雪原
三条麗菜

あなたに出逢ってから
私は雪原となっていきます

本当の私は
もうどこかに埋もれてしまって
私はただの一面
白く変わっていくのです

あなたの目にも
私は何の色彩も持っていない
存在として
映っていることでしょう

あなたのことを考えると
私を覆いつくそうとするものが
空の果てから舞い降りてくるのです
そして私は
白く雪原となっていくのです

でも
私はただ白いだけでは
ないのです
そこには無数の結晶が
無数の結晶があるのです

その結晶は一つ一つ
細かいガラスの枝を持ち
それはすべて
あなたを見つめるための
プリズムなのです

あなたの放つ光がプリズムを通り
私の中にたくさんの虹を
たくさんの虹を作るのです

誰にも見えない私の大地は
その虹の色に染められるのです

あなたを待つ長い間
私は雪原となっていきます

あなたに近づけず
雪はいつまでも
降り続けます

しんしんと
降り積もる
雪原となり

しんしんと
降り積もる
雪原となり

いつか
いつか
春の日まで


自由詩 雪原 Copyright 三条麗菜 2006-12-05 22:57:27
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