すべてのおすすめ
さだめなき世に
年古りて
なにひとつ
新しくもない
年がまたくる
十二月
三十一日
午後十一時
五十九分
五十と
五秒
冬の雨が
雪にかはり
廃屋の時計が ....
私、
幸せな人に
会いに行って
その、
なんでもなかった事柄
問い詰めるのも
やめにした
手をあわせてお祈りした
私、
幸せな人の幸せな
笑顔が
その体現が
うまくいっているの ....
のんだくれ男とやさぐれ女
とぎすまされた場所にはそぐわない
だれも無関心のふりの都会で
新宿で乗り降りするほどの乗客
手を繋ぎたい天使が裏帳簿に記帳されて
探している煙草は違ったポケ ....
何者かになりたかった。
でも自分には無理だと見限った私がいた。
夢を見るには心が老いていた。
夢を見ることを捨てた私の後ろ髪を、夢を見たかった私が引張る。
私はいつまでも未来に生きら ....
子供が
空を飛んでいた
いや
飛んでいたというよりは
屋根から滑空していた
大きなカマキリに似た生き物を背中に乗せ
そこから記憶はなく、始まりは窓を開けていた
家庭用プリンタから ....
特別支援学校に通う
息子が二年生の
ある夜
初めて妻に打ち明けた
ダウン症告知のあの日以来
息子について後ろ向きなことは
もう決して言うまいと
心に決めていたことを
語らう夫婦 ....
16才にして頂点を極め
17才の今
既に全盛期を過ぎたと言われる
そんな厳しい世界がある一方
生まれてからずっと下降線で
19才で自称詩人となって
マイナス側に突き抜けて以降
まった ....
歌手のYさんに似てるって
言われる度に思う
ボクは違法コピーなのかも
相手が有名なだけで終身刑
考え方が課長に似てるって
言われる度に思う
ボクは違法コピーなのかも
相手が有能なだけ ....
石炭がダメなんだってよ
石油だって似たようなもんだろ
つまり原子力しかないわけだ
だから小泉"何となくクリステル"進次郎は
「これからの日本の電力は
100%原子力で賄い ....
夜の延長線上にある朝に聴くコルトレーン。
時間をさかのぼると見事に夜へとつながっている。
今この時までの道程に私は立ち尽くしていた。
時計だけは正確に過ぎ行く時間を刻んでいる。
....
羊を起こさないように羊羮を切り分ける。
息を殺し、ゆゅぅっっくぅり、刃を入れる。
「ゆ」という平仮名は魚の形に似ている
銭湯の暖簾は、人がくぐるとはらりと泳ぐ
現代詩は詩なのか
さあ、人生の夏期講習の始まりだ
あたらしい明日をアップロードしよう
ともに手に手をとって
苦し紛れの人生ではなく
惰性でもなく
生きていこう
そらは藍色コンクリートは人生の灰色
ねえ ....
いささか崩れた螺旋の軌道を半睡の水晶体の転がりで追いかけながら、その夜に貪り倒す空虚の後味は渇望の挙句の死体みたいで、仰向けの俺は小さなライトの光を世界の真理のように見つめている、ヘヴィ・メタルは ....
旅に予想外はつきもので
おどろかないってのは無理な話でも
おどろかないフリを
演じる役者でいたい
遠い旅先の雲の中を
突き進む
空の機内で思う
――友よ、願わくば
日々の旅 ....
上司にパワハラを受け被害者然としていた人が
自分の部下にパワハラをしている
加害者の時は自覚できない
悪いのは常に他者だから
人を傷つけたってわからない
原因は常に相手にあるから
....
生温かい午後は
初夏の匂いを孕んで
油断させる
眠気を撒き散らし
{ルビ気力=エネルギー}を奪い去り
時間さえも怠惰に流れ行く
束の間
夢を見たような心地を覚え
雷に撃たれたい ....
あんたの口癖
どうせ敵わないなら
やらない。とか
どうせ叶わないから
成らない。とか
あんたの言い訳
やらない。成らない。
そんなんじゃない
どうせやれないし成 ....
濃灰色に、重く雲があって
息苦しいような午前中に
雨がふりだした
傘が咲くだろう ひとはそのひとの人生のために 雨の底を歩いてゆく
歩んだ歩数のおおさ すくなさ おもさ かろさ
かろやかにた ....
古めかしい上着はもともとはそこそこに値の張るものだったらしいが、今ではあちこち擦り切れてしまって、ジョージ・A・ロメロ映画のエキストラが衣装のままで歩いているのかといった有様で、凍死しないでいるのが精 ....
斑模様、太陽の光の中を泳いで、やがて反射に隠れて見えなくなる、アスファルトからの熱と昨日の雨が化ける湿度で、俺たちは蒸されてまともな感覚を失くしている、夏には夏の、冬には冬の狂気がある、人は誰もそ ....
最後の恋かもしれない
恋に恋して恋かも分からないまま
私は何枚ワンピースを縫ったのか。
私は知らなかった、
あんなに小さなお花に劣等感を微塵も感じず
ブレザー着こなす紳士ぶった紳士、
くま ....
{引用=*筆者より――ちやうどこの時期、十二年書けずにゐた詩作が復活して三ヵ月が経ち、十二年分のマグマの噴出が落ち着いたこともあり、いま読み返すと力が抜けてゐる感があつてそれが良い方にも悪い方にも出て ....
目覚ましが鳴らなかった
テーブルで左肘を打った
あわてて食べて頰の内側を噛んだ
胃が驚いてお皿に吐いた
呼び鈴、呼び鈴
タンスの角に足の小指をぶつけた
茶封筒の開け口で人差し指を切った
....
前歯を光モノに替えてやろうと思う
「ピカリ、が眩しいだろ?スズメ
奥歯の歯周ポケットから小銭が溢れだして
それを溶かせばいいだけのお誂えさ
ここだけの話しだけど 」
使えば使うほど ....
*
川沿いの萌え木はふるえている
見えない愛を実感したくて
目を閉じて 身をゆだねた
雨の弦 爪弾く眼差し
貝殻を拾う仕草で
またひとつくぐる風の裳裾
昨日も今日も
....
l'impromptu
殴る拳をキノコに
罵声を鈴虫の声に
出会う人々すべてから戦意を奪い
あまねく老若男女に和みをもたらし
あらゆる争いを無化し ....
ある日突然 少女たちは愛に目覚める
砂漠の朝 あるいは雪山の夜に
一頭の馬のように私のもとへ
走って来る そして駆け抜ける愛の痛み
運命だと知るには遅すぎるだろうか
少女たちは祭壇に ....
優しさのグラデーション
増えた色 密度も増し 煌めきが尖るメルヘンの角
舞って秒を光の粉にして 吹いてゆく 風の小さな心臓
あなたのメッセージを見ると元気が湧く
優しくなったね 昔 ....
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