夜- 塔野夏子自由詩7*10-7-19
カムパネルラの瞳- 塔野夏子自由詩8*10-7-11
薔薇園- 塔野夏子自由詩12*10-5-29
優雅なる憂鬱- 塔野夏子自由詩7*10-5-5
墓_標- 塔野夏子自由詩3*10-4-17
桜_時- 塔野夏子自由詩5*10-3-29
早春小曲- 塔野夏子自由詩4*10-3-11
四行連詩_独吟_<星>の巻- 塔野夏子自由詩7*10-1-3
散歩オブジェ- 塔野夏子自由詩3*09-12-17
流_連- 塔野夏子自由詩3*09-11-29
夏に至る- 塔野夏子自由詩4*09-6-19
背中の窓- 塔野夏子自由詩7*09-5-27

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