午後の息
木立 悟




羽が
風を巻いている
葉から 黒から
生まれてはもどり
消えかけた輪を空に置く


折れた枝
弓なりの雪
空へかがやき
問いを放ち
誰も恨まぬ応えを浴びる


羽は羽根になり 羽になり
まわりまわり くりかえし
みどりの時間 こがねの時間
ひとつまたひとつすすめゆく


息は落ちて
雪になり
空をあおぎ
帰れない
羽の声 また 羽の声


曇に 森に
したたりの風
他の風を追い
ざわざわと
道に空をこぼしてゆく


息は落ちて ひとつの音
閉じた目のなか
こがねふちどる
淡く微笑む水たまり
姿のみ鳴る水たまり









自由詩 午後の息 Copyright 木立 悟 2006-12-07 14:30:05
notebook Home 戻る