一度でもいいから
朝を起こさないであげたいな
ゆっくり眠らせてあげたいな
朝は寝坊したことがない
サボったことがない
勤勉なんだな
それは昼も夜も同じ
きっと宇宙は真面目なんだな
だか ....
シルクスクリーンのような
霧がうっすらと地表を覆う
田圃の道路走行
奥久慈の紅葉に
男体山?
その後
袋田の温泉街を抜け
歩くこと数分
瀧不動の参詣は五分
人工の遊歩道は
....
新しい未来の幕開けだ新しい過去の幕開けだ
手には閃光を
足には大地を
手には閃光を
足には地を
楽しそうだ楽しそうだ
放埓に道の辺を埋めては幾重にも重なり
紅く、山もみじの朽ち葉を華やかに散らして
浄土の途には細やかな初しぐれ、
ただ傘もなく二人痩せた身を苛む。
勾配のぬるい瀝青の坂道には影もなく
緋色 ....
ひとの詩が読めなくなって久しいので
もうずっとひとり遊び
読んでいて今日は
ひかり
という言葉をひろった
ひのひかり
つちのひかり
みずのひかり
ひのひかり
つきのひかり ....
小学校にはいって間もないころだ
ぼくは母と兄とで電車に乗った
扉が開いて母が座った席の左隣を
すばやく兄が占領した
母の右隣の席は空いていない
ぼくは兄の隣に座るしかなかった
母は電車 ....
{引用=off
部屋の明かりを消しても
真っ暗にはならないんだね。
夜たちからは、もうとっくに
ほんとうの夜なんて
消え去ってしまったみたい。
街灯の光がカーテンを透かし
....
重も、その娘に手を差し出すと、つとその手を握り締めて暗い廊下を、何人もの男をそうしてきたような慣れたいざない方で部屋へと連れていかれる。
そんな時、言葉など必要ないのが、いまだに英語もまま ....
北の海は凍てつく潮風がのし掛かるような厳しい冬空の下にあった。
北上してきてやっと大洋から入り組んだ細い海峡へ、そして最後に港のある入り江に辿り着いた帆船はどれも内陸からの荷が町まで届いておらず ....
太陽が沈んでいく浜辺に座り込んで
もうすぐ暗闇に包まれてしまう世界を眺めていた
寄せては返す海の音は昨日と変わらずに
潮騒は今日の日を運んでいく 優しく穏やかに
水平線の向こう側へ ....
その日、僕は仕事を置き去りにして
青山墓地に向かった。
そして、
その日、僕の何かが壊れた。
さよなら神様
神様は本当に死んでしまったのだ。
五歳の僕は
毎月現れる本屋から
月 ....
私はオペラ歌手。
いま歌っているのは「マラソン」という曲。
指揮者はひたすら円を描く。
永遠に円を描き続ける。
私は指揮者に与えられたペースを守る
しかし、
....
遠い日に 赤いその{ルビ陸=おか} 燃え尽きて 花火を散らす 冬のよびごえ
高瀬舟 水面漣 塵に消え 叫びも聴こゆ 蒼の水底
異国の眼 怯える彼の子 金の髪 ....
どこへ行こうか――
そう問いかける森の
落ち葉は湿って素足に心地よい
(靴は捨ててしまった)
赤や黄や私を包み込むまだ青い
木の葉よ お前の匂いにむせて
ひたむきに傾けるやさしさに ....
僕の国が返り討ちにしていた
ああ 誰もいない部屋から 溢れていく
人たちとして その声を
練習した 暗い国の言葉に
違う文化ではない僕は 夜のどこか彼方の
それにめがけて 向かって投 ....
ふと君と出会ったので
なにを思ったのか
結婚する気になってしまい
程なくして言葉に出してしまい
ふと言葉に出してしまったため
なにを思ったのか
結婚することが現実的に思え
程なくして ....
ささやかな嘘。
私は考える。嘘がウソであり続ける為に髪を伸ばし
私を縛り、私は私を騙し続ける。
象牙の塔は築かれる
築くべくして
築かれるので
そこに現実は無いんだ
....
Convenienceでいいの。
どうぞ使ってやって。
便利って、好きでしょ?
嘘も偽善も必要ないわ。
私だけのあなたじゃなくていいの。
あなただけの私じゃなくても。
目の前にいるとき ....
視線を一身に背負い、幻覚の真似事、薄ら笑い
心臓に空いた底無し沼、埋められぬが故、僕は
思春期の一言で済ませられたフラストレーション
理解していた恥、理解していた筈、ああそれでも
哀し ....
ラブレターフロム蒲田
もしもあなたが鶴見にいたら
どんだけ近いのよって
呆れるでしょう
そんでもって
直接来いや!って
怒るでしょう
ラブレターフロム蒲田
花が
己の散るときを知るように
ひとが
自分の限界を
自分で決められたら
消える
そんなことを
秋の夜に
考えてる
こんなにも
小さな花が
芳香を放つ夜に
極東の列島を斜陽が染める頃
コーカサスの空は真っ青に燃えている
極東の海に三日月が沈む頃
文明の交差点・カイバル峠は荒れ狂っている
星々より静かにせめぎ合う
神の法 と 血の神話
....
半分
どんなおじさんにでも
その時だけ恋をしてしまう女の子がいる
父の日にプレゼントを贈り続ける女の子がいる
おじさんとセックスしてお金を貰う女の子がいる
半分お金で半分趣味らしい
....
男よあなたは
力強いその腕を彼女に見せるべきではなかった
女よあなたは
唇にのぼる歌を彼に聞かせるべきではなかった
人々の行き交う雑踏で
緑香る木立の中で
小雨に光る橋の上で
あなた ....
{引用=空想が先行する
光速で潜行する
瞬間、閃光が起こって
頭から爪先までぼくが乗っ取られてしまう
やめてよね、誰かとの約束を蒸し返すのは
千項にも及ぶ不可侵条約}
....
生きる意味がわかってしまった
その男はもうこの世に
やり残したことなんてない
置き忘れたものなんてない
全てを知ることができたのは
オリオンが輝いてた夜
宇宙の外れで彼は
無数の流れ ....
人は、降っていきますが
この風はいつも背中にあった気がします
開いた傘だけで飛び出していくことは
難しいこと、と形作られて
それでも
降っていった人たちの行方まで
答えてはくれないのかもし ....
駐車場のわきに
見知らぬ実のなる木があって
くるりとくれよんで描いたみたいな
小さなきいろい丸いのが
道にいっぱい落ちていた
わたしはつっかけサンダルの
ぴんくのつま先でそれを ....
{引用=眠れよい子よ
月がほしいと泣く君よ
闇夜の空に手を伸ばし
きつくきつく握っても
月はその手をすり抜けて
君の心を絞めつける。
ほしいほしいと泣けば泣くほど
月は君を支配して
....
影響
少しだけの賞賛が
少しだけの満足が
少しだけの尊敬が
少しだけの裕福が
それが人生の全てだ
と気づくのに人生の大半を費やしてしまった。
少しばかりの賞賛と
少しば ....
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