俺ってこんな感じだ
牛に乗って
花のついた帽子をかぶって
顔だけ影を差し入れて
崖したの小道を牧歌的にゆく
そらは青いのか、曇りなのか
緑はまるで六月の闇のようで
今だによちよちやっているん ....
暗黒の空の下には灰白色の砂が硬く積もっていた
海底は果てしなく広がっている
僕の銀色の船は今、嵐の大洋に来ている
大小のクレーターは蟹の足跡やヤドカリの巣穴のようだ
この嵐の大洋は ....
花にはさまざまな花があるけど
花はそもそも植物の生殖器官なので
植物にはいろいろな性がある
種や個体ごとに
雌性と雄性とどちらかだったり
両方だったり
どちらかと両方だったり
片方と ....
重く雲のたれこめた山脈(やまなみ)
一様に霧が立ち籠め、雑多な植物が生い茂り
山脈を覆い隠しながら、絶壁の海岸まで続き
一様にそれらが続く島並(しまなみ)
青い島の中央 ぱっくりと開いた裂 ....
{引用=
青に蒼が重なり
空の行方 風の行方
降りしきる水晶
しろに白が重なり
雲の行方 水の行方
絹は舞いに舞い
追憶の衣ははためき
旅人は斜め
....
逆巻く苦難は
魂のための隠喩だった
厳かに 激しく
しずけさをさえはらんで
それは流れだした
そしてそそいだ
魂の森へ 迷路のような闇へ
その大いなる深みにひそむ
人間の泉へ
....
フワフワなんだろう
太った男が
年下の女の
抱き枕になっている
愛が脂肪を
真綿に変える
秘密の人口法則
秘密の生命循環
クラインの壷
金魚鉢
彼女は ....
オリエンタレ・ベイスンから
いくつかの高地(テラ)と海(マーレ)を越え
ようやくこの海にたどり着く
小さな銀色の船を岸に寄せるけど
この岩だらけの灰色の海には水が一滴もない
すぐそばにアルタ ....
アボット投手の放った一球が俺の意識を撹拌して
名古屋城や姫路城にした
俺は城持ちだけど貧乏で
今日も鉄屑を集めては
太平洋戦争に備えて居る
竹槍を持てばアメリカに勝てると教育されて来たので有 ....
手にしたその強大な力にも あなたは霞まなかった
宝石は輝きを失うことなく 銀河の中心の玉座であり続けた
あなたは折れない樹木 私たちの天幕
あなたの園で雌鹿は戯れ あなたの草を食むけれど
....
ひかりとかげ
ひかりとか げ
ひかりと かげ
ひかれ 私は蜥蜴
ひかれ げげげ
ひかれ かげで
銀色の緑が 芽吹く
しろい陶器のような世界
真綿にくるまれて ....
ニコライ堂の鐘楼に
大きな黒い月が重なって見える夜
空気は鋭角の厳しさをもって
僕を立ち位置から取り除こうと
鈍くて黒い月光りが刺す。
ニコライ堂の裏を降りて行く坂の途中で
首の長 ....
この土地にくらして/わたしは深く息をする
なびかない風の日も/灰色の冬もあった
草の使命とはなんだろう/道の記憶はどこだろう
この土地にくらして/わたしの炎がはし ....
レッドウッドの梢のさき
木漏れ日は森閑のゆらめき
私のなかで…落ちていきました
小さな音がかえってきては、
だからか、そこに声を聞いた気がしたのです
のどの奥でわ ....
我らは数珠を繋ぐように
今日まで生き存えた
なぜならば我らはヤンバルに抱かれていた
ヤンバルクイナの啼く夜
我らの未来は
明るくはないが消えはしない
なぜならば我らはヤンバルに抱かれて ....
のぐら ろぐま 世界を掬って
耳へ切って 無が流れたわ
はらうはずもない にがおえうえ
ぶろうずもって両眼あずけて
天は白だと思って
息吹きかける むねいっぱいの色地へ
ゆがけ ....
海で、逢いましょう
オカリナ石を
見つけましょう
もう冬の、
灰色の海では
ないでしょう
子供は海へと
駆けて行くのでしょうか
猫は波に
怯えるのでしょうか
海 ....
夜明けのサンマルコに風が吹く
恋人達の残り香を拾い
集めながら朝を、呼び込んで
頬を掠める
微かな潮の交響
幾つか期待を散りばめて
ときめく、
アドリアの海
....
雪片うるふと目を閉じて
ママには内緒で あそんだよ
窓辺で白い息はくと
ガラスにお絵かきができるぜ
すぐ消えちゃうけど
そしたら俺と踊ろうよ
た たり ら
....
小刻みにぽつり親指泣いてるの
聞こえない聞こえない聞こえな
こんにちは知らないあなた薄い時
捜して影を踏みつけてみて
ひやり背をフローリングに舐めまわされて
....
地母神の歌を歌うのは
月の真昼のギンドロヤナギ
スノードームの嵐のなかで
雲母の窓が開くとき
粉砂糖浴びた菩提樹の
リンデンバウムクーヘン並木
月の深さと詩の絶対値
十一次元の座標軸 ....
きみのひらがなにぼくの声を重ねて
地層みたいなしま模様になって
それはありふれたメロディーで
すき間にもぐりこむ小さな虫ですら
小気味良いアクセントにしかならなくて
さっき港を出発し ....
眠るほど深い北の森に
大きな灰色のふさふさした梟が一匹暮らしています
夜になると梟の頭上には、北極星が輝きます
北極星は夜空に広がる星々の王様です
実はこの森の梟は
北極星が北の中天から動か ....
コンクリートの塔の下で
小さくなってしまった、緑色の光源が
わたしを照らし
浮かび上がった舞台で、わたしは遊泳をしていたが
過ぎ去る車のエンジン音が
わたしをわたしへと戻した
化粧する ....
{引用=
? 世界は 魔法に満ち充ちて 不思議
赤 が
赤く見えること
青 が
青く見えること
それが不思議
だから それは魔法
花が 雪が
光のきらめき ....
ごめんね かぁさん
僕はあなたが生きている間に
謝れなかった
あのときのことを
謝らなかった
物心ついた時
母さんは家にいたはずだったが、
母さんの記憶は
千葉のサナトリウムから。 ....
ひかりの泡を
手のひらに受けて
きらきらと
さらさらと
透き間から流れてゆく
涼やかな風を
見守りながら
(ミドリノ紗綾 ヲ) /サヤ
....
古代、影という言葉は
月影とか
面影とか
光りのことでもあったので
孤独の影は孤独の光り
ひとりの孤独はひとりの光り
光る子と書けば
ミツコさん
光りはみつるものでもあるが
....
ぱたぱたぱた と
歩いていたらスリッパが脱げました
おちたスリッパは星になりました
たくさんの人がここでつまづきます
そうっと歩いていたのにぶつかりました
ここは世界の端っこです
だれ ....
心根にある切実を
切実に灯るちいさな火を
リレーしながら
なにをかへとひとは継いでゆく
そのちいさな火
すべてが純潔だった
なにをかから見つめると
そのちいさ ....
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