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約束された
明日は無い
とはいえ今を
月の光る静けさだ。

わかっています、と幾度
こたえたであろうか
あの時
空から照らす透けた光にうつむいてさ
遠く遠い声であ ....
真夜中
雨音が風に波立つ時
目を覚ます
そうしてどの道止む
自動信号の点滅は
空が明ける、
黙とうを
ひとつひとつの 命にしながら
思い出してゆく
(さらば
  ....
いま
空は
無色透明の雨
宙を切って黙礼をする
中性の直線
― 今日はこれといってなにも無い日ね
黙りこくる空
青ざめる
― お花がきれいね
(いつでもいまである)
どくだみは縁の ....
遺影と目が合う
私がまだここに在る
万年筆と腕時計の
青青とした言葉の繁みを
刻みつつ書いて行く時を
その者は、見守っている

いまもなお続く道を。
視線は歩む
心の遺伝子を携えて
 ....

雨にたたずむひとがいた種を蒔き。
私は今どうしようもなく空虚な心
境だ。空の暗さにただ身を沈めた
い。恐ろしく空虚だ。しかし、こ
の恐ろしさもまた 空虚。
生存して居るうちに云えば時は ....
顔をあらうが
おとし切れない
このゆううつなまなざしはどこから来るのか
気象電波探知機はしんみりと
雲ゆきを映す
私を通りすぎて行ったはずの

宙は 青ざめ照りつける日にたちつくす。
 ....
今夜も
アオガエルのなき声のする田園を眠る
庭で白い芍薬が
ほのかに浮き上がる
視線の静かなまなざしで
満天のせせらぎの
おもい出のひかり
帰れない真夜中のいっそう暗闇をます
アオガエ ....
真っ青な血脈の層が 極限のうすさではりつめ
未到の境地が 静脈を経過しながら
うつらうつらと沈静していき やがてそらへと
暗く澄んでゆくのです。

架空層の仄暗いうちがわにある
華の蒼 ....
山岸さんは、
もう いない。
おさるさんに似た顔で
さようなら
もいえず
むねにちいさく根づいたきずが
うずくのである
おさるさんに似た顔で
いま
さようならをいおう
山岸 ....
おもいでの形見
私にとってこれは
変わらないことのひとつ
ここには風は吹いてこないけれど
ほがらかなひだまりがぽうっとしている

いつまでも
微笑する宇宙のふちで。
私の子午線 ....
最後まで
射しこむ視線
うっとりと透ける黄金の光に
浮かびあがる白い顔が沈黙をまもっている
一瞬間、

じゅうりんされた庭に
咲く血の花が
わたしの静脈でかおる午後

いく ....
夜のアスファルトに響く
女の足音は 毎夜何をしに来るのだろう
その足音は 決まって必ず湿っている
扉のまえで それはピタリ
と止まり
重いけれど圧力のまるで無い
気配のまま夜明 ....
   {ルビ鉄=くろがね}の背のように
   陽を照り返す
さざなみの群生するこちら側で
砂に潜っている
   貝の喘ぎは
   打ちよせる海水に
くりかえし濡れる
しろく寡 ....
電信柱の先が
お墓のあたまに見えた
あそこでセミに鳴かれては
私は独り笑み
アイスクリームのとけるままに
いつまでも返事を、まつのだった

べとんべとに常温で濡れてしまった
床を拭きな ....
私は、私の影であり
影は、影の影である。

どこまでも
黒く透ける現し身を
冷たい風がなぞり
さみしい熱を奪い去っていく
だからといって みたされることはない
このささやきが、色づ ....
落葉がそぞろに風にふかれ
雲は青く高い空をゆく

うらの{ルビ小径=こみち}の縁石に腰をかけて
杉といっしょにゆれている

夏の{ルビ遺言=いごん}は朽ちることなく
静かに実 ....
かすかな声でなぞる
あれは面影
うらの林のすきまからみえた
私の亡霊
沈むことのできない舟
いっそうの複音

静かな{ルビ水面=みなも}をもっている
{ルビ自恃=じじ}{ルビ矜恃=きょ ....
予報は雨

(真昼)
あらがえないの
この時計の刻む
奥底からきこえる声には
自性が宿っているのだから
茫洋として連なっている先へ
零時の胎動しているのは不在
の影が失わ ....
青い血で書かれた水曜性は、
{ルビ万年青=おもと}の実となって赤く結ばれる。
ある、いは、いつになく遠く静かな空で、ある。

店員が しきりにすすめてくる
玄関先に どうかしら
と自分に問 ....
苔むして 夏の日足に 映える石 うちわをあおぐ
私は
縁側で
入道雲を{ルビ見遣=みや}る

庭では生垣が
真っ青な息をしている
深い静けさに みちて
遠くで ひもす鳥が ないている

山の ふもとを流れ ....
{ルビ空中線=アンテナ}に張ってある
鬼蜘蛛の巣が
霧雨にぬれて
{ルビ銀色=しろがねいろ}にゆれている

   風を孕んだかなしみが
   失せた振動鳴きつくす
   ああ

空中 ....
朝日影にふくまれた わたくしの陰影が
ありのままの白い骨格で
よるべなく
この家に嫁いで来たのです。

その
わたくしが、
わたくしであるが故に、
わたくしを焼べねばなりません。
そ ....
ゆきどけの朝日へさえずる小鳥たち







 
とおくみつめる

あの秒針の刻む音が
きこえるほどの しずけさで
あやしくぼんやりとした曇天に
にじむ光の粒子を
私も刻む
時のまなざしは熱かった
 始まりは、秋の縁側で
ぶらさがっ ....
かえるところがあるのならば、それでいい)


   お葬式

カラスが黒く はばたいて
おひとりですか、と
月へ笑う
いいえ
あたしは迷子です、と
黒く燃える
火へ手紙を焼べた
 ....
  雲

あんまり空が
低いので
私は泣いて みたのです

いいえ私は泣きません
ひとつも涙は零れません
とけてゆかない成分だから。


  ひとり

あなたをきずつけぬよう ....
星明りの瞬く夜道を
皮ふと同化している
水晶時計の周波数と歩む
果てしない さようなら の骨格が、ひんやりうずく
しろく曲線にそった静寂(銀のしずく
の波紋)の右旋性が
夜風にとじられたま ....
西日の{ルビ紅=くれない}に照らされた
誰もいない部屋の
あの日は永遠に暮れずに
私を傾きつづけて

太陽電池式腕時計の刻みつづける
秒針の先にひっかかっている
スープに影はささないでい ....
わたくしは、
そ知らぬ仕種で
かおる紅茶をなめる。
風に頁がめくれようとも
見果てぬ大空が翻ろうとも
わたくしは、
そ知らぬ
今日に
ほころび
いつかあえる
光子の微笑む
丘の上 ....
前田ふむふむさんのこしごえさんおすすめリスト(110)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
月夜- こしごえ自由詩6*12-12-1
雲影(さみだれの)- こしごえ自由詩5*12-11-6
かこのないひと- こしごえ自由詩5*10-9-15
会話- こしごえ自由詩4*09-12-15
- こしごえ自由詩4*08-12-27
おもいでの果実- こしごえ自由詩4*08-12-12
アオガエル- こしごえ自由詩9*08-10-1
時の青玉- こしごえ自由詩3*08-6-16
山岸さん- こしごえ自由詩6*08-5-14
鎮魂歌- こしごえ自由詩15*08-3-8
白い顔- こしごえ自由詩9*07-12-12
認知- こしごえ自由詩3*07-12-10
対岸- こしごえ自由詩10*07-11-2
ゆく夏の陽炎にて- こしごえ自由詩7*07-10-29
水母- こしごえ自由詩10*07-10-19
きもの- こしごえ自由詩18*07-9-15
みちのり- こしごえ自由詩12*07-9-1
おとずれる- こしごえ自由詩11*07-8-1
黝い手跡_(あおぐろいしゅせき)- こしごえ自由詩22*07-7-21
夏のある石- こしごえ俳句5*07-7-16
終日_(ひねもす)- こしごえ自由詩21*07-7-13
空き家- こしごえ自由詩17*07-6-19
薪_(たきぎ)- こしごえ自由詩26*07-6-6
春の朝に- こしごえ俳句6*07-4-7
時雨れる少女- こしごえ自由詩28*07-4-4
故郷における影- こしごえ自由詩33*07-3-30
かなしみ- こしごえ自由詩34*07-3-19
一輪挿し- こしごえ自由詩19*07-3-8
翳り_(かげり)- こしごえ自由詩21*07-3-3
月とあおい春- こしごえ自由詩16*07-2-27

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